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小型~中型の哺乳類の脊椎、首の方が腰より多様性に富む

動物の体の動きを支える骨格である脊椎。
特に、哺乳類の脊椎は多様な動きを可能にするために複雑な構造をしています。

これまで、ウマやライオンなどの中型~大型の哺乳類の研究では、腰のあたりの骨(腰椎)の形がその動物の走り方と深く関係していることが分かっていました。
しかし、ネズミやウサギなどの小型~中型の哺乳類の脊椎については、あまり研究が進んでいませんでした。

オーストラリアの研究チームが様々な種類の小型~中型の哺乳類の脊椎を詳しく調べてみたところ、首の骨(頸椎)の方が腰椎よりも形が多様だったことが分かりました。

今回の研究ではレントゲンCTを使って、46種類の哺乳類の脊椎を3次元的に分析しました。その結果、頸椎は種によって形が大きく異なり、逆に腰椎はどの種も比較的似た形をしていました。

このような違いの原因は、小型~中型の哺乳類では、首の骨が、単に頭を支えるだけでなく、視野の確保や餌の食べ方など様々な役割を担うようになったと考えられるといいます。
一方、腰椎は主に走ったりジャンプしたりするのに使われるため、形が似通ってきたのかもしれません。

また、今回の研究では、有袋類と有胎盤類という、進化的に異なるグループの哺乳類で、脊椎の進化の仕方が違うことも分かりました。
これは、生まれたばかりの赤ちゃんが母親のお腹の袋で育つ有袋類特有の体の仕組みが、脊椎の進化に影響を与えた可能性を示唆しています。


タイトル:Small- to medium-sized mammals show greater morphological disparity in cervical than lumbar vertebrae across different terrestrial modes of locomotion
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ece3.11478

著者:Nuttakorn Taewcharoen, Rachel Norris, Emma Sherratt

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