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殺すだけじゃない?大型肉食動物の狩猟行動は体の大きさが鍵

ライオンやハイエナのような肉食動物は獲物を狩って命をつないでいます。しかし、どんな獲物でもかんたんに狩れるわけではありません。狩猟にはリスクがつきもの。そこで、肉食動物たちは、生き残るために狩猟以外にもさまざまな戦略を持っています。

アメリカの研究チームは、体の大きさが肉食動物の行動にどう影響するかをコンピューターモデルを使って調べました。その結果、肉食動物は、狩猟以外にも「腐肉食(動物の死骸を食べること)」や「盗み寄生(他の動物が倒した獲物を横取りすること)」も使い分けていることがわかりました。

お腹がすいたら戦略変更

たとえば、お腹がペコペコのときは、とにかく何か食べなければなりません。そんなときは、リスクの低い腐肉食を選んだり、他の動物から獲物を横取りしたりすることを選択する傾向があります。一方、エネルギーが十分あれば、じっくりと狩猟に専念できます。

体の大きさが狩りの腕前を決める

体の大きさも重要です。体の大きな肉食動物はパワーがあるので、自分よりも大きな獲物でも倒すことができます。しかし、小さな肉食動物が大きな獲物を襲うのは危険です。そこで、小さな肉食動物は腐肉食や盗み寄生でうまくエネルギーを確保しています。

狩猟をあきらめるのは、獲物が何倍の大きさになったら?

肉食動物には「この大きさの獲物までなら狩りをする」という、自分だけのルールがあるようです。そして、このルールを決めているのも、体の大きさです。体の大きな肉食動物ほど、自分よりも大きな獲物を狩ることができ、狩猟をあきらめるポイントは体の小さな肉食動物よりも大きくなります。

例えば、ハイエナは体重約80kgですが体重約574kgの巨大なウシくらいまでなら狩猟することができます。一方、ライオンは約150kgとハイエナよりも体が大きいので体重約1430kgもあるキリンでも狩りの対象になります。

大昔に生きていた巨大肉食動物は、どんな獲物を食べていた?

この法則を使って、大昔に絶滅した巨大肉食動物がどんな獲物を食べていたのかを推測することもできます。例えば、「アンドリューサルクス」という巨大な肉食動物は体長が5~6メートルもあったと考えられています。この動物は、体重約22,000kgもの巨大な獲物まで狩猟できた可能性があります。

引用元

タイトル:Beyond the kill: The allometry of predation behaviours among large carnivores
URL:https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1365-2656.14070
著者:V. P. S. Ritwika, Ajay Gopinathan, Justin D. Yeakel

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