ただしくないタイミングのまま
昨年からひとりで暮らすようになって、ふだんはあまり気にしないけれども、年の瀬近いクリスマスのころになってようやく、部屋のなかに季節感の演出がなくなってしまったな、と思ったのだった。
実家ならば冬が近づくにつれて電気カーペットを敷いたりストーブを出したりして、それらは人間のためというより寒がりの猫のためではあるのかもしれなかったが、やはり柚子湯だとか些細ながらもクリスマスやお正月の飾りとかいったもろもろが、きまって用意されていたことを思い出す。
で、正月飾りをアパートのドアに掲げるケースにはあまり馴染みがないけれども、というか正月は実家に帰ってしまうからあまり飾りつけようとも思わなかったのだが、クリスマスの飾りくらいはどこかで品のいい、かわいいやつを、と思っていたがなんだかんだ年の瀬の時間の駆けていくような感じにばたばたと巻き込まれて用意する余裕もなく、おおげさに言えば一切の飾りのないまま昨年を終えたのだった。
そうして今日、かねてから行きたかった古道具屋さんみたいなお店に行ってみたところ、とてもかわいい、しかもフィンランド製らしいクリスマス飾りをみつけたので思わず買ってしまった。
今年のクリスマスまではかなりの時間があるけれども、まあ見つけてしまったものなのできっとどうしようもなかった。
あらゆるものにぐいっとひかれるその瞬間は、だいたいただしいタイミングでない。
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