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重力波が解き明かす宇宙の新たな謎:中性子星と質量ギャップ天体の衝突


重力波で宇宙の「ミッシングリンク」を発見!?中性子星と謎の天体の衝突が観測される

2023年5月、重力波検出器が中性子星と謎の天体の衝突を捉えました。この謎の天体は、「質量ギャップ天体」と呼ばれる、ブラックホールと中性子星の中間に位置する天体です。

質量ギャップ天体は、理論上その存在が予測されていましたが、これまで観測例がほとんどなく、宇宙の進化の謎となっていました。中性子星は太陽の約2.3倍までの質量を持ち、ブラックホールは通常5倍以上の質量を持つとされていますが、その中間の質量を持つ天体が見つからなかったのです。

今回の重力波の検出により、質量が2.5~4.5倍の天体が中性子星と衝突したことが明らかになりました。この質量は、質量ギャップ天体の特徴と一致しています。この発見は、質量ギャップ天体が銀河内に多数存在する可能性を示唆しており、宇宙の進化の謎に迫る重要な手がかりとなるでしょう。

重力波天文学の発展により、私たちは宇宙の「ミッシングリンク」に近づきつつあります。中性子星と質量ギャップ天体の衝突は、極めて稀な現象と考えられていましたが、もしかすると宇宙では頻繁に起こっているのかもしれません。

質量ギャップ天体とは

2019年8月14日、LIGO-Virgoコラボレーションは、これまで観測されたことのない「質量ギャップ天体」を重力波によって検出しました。この発見は、中性子星とブラックホールの形成と進化に関する既存のモデルや理論に疑問を投げかけ、天体物理学に大きな影響を与えるものです。

質量ギャップとは、これまで観測された最も重い中性子星(太陽の約2.5倍)と最も軽いブラックホール(太陽の約5倍)の間に存在する質量の範囲を指します。今回発見された天体は、太陽の2.6倍の質量を持ち、まさにこの質量ギャップ内に位置していました。

この天体は、太陽の23倍の質量を持つブラックホールと合体する際に重力波を発生させ、地球上で検出されました。この発見は、これまで質量ギャップ内に天体が存在しないと考えられていた常識を覆すものであり、中性子星やブラックホールの形成過程や、両者の間の遷移についての理解を見直す必要性を示唆しています。

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