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歌のリズムは遺伝子で決まる?鳥類の求愛と進化に新発見

鳥類における音声リズムの遺伝的基盤

動物のコミュニケーションにおいて、音声リズムは性的選択や種認識において重要な役割を果たします。鳥類の歌に見られるリズムは、その複雑さと多様性から研究者の注目を集めてきましたが、その遺伝的基盤は、鳥類のモデルシステムにおける学習能力の影響により、ほとんど解明されていませんでした。しかし、この遺伝的基盤を解明することは、種分化において重要な役割を果たす遺伝子の特定につながる可能性があります。

遺伝子解析によるリズムの解明

本研究では、南アフリカに生息し、複雑な学習を必要としない音声を持つゴシキタイヨウチョウを用いて、135個体の全ゲノム配列を解析しました。その結果、歌のリズムの速さが、人間の言語能力にも影響を与えることが知られている2つの遺伝子、ニューレキシン1とコエンザイムQ8Aと関連していることが明らかになりました。さらに、これらの遺伝子座は、運動能力や個体の質と関連するリズムの安定性にも影響を与えていることがわかりました。

進化と種分化におけるリズムの役割

興味深いことに、この2つの種が交雑する地域では、リズムの安定性に違いが見られました。このことは、より速く安定したリズムを持つ種が、交雑に対して選択的な交配を行う可能性を示唆しています。つまり、歌のリズムの違いが、種間の生殖隔離を促進する可能性があるのです。

引用元

Sebastianelli, M., Lukhele, S.M., Secomandi, S. et al. A genomic basis of vocal rhythm in birds. Nat Commun 15, 3095 (2024). https://doi.org/10.1038/s41467-024-47305-5

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