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シャチの呼吸数と行動状態に関する新しい研究

カナダ、ブリティッシュ・コロンビア沖で、研究者グループが野生のシャチの呼吸数を測定し、行動状態との関連を調べる研究を行いました。調査にはドローンとバイオロギング装置を使用し、シャチの遊泳行動と呼吸数を詳細に記録しました。

解析の結果、シャチは移動中が最も高い呼吸数(未成熟個体で1.6回/分、成熟オスで1.8回/分)を示し、次に採餌中(未成熟個体1.5回/分、成熟オスで1.7回/分)、休息中は最も少なくなる(未成熟個体1.2回/分、成熟オス1.3回/分)ことが分かりました。また、シャチは休息、採餌、移動の際、浮上1回につき1回呼吸することも確認されました。

さらに研究チームは、測定した呼吸数からシャチの行動別の酸素消費量を推定。成熟オスの酸素消費量は、移動中が最も高く、次いで採餌中、休息中が最も低くなりました。未成熟個体の酸素消費量も、休息中が最も少なく、全体的に成熟オスより小さな値を示しました。

本研究で開発された手法と結果は、シャチのエネルギー消費量を行動別に見積もるのに役立ちます。またドローンで得られた情報を潜水データと組み合わせて解析することで、シャチがいつ何をしているかを高い精度で判断できることも示されました。これは、シャチの行動に人間活動が与える影響を評価する上で強力なツールとなるでしょう。

資料

タイトル:Killer whale respiration rates
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0302758
著者:Tess M. McRae , Beth L. Volpov, Evan Sidrow, Sarah M. E. Fortune, Marie Auger-Méthé, Nancy Heckman, Andrew W. Trites

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