野生のシジュウカラは複雑な記憶能力を持つことが判明!餌場と時間の関係を記憶し、必要な時に必要な餌場へ
イギリス、ケンブリッジ大学の研究チームは野生のシジュウカラが「エピソード記憶」に似た高度な記憶能力を持つことを示す研究結果を発表しました。
エピソード記憶とは人が「いつ、どこで、何をしたか」といった個人的な経験に関する情報を記憶する能力のことです。従来、この能力は人間に特有のものと考えられてきましたが、近年では動物にもエピソード記憶に似た能力が存在するかもしれないことが分かってきています。
今回、研究チームは野生のアオジとシジュウカラを対象に2つの異なる実験を行いました。
1つ目の実験は「いつ、どこで、何があったか」を記憶する能力を調べるもので、鳥が好むヒマワリの種とあまり好まないピーナッツを用いて行われました。
まず、鳥たちに特定の餌場(餌箱)に設置されたヒマワリの種が、1日の最初の訪問から2時間後には補充されなくなるというルールを学習させました。一方、ピーナッツは常に補充されいつでも食べることができます。
その後、餌の種類と設置場所をランダムに入れ替えたテストを実施した結果、鳥たちはヒマワリの種が補充されている2時間以内であればヒマワリの種の餌場へ、2時間を過ぎればピーナッツの餌場へ優先的に向かう行動を示しました。
このことから、鳥たちは「いつ(1日の最初の訪問からどれくらい時間が経過したか)」、「どこで(どの餌場で)」、「何(ヒマワリの種)があったか」という情報を記憶し、その情報に基づいて行動していることが示されました。
2つ目の実験では「どこで」と「どの」餌場だったかを記憶する能力を調べました。
まず、「学習フェーズ」では3つの餌場のうち1つだけに餌を入れ、鳥たちに餌場を探索させました。この時、餌場は三角形または直線状に配置され、餌場自体も色や模様で区別できるようになっていました。
30分後、餌場を撤去し1時間後に同じ場所、または異なる場所に餌場を設置し直した「記憶フェーズ」を実施しました。
このフェーズではすべての餌場から餌が見えないように隠されていました。
その結果、鳥たちは「学習フェーズ」で餌が入っていた場所を記憶していて、餌場が同じ場所に設置された場合、「記憶フェーズ」でもその餌場を優先的に選択しました。
また、餌場が異なる場所に設置された場合でも鳥たちは「学習フェーズ」で餌が入っていた餌場と同じ色や模様の餌場を選択する傾向が見られました。
ただし、この傾向は成鳥よりも幼鳥で顕著に見られました。
これらの実験結果はシジュウカラが単に餌場と餌の種類を結びつけて記憶しているだけでなく、「いつ、どこで、どのような餌を見つけたか」といった、より複雑な情報を記憶できることを示唆しています。
引用元
タイトル:Episodic-like memory in wild free-living blue tits and great tits
URL:https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(24)00813-3
著者:James R. Davies, Lasse S. Keuneke, Nicola S. Clayton, Gabrielle L. Davidson.
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