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大喜利におけるスピードタイプについて

以前、こんなnote記事を拝読した。

関西生大喜利における多答のスペシャリスト・特効さん(敬称込)による、大喜利における多答のススメ。私はこれを読んで大いに感銘を受けた。自己分析もどきのnote記事にも書いている通り、私自身、大喜利においてはスピードタイプに属するためである。

大喜利におけるスピードタイプは、回答を考えて出すまでの速さと、それに伴う回答数の多さが特徴であり、無論そこにはメリットとデメリットが存在する。少なくとも普遍的ではなく、かなり特殊なプレースタイルであると言える。

では何故、私はスピードタイプになったのか。スピードタイプである故の利点や欠点とは何なのか。そういったことを自分なりに考え、雑多ながらまとめてみたのがこの記事である。あくまでも私見であるため、話半分に読み進めていただけたら幸い。


いつから私はスピードタイプになったか

思えば、生大喜利デビューを果たした2023年5月6日の時点で、私は多答をしていた。今に比べれば遥かに緊張もしていたし、出力も100%というわけではないが、それでも加点で2位、超加点で1位をマークできたという点からも、そこそこ頑張っていたことはご理解いただけると思う。

では、いつから私はスピードと数を重視した回答をするようになったのか。恐らくそのルーツはラジオ投稿時代にある。

様々な場で書いていることではあるが、私の大喜利における初タイトルは、JFN系のラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』における大喜利コーナー「キミのネタがよみたい。」の週間チャンピオンである(のちにグランドチャンピオン大会で優勝)。
このコーナーは、ツイッター上のハッシュタグに投稿された回答の中から、パーソナリティのとーやま校長(お笑いトリオ・グランジの遠山大輔さん)が数回答を毎日ピックアップし、独断で勝ち抜き回答を決める、というものだった。

毎日数件しか取り上げられないため、私は何より回答の母数を多くすることを選んだ。そのためにとったのが、週の最初にお題が出された瞬間、手持ちのノートに回答候補をブワーッと書き連ねる、という手法だった。当時の私には自由に使える端末がなかったこともあり、ひたすらアナログで、即時性はないが長期の記録に優れた方法をとらざるを得なかった、という方が正しいかもしれない。

お題が出た瞬間に、脳内で大量の連想を繰り返し、ピンときたものからノートに書き出していく。現在の生大喜利における私のスタイルと、ほとんど差がないのである。このコーナーが行われていたのは2020年なので、生大喜利デビューの3年前からスタイルは定まっていたと言える。

そういうルーツがあるため、ネット大喜利においても、一度集中して大量の候補を出したあと、それを自分なりに精査したり、チームメイトに提示して意見を求めたりすることがほとんどだった(そして、その手法は長考大喜利のシステムに向かないことを痛感し、次第に限界を感じたため、私はのちに長考への参加を控えることになる)。

私が大喜利をするときに考えている(であろう)こと

どうして多答をするに至ったかを記した。では、私はどのようにして多答しているのか。多答をするうえでのコツ、定石、テクニックはあるのか。

……という本質的なことを書いてみたい気分ではあったのだが、私自身そういったことはあまり考えずに多答している。というより、回答を考えている間は、集中しすぎるあまり過程をほとんど覚えていないのが現状である。

そんな状態ではあるが、自分なりに思い出せる部分は思い出し、想像で補える部分は補いつつ、以下に私の思考過程を記してみたので、引き続き話半分にお読みいただけたら幸いである。

お題を素早く読み、キーワードを拾う

素早い回答のためにまず求められるのは、素早い読解である。お題が何を言おうとしているか、どこをイジってほしいのか、といったことを、即座に判断することがスピードタイプには欠かせないのではないかと思っている。

シンプルな2要素お題(みたいなお題、逆の世界など)なら、キーワードは誰でもすぐに理解することが出来るが、同じ2要素お題でもやや長めの文章だと難易度は急激に上がる。
私が思うに、そこで必要になるのは「アタマから読むこと」ではなく「まず全体を捉えること」。中盤にカギ括弧があるから軸だなとか、長いけど実質嫌だお題だなとか。回答席でここまで一つ一つ考えているわけではないが、そういった判断をしたうえで、その次にキーワードを拾っているような気がする。
読書術の本を読んでいると、「順を追って読むのは読書家の読み方で、重要な部分をかいつまんで読むのは研究者の読み方」といった記述を目にすることがしばしばあるのだが、それに倣えば、速射・多答を試みるプレイヤーには、情報に素早く辿り着ける研究者型の読み方が求められるのかもしれない。

そしてこれは個人的な話なのだが、私は画像や映像から情報を得るのが得意ではない(というよりも、文字から情報を得るほうが比較的得意)ため、画像お題には未だに苦手意識がある。ましてや文字入りの画像お題だと、尚更文字に囚われてしまうことがある。よって、画像お題が出てきた際には若干後れを取ることが多い。これは明確な課題である。

連想して真っ先に思い浮かんだ回答を素早く書き上げて出す

お題が求めていることとキーワードを掘り当てたら、そこからはひたすら連想を続けていく。
この際、1つ目の回答は、ある程度「浅い」とか「近い」と思われてしまいそうな回答でも、ある程度は許容されるし、比較的ウケる感覚がある。初答だと受け手側のハードルも低く、また全体的な方向性も定まっていないので、私自身はエンジンを暖めるつもりで、(語弊はあるが)軽率に1答目を出している自覚がある。

とはいえ「ある程度」なだけであって、あまりにも近すぎたり、当たり前すぎたりする回答だとウケる見込みは少なくなってしまうが、中にはそういった回答を強みに変えてしまう恐るべきプレイヤーも存在する。それはそれでスピードタイプと同じくらい(またはそれ以上に)特徴的なスタイルではあるため、向き不向きは確実にあり、真似しようとして出来るものかどうかは私には分からない。

無論、1答目から強い回答を出せるに越したことはない。またも個人的な話だが、私自身は1答目から心を射抜いた強い回答を出せることがそれなりにあると感じており、これは大きな強みだと思っている。
裏を返せば、1答目がピークということにもなってしまうのだが、万物は表裏一体なので、良し悪しがあるものは良しの側面を大事にしていったほうが軒並み上手くいくと信じ、現在はその強みを伸ばす方に注力している。

そしてこれは発展形とでも言うべきことなのだが、出来れば「お題が出ました、題読みが行われています」という僅かな時間で初答を出したいところである。私はこれを常に意識している(なおこれと似た内容は、特効さんのnote記事『3分8答のコツ』にも掲載されているので、興味のある方は是非ご一読を)。
これは常に先陣を切っていくという意識の表れでもあるし、何より多く答えたいという気持ち、モチベーションがあるからというのが大きい(後述の「なぜスピードタイプにこだわるのか」も参照)。

一度使った要素を即座に捨て、使われていないものを片っ端から拾っていく

何を至極当たり前のことを、という気がしなくもない、大喜利をするうえで1つ目の注意事項とも言えそうなことではあるのだが、私はこれを敢えて意識的に行っている。特に「かぶせ」を行わずに他の要素の探求に注力することは重要視している。

スピードとかぶせが組み合わさった場合、もたらされる印象は「手抜き」なのではないかと個人的に思っている。そのリスクをとるくらいなら、こちらの熱が審査側に伝わるくらい全力で思考を巡らせて、要素を使っては捨て、使っては捨てを繰り返したほうが、印象も良いし回答の質も向上するのではないかと考える。

私自身は、このキャッチアンドリリースのことを「ブン回す」と表現することがある。脳みそフル回転。常に最高出力を保てるよう意識しながら、特効さんの言葉を借りれば「ブレーキをなく」して、とにかくアクセルをベタ踏みする感覚で回答を出している。

恐ろしいほどにエネルギーを消費する、半ば捨て身のプレイスタイルではあるが、その分のエネルギーは休憩時間ごとに超大粒ラムネを食べることで補っている。

周りの回答を聞き、相手とのかぶりを徹底的に避ける

多く答えるということは、それだけ他の回答者とかぶる可能性も高まる。
自分が先に出した結果かぶるのであれば、こちらには何もダメージは無い。ただ、相手が出した後に自分の回答がかぶってしまうと、これは大きな痛手である。なんとしても避けなくてはならない。

そのためには、やはり周りの回答を最低限聞いておくほかない。とは言っても、何も全てを覚えておく必要はなく、どんなキーワードが出てきているかを大雑把に捉えるだけで良い。これだけでかなりのリスクを減らすことができる。

既出の要素にバツをつけていくことは、範囲を少しずつ狭めていくことでもあり、少々苦しい。ただ、範囲は多少狭いほうが全体の見通しが利きやすくなると思っているので、上手く波長が合いさえすえば、徹底的に要素を潰しまくることも可能である(私がそれを出来ると言っているわけではない)。

スピードタイプのメリットとデメリット

あらゆるものには良い面と悪い面があるように、スピードタイプの大喜利にもメリットとデメリットが存在する。何度も言うように以下は全て私見である。

スピードタイプのメリット

勢いを演出することができる

シンキングタイムが長く続くと、見ている側は若干間延びを感じてしまう。そういうとき、回答者側にスピードタイプがいると、「この人は勢いがあるぞ」と思わせられるだけでなく、その場全体の雰囲気もいくらか良くすることができる。

ある程度場が温まりだした中盤以降は、1答ごとの重みに優れたプレイヤーが本領を発揮しはじめるため、スピードタイプは若干劣勢になるかもしれない。が、それまでに広げたリードは決して無駄にはならない。相手がどれだけウケても乱されることなく回答を出し続ければ、金脈を掘り当てる可能性は自ずと高まる。途中で自分のスタイルを見失ってはならない(これは9割方自戒である)。

回答時間が短いほど有利になる

一部の大会では、敗者復活戦だと予選よりもお題の数が少なくなったり、1問あたりの回答時間が短くなったりする。そういった場面においては、常に多くの回答を出せるスピードタイプの底力が発揮される。短い時間で他を圧倒する量の回答を出し、一定の水準を保つことができれば(ここが一番重要)、かなり有利に立ち回ることができる。

最初から敗者復活戦に回るなという話ではあるが、これは敗者復活戦に限った話ではなく、そもそもの回答時間が極めて短い企画系の大喜利においても当てはまる話である。詳細は後述する。

一問一答形式の場合はどうするか。数で勝負できないのは痛手になるが、初速に自信があるのであれば、練りすぎることなく渾身の1答目を繰り出すのも一種の戦略なのではないかと思う。「この速さでこのクオリティ!?」と思わせることができれば、しめたものである。

スピードタイプのデメリット

自分の回答を自分で希釈してしまう

多く答えられたとしても、そのクオリティが一定でなければ、平均値は当然下がってしまうし、大きくウケる1答があったとしても、審査員の基準によっては「他がそれほどでもなかった」と見做されかねない。自分の良い回答を、自分のそれほどでもない回答が打ち消してしまう可能性がある。
他のスピードタイプの方々がどう思われているかは存じ上げないが、私自身は上記のような理由から印象審査を苦手としている。

タイマンバトルのときもこれは顕著に現れる。相手が1答ごとにじっくり練るタイプだった場合、こちらが2答3答とそれなりにウケたとしても、たった1答で容易に逆転されてしまう。

スピードを二の次にしてクオリティを重視すれば良いのでは、という意見もあるかもしれない。が、私個人の話をすると、とにかく勢いに乗ることで回答を繰り出すため、常に一定速度を維持しないと却って回答が出せなくなってしまうのである。これを宿命というべきか、或いは鍛錬不足というべきなのか、私には分からない。

自分で出した回答を把握しきれない

上記「希釈」に通ずるものがあるが、頭を休ませる暇がないことと、単純に回答数が増えることで、自らが繰り出した回答を記憶することは困難を極める。1問目でウケた回答があっても、2問目が始まる頃には忘れてしまうことなどザラにある(私の記憶力の問題かもしれないが)。

会が終わったあとの悦に入る時間、或いは反省する時間に、そのための材料が乏しいことに気づくこともしばしばある。そういったときのためにも、メモを取ってログを残すことは有益だと私は考えているのだが、それはまた別の機会に書けたらと思っている。

このデメリットは、自らの回答を覚えておく必要のある自薦ベストアンサー形式において、非常に大きく作用するかもしれない。ウケようがスベろうが出し続けることを自らに課す以上、一つ一つの回答に拘泥していられないという性質は、このルールにおいては少し厄介である。
とはいえ、スピードタイプにはベストアンサー形式が向かないかというと、そうでもないと私は考えている。むしろ選択肢を他の回答者より多く作れるという点を見れば、むしろ向いていると言えるのではないかとすら思うのだが、実際のところどうかは分からない。

なぜスピードタイプにこだわるのか

ここまで、スピードタイプの大喜利についてあれこれ書いてきた。では、何故私はそこまでしてスピードタイプにこだわるのか。

これはひとえに、私がスピードタイプ以外の大喜利をすることができないためである。いくつも選択肢がある中から敢えてこのスタイルにこだわっているのではなく、選択肢が一つしかないからこだわらざるを得ない、というのが正しい。
大喜利を始めた時点で身につけた癖、ひょっとしたら悪癖なのかもしれないが、身についてしまった以上はそれと全ての運命をともにするつもりでいる。一蓮托生の心構えである。

とはいえ、矯正(という表現が正しいとは思わないが、あいにく他の適切な語彙を持たない)しようと思えば出来なくもないであろう話だとは思うので、何やかんや言いつつも結局はスピードタイプを愛しているのだろうなと思うことはある。

ところで、私自身は大喜利を「頭の体操」の一環と思いながら取り組んでいる節がある。
異論がある方も少なからずいらっしゃるだろうし、反感を買ってもおかしくない表現ではある。が、様々な視点からお題を捉え、多方向から面白い回答を出す(実際面白いかはさておき)という一連の活動は、私にとってはクイズやパズル、謎解きといったものと似た括りに入り、またそれらをクリアするのと同じくらい楽しく、爽快感のあるものなのである(大喜利がそういった界隈の方々にまで浸透していることも大いに納得している)。回答を多く出すためには必然的に素早く出す必要があるため、自ずとプレイスタイルはスピードタイプに変化していった、と言える。

また、素の私自身は大して面白い人間ではないのだが(ちょっとはマシであろう、というかマシであってくれ、という気持ち)、大喜利というツールを用いることで「面白くなり得る」ということも魅力の一つだと思っている。では、どのようにすれば面白い人に最も近づけるのかを考えたとき、大量にトライアンドエラーを繰り返して最適解を導き出すというやり方が最も適していた、というのも理由として大きい。

いずれにせよ、私にはスピードタイプ以外あり得なかったのである。

スピードタイプになる必要はあるのか

では、スピードタイプに敢えてなる必要はあるのか。これに関しては無いとハッキリ言える。

どんなタイプにもメリットとデメリットがある以上、そのデメリットを極力回避できるやり方を探すのが最も手っ取り早い方法であり、それが自分にとってスピードタイプなのであれば積極的に取り入れていけば良いし、逆にこりゃ向いてねえなと思うのであれば、わざわざ目指す必要は無いと断言できる。

スピードタイプの大喜利には、上に書いたような「文章を速く読む」とか「頭をフル回転させる」といった、そこそこしんどい作業が求められる。幸い私はこれが肌に合うから続けられているものの、そうでない方にはひたすらしんどいだけかもしれない。それならば、よりしんどくなくて、より面白くなれる方法を見つけたほうが良い結果を生むに違いない。

似たようなことを何度か書いているかもしれないが、レーダーチャートの突出したところを伸ばしたほうが、凹んでいるところを埋めるよりも簡単だし、効果が高いのではないかと思っていて、何よりそのほうが快くやれるはずだと信じている。

スピードタイプが有利になるかもしれないルールの例

やたらとスピードタイプの印象を下げてしまったような気がしなくもないので、ここでスピードタイプが有利になるかもしれないルールをいくつか紹介する。

超加点

みくもさんが考案され、多くの会で行われているルール。審査員5名による1答ごとの挙手審査で、挙手本数が2乗された数が得点となる。

冒頭にリンクを掲載した特効さんのnoteには、「超加点になるとなおさら多答する旨味がありません」という記述がある。例えば同じ100点でも、10票を1回なのか5票を4回なのかで必要な時間や労力は異なり、それなら一撃の強度を上げたほうが遥かに効率が良いという趣旨なのではないか、と私は解釈している。が、私の意見は若干異なる。

確かに、奔放な多答はクオリティのバラつきを招くので、超加点には向かない。また、超加点のトップランカーが必ずしも多答の使い手というわけではなく、絞りに絞って8〜10点を連発するプレイヤーも沢山いる。

ただ、中盤以上の点数をコツコツ稼げるというのも、超加点においてはそれなりに武器となる能力なのではないかと私は考えている。その中で時折8〜10点を出すことができれば、頭抜けた点数は出せずとも、かなり戦うことはできる。

超加点ルールでの多答は、確かに効率は悪いかもしれないが十分に戦える、というのが私の立場であり、どこかしらでそれをちゃんと証明したいと思っている。

ハイパーホッケールール

ニシダアツシさんが主催する企画大喜利会『OFP 〜大喜利フレンドパーク〜』、及び『ハイパーホッケー大喜利トーナメント』で登場するルール。専用のスプレッドシートを用いて行われるタッグ戦で、以下のような流れで行われる。

  1. お題(計3問、文章→画像→文章の順に出題)が出されたあと、最初の1答は挙手が早かった1名が行う。

  2. 回答ごとに、審査員3名が片手挙手の審査を行う。全員が挙手して3票になると1点が入る。1〜2票だと続行。0票だと相手チームにチャンスパックが与えられる(後述)。

  3. 片方のチームのメンバーどちらかが回答し、審査が終わった時点で、回答権はもう片方のチームに移る。最初の1答を除き、シンキングタイムは30秒。また、1題あたりの制限時間は3分。

  4. チャンスパックが与えられたタッグは、1〜2票で1点、3票で2点を獲得することができる。0票だった場合は変わらず0点となり、相手チームにチャンスパックが送られる。

  5. 先に7点を獲得するか、3問終了時点で獲得点数の高かったタッグの勝利。同点の場合はサドンデスとなり、先に1点獲得したタッグの勝利となる。

上でも少し触れたが、そもそもの回答時間が短いルールにおいて、スピードタイプは有利である。ハイパーホッケールールにおいては、それが顕著に現れるのではないかと個人的に思っている。
つまり、スピードタイプのプレイヤーが答え続けることで、味方のシンキングタイムを確保するとともに、相手に素早くパックを返してプレッシャーを与えられる、というわけである。

1ターン30秒の間に、チャンスパックを与えてしまわないような水準の1答を考え続けるというのは、ハードではあるが不可能ではない。勿論、自力で点を入れられれば御の字だし、時が満ちれば味方のスマッシュも狙える。
スピードタイプの自負があるプレイヤーなら、体験して損はないルールだと思う。

ギッリマンエグゼルール

四つ葉の黒婆さん(敬称込)が主催する大会『ギッリマンエグゼ』で登場するルール。タイマンルールであり、以下のような流れで行われる。

  1. 回答者には5枚のホワイトボードが配られる。

  2. お題が発表されたら、そこから2分間で最大5つの回答を用意する。

  3. 2分終了後、交互に1答ずつ回答を出していく。相手より回答数が多い場合は、相手の回答が出尽くしたあと、自分の回答を連続で出すことができる(大会においては、それ以外に一度だけ連続で回答する権利を行使することも可能)。

  4. 審査員5名は、1答ごとに0点・1点・2点・5点のどれかを投じる。

  5. これを3セット繰り返したものを1試合とし、1試合あたりの合計得点が高いプレイヤーの勝利となる。

「2分間で5答」という、どう考えてもスピードタイプに向いたルールである。一見難しいように見えるが、これは決して不可能ではない。120秒の間に5答出せばよいので、出来れば1答あたりに必要な時間は最大20秒程度に留めて、並べ替え及び回答の変更のために余力を残せるようにしたいところではある。

……と言いつつも、私はこのnoteの執筆時点ではこのルールを体験していない。よって詳しく論じることができないのだが、少なくともあまりハードルが高いとは感じていない、ということだけは断言できる。むしろ楽しそうだなぁと思う。

5○3×ルール

セトピアさんが主催する企画大喜利会『大喜利会ユートピア』で稀に登場する、早押しクイズをヒントに制作された、3名で争われる個人戦ルール。このnoteの執筆時点では、ここで紹介したルールの中で、これのみ大会では用いられていない。

登場するお題は「こんな○○は嫌だ」「こんな○○は最高だ」「○○みたいな△△」「○○と△△が逆の世界」の4パターンで、それぞれの穴埋め部分にランダムでキーワードが当てはめられて出題される。流れは以下の通り。

  1. お題がランダムで出され、回答者の3名は回答を書き始める。

  2. 回答者3名のうち、最初に挙手した人のみが回答権を得られる。

  3. 回答を受けて、1名の審査員が挙手審査を行う。挙手があれば○となり1ポイント。なければ×となる。

  4. 5○3×の名の通り、5回○を獲得すれば勝利。また、3回×がつくと失格となり、自分以外の2名が失格となった場合も勝利となる。

スピードタイプの中でも初速に特化した人が有利に立ち回れるルールであり、故に私はこのルールが大好きである。

普通の大喜利と若干異なる点として、このルールでは「こんな短時間でこの回答が出せるのか」という驚きが票に大きく影響することが挙げられる。出てくる要素が完全にランダムなこともあって、特に2要素お題においては、ある種なぞかけ的というか、一見無関係なものを素早く結びつける力が求められ、それ故「上手いこと言ってる」系の回答の評価も高まるのではないかと考えている。

このルール、もっと流行らねえかな……!

スピードタイプの鍛え方

この記事を読んで「スピードタイプになりたい!」と思った方がいるかは分からないが、いるものと信じて、ここではスピードタイプの大喜利を鍛えるための方法をいくつか記載する。

車座・指名ローテーションなどのフリーな場で実践してみる

生大喜利の中でも、特に審査や細かなルールのないパートで、自主的にスピードを意識して回答してみるのが恐らく最も手っ取り早い。理論でなんとかなるものでもないので、とにかく実践あるのみだと私は思う。

bigiriの多答できる部屋に参加する、或いは部屋を建てる

生大喜利の場に限らず、回答の数を増やすトレーニングは可能である。そのために最も適しているのがbigiriで、部屋の設定によっては答え放題のルールを適用できる。

答え放題ルールの企画は、定期・不定期を問わずいくつか存在するが、その中でも特に名が知られていると個人的に思っているのが、ささくれメーカーさん主催・早起きは3問の得。平日朝6時45分(8時に順延の可能性もあり)から、90秒答え放題のお題が計3問出題される。
早朝の覚醒しきっていない頭を無理矢理起こしながら、短時間で回答しまくることができる、オススメの企画である。

終わりに

非常にとりとめのない文章になってしまったが、要するに何が言いたかったかというと、大喜利にはスピード重視のやり方もあり、私自身はそれを誇りに思っているということである。でなければ、大喜利におけるスピードタイプについて、10000文字も書くことはできない。

多答が有利になることもあれば不利になることもあるので、一概に良いやり方であるとは言えない。ただ、それは他のタイプも恐らく同じなので(やったことがないので分からないが)、もしこれを読んでスピードタイプに興味を持ったのであれば、是非挑戦してみてほしいし、やっぱり合わないなと感じた場合は、他のやり方にあっさりと切り替えてみてほしい。

私自身、これからも速射・多答を極めていきたいと思っているため、この先同じようなプレイスタイルを得意とした方々と出会い、共に撃ち合える日が来ることを願うばかりである。

また、この記事は所詮生大喜利2年目のひよっ子が書いたものであるため、何を小癪な、と思われる先輩方もいらっしゃるかもしれないが、どうか平にご容赦いただきたい。
そして願わくば、この記事への反論でも良いので、他のスピードタイプのプレイヤーによる記事を読むことができたら……と思っている。

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