見出し画像

2020年8月 東京都現代美術館

改装依頼初めて、東京現代美術館を訪問。

目当てはオラファー・エリアソンの「ときに川は橋となる」展で、せっかくなので、他の二つの企画展「おさなごごろを、きみに」、「もつれるものたち」とコレクション展「いまーかつて 複数のパースペクティブ」も鑑賞。

オラファー・エリアソン「ときに川は橋となる」

オラファー・エリアソンはデンマーク・コペンハーゲン生まれのアイスランドの芸術家で、現在はベルリン在住です。

光をテーマとしたインスタレーションが多く、下記の動画を観て頂くと作品の雰囲気がわかります。

私がオラファー・エリアソンを知ったきっかけは2005年に原美術館で開催されていた「影の光」展で、心持って行かれてしまいました。魅力をうまく表現できないのですが、まず単純に綺麗なのと、作品に「魅入ってしまう」んですよね。光をテーマにしているので、ささっと作品を見るというよりは、作品を見る角度を変えたり、周りを歩いたりしてじっくりと楽しむ作品です。

さて、東京都現代美術館の「ときに川は橋となる」展は、これまでと同様の光をテーマにした作品だけでなく、「環境」をテーマに作品が展示されていました。特に私が興味を持ったのは「アイス・ウォッチ」という、解けた氷河の氷を街中に置くというプロジェクトの展示です。

「温暖化」という環境の問題を漠然と頭なかでイメージするものでなく、リアリティをもって知るための一助として氷を街中に置くというプロジェクトなのですが、展示されている写真からでも氷の美しさが伝わってきますし、海岸に打ち付けられた解けた氷の写真は、その氷の量の多さに圧倒されます。

こちらの東京都現代美術館の講演会動画にて、エリアソン本人がどのような意図をもって、このプロジェクトを実行したかが説明されています。

2005年の「影の光」展の一度しか彼の作品を観たことがなく、漠然と「光をテーマにしているな」としか記憶していなかったので、「環境」に関する作品を製作していたことは新しい発見であり、よりこの展覧会を楽しむことができました。

「おさなごごろを、きみに」

オラファー・エリアソン目的で美術館に来ましたが、正直私はこちらの展示の方が好きです。

「おさなごころを、きみに」というテーマに関する説明はこちら。

本展は、かつてこどもだった私たち―大人が忘れてしまったクリエイティブな「おさなごころ」を思い起こし、メディアテクノロジーによる作品や映像を通して、こどもと大人が一緒に楽しめる展覧会です。触覚、身体、音と言葉、忘却、宇宙などをテーマとした空間を巡りながら、インタラクティブ体験、身体表現、音や文字による作品資料や映像上映、東京都現代美術館のコレクション展示を体験します。併せて、教育機関や地域と連携したオープンワークショップを会期中に展開します。

実際「おさなごころ」を思い起こすような作品やインタラクティブな展示が多数あります。

私が心持って行かれたのは、「のらもじ発見プロジェクト」と「8Kで上映される東京VICTORY」の二つです。

「のらもじ発見プロジェクト」
現代アートでいうと、私は美術館の中で完結する作品というよりは、作品を構築する過程で社会との関わりがあるものが好きなのですが、「のらもじ発見プロジェクト」は、この好みにぴったりと合致するものでした。

発見 → 分析 → フォント化という流れで、「のらもじ」(野良もじ)を見つけるために作家が街を歩き回り、これ!といった味のあるフォントの看板等を見つけたら、写真を撮り店主に許可を取ったうえで、フォント化する。そしてそのフォントを販売し、収益を店主と共有する、というプロジェクトです。

フォント化する過程の動画も展示されているのですが、Illustratorで一字一字細か~~~く調整をしてフォントに仕立てられていくのは観てて非常に面白いですし、手間が掛かっていることを実感できます。

8Kで上映される東京VICTORY」
こちらはサザンオールスターズの「東京VICTORY」が東京の街の風景の映像と共に上映される作品です。

私が惹かれたのは定点カメラで撮影された渋谷スクランブル交差点と、数年に渡る東京タワーが見える風景の映像です。

コロナにより外出自粛を余儀なくされ、会いたい人に会いたいときに会えるというあたりまえの日常を我々は失ったわけですが、定点カメラで撮影された数年に渡る東京タワーの映像をみていると、「あぁぁ、このころは人に会えていたんだな」、「ああぁ、あの頃はあんなことしていたな」と思いが湧き出てきて、自然と涙が出てきてしまいました。これだけを観に、また展覧会に行こうと思っています。

観た方はわかると思うのですが、サビ前等の音楽の盛り上がり所にあわせて映像の変化がする編集も気持ち良いです。

「もつれるものたち」

こちらの展示に関しては「おさなごころを、きみに」に心持って行かれた後だったため、あまり集中して観ることができませんでした。会場入ってすぐにある「トム・ニコルソン 《Comparative Monument (Shellal) 》」が綺麗だったな~という記憶しかない。。。もったいないことした。。。

コレクション展「いまーかつて 複数のパースペクティブ」

展示タイミングもあったかと思いますが、戦中・戦後に関する絵画多く、トラディショナルなアートとしての絵画を楽しむことができました。

印象に残ったことのメモを。

・藤田嗣治:戦争の画も書いていたんだ。
・新海覚雄:1952年の「独立はしたが」で手に顎を載せている少年の表情が忘れられない。
・松江泰治:写真が見ごたえある。東京都現代美術館近くの木場が舞台の写真面白い。

まとめ

4つの展示あわせて合計3,000円と決して安くはないですが、値段以上に見応えがありお勧めです。天気が良く2階のカフェの外でビールも飲むことが出来たし、やっぱり東京都現代美術館は良い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?