何であの手の動作がダメなん?っていう話

先日の近本選手の動き、色々波紋は呼びましたね。


でもあれ、癖と言ってしまえば本当にそれまで。

だがあの時の動きは、田口から正味3度か、目線での牽制を貰って…
近本選手は都度、おそらく計3回左手を動かした。

1度目は大きく腕を伸ばし地面と平行くらいまで挙げ、手の平は静止
2,3度目はほぼ同じ動きには見えたが、腕は脇の下の角度30~45くらいの斜め下くらい、手の平をヒラヒラ動かしていた
つまり大雑把に2種類の動きを見せた。

どちらの動きも「目線の牽制をもらうと左手が動くという意味で、広範な括りでの癖」ではあるが、動きの種類が「傍目から見て全然違う2種類あった」という時点で打者に何らかのサインを送ってるのか?という疑念を持たれても仕方が無く、この時点で12球団合意のアグリーメントに違反する行為に十分該当してしまっている。

癖って、もっと無意識かつ本能的で再現性がもっとが高いはずで、とはいえ人間って不完全で数センチ単位で違うくらいは当然ある。でもどんな時でも厳密には違っても1種類の同じ様な形にしか動かなければ「ああ、ありゃ単純にヤツのだたの癖だな」という認識でスルーされたはずで、指摘される事は無かったと思う。


で…、案の定、狂信的な方達から「じゃあ右手も動いたらアウトだな」的、超が付く単細胞で頓珍漢な指摘も頂いたんですけど…
それこそ「お前!このボケ、アホ!そんなバレバレのやり方すんなや!www」って味方からも総ツッコミ喰らうほどの馬鹿で、知人男性こと上田剛史さんも指摘されていたよう「プロがそんな事するかな」ですw。

【左手なら左打者の内角(右の外角)、右手なら左打者の外角(右の外角)】なんて小学校低学年の子が見ても分かるような単細胞な伝達方法は天に誓ってプロのレベルがする訳が無いw。そんな低次元の事を自分は疑ってる訳じゃ無い。

じゃあ何がポイントか?

先に指摘した動きが2種類あったという点をもう少し細かく分解していくと…腕の角度の違いが2種類、手の平の動きの有無の2種類がある訳で、2✕2=4で動きのバリエーションが計4種類作れてしまう事。その時点で4つのサインに「なり得る疑いが生まれてしまう」のですよ。
例えば、具体的にその4種のサインを使うと『内外角、高め低めの捕手がどの4隅にミットを構えているか』というコース限定の伝達は可能だし、他のパターンなら球種のサインは事前にスコアラーさんが穴開くほど相手チームの映像を見てサインを解読済みとか投手の直球とそれ以外の握りの癖が見抜かれていたなんて場合だと『腕の角度でコースの内外角を伝達し、手の平の動きで直球か変化球かを伝達』のようなサインとして十分使えてしまう。


「ええ…、そんな事言ったら2塁走者ってもう体動かせないんじゃないの…?」って指摘を受けそうですが、いや今のアグリーメントが2塁走者に求めている究極の努力目標ってそこなんですよ。
「如何なる疑わしい・紛らわしい事もしないようにする」事を走者に求めているんです。
なので近本選手の左手の動きの多さ、これはいくら間合いを測る為の癖だとしても有益とは言い難い。故に多くの走者は上半身の動きを減らして両膝の上に常に手を置いたり、脱力して両手を真下に常に垂らして、極力動きを減らす努力をしている訳で、彼のあの動きの多さはそこの努力不足は否定できないはず。

それから、もうちょっと奥まで突っむと、ぶっちゃけ2塁走者の上半身に全く動きが無かったとしても、2塁走者が第一リードの取り方を打者に分かるように意識的に少し変えるだけだって打者へのサインとしては十分使用可能だったりする。第一リードを取り終わった静止時にスパイクをグリグリして足下を固める動作をどちらか片方だけして何もしない時と使い分けるとそれだけで2種類、もっと単純なところだと歩数を変える、そんな細かい動作の違いですらサインとして使えてしまう。

正直じーっと見ていると「アイツみたいな鈍足に2塁牽制なんて絶対しないよなあ…」という第一リードが小さな走者なのに、リードの歩幅だけちまちま変えたりしている若干怪しげなケースは見受けられる。ただ、これはあくまで疑惑でしかなくて証拠には全くなり得ず、本当に足の遅い走者なりのより良い走塁の為の準備動作とも言えて、これを伝達行為だと言い切るのは非常に難しくて無理もある。悪魔の証明レベルの話になってしまう。

なので残念な事だが実は「いくら今のアグリーメントがあっても、やろうと思えばやりようは幾らでもある」というのが現実。
だが何もかも禁止にしてはキリは無いし、最終的には二塁走者のリード禁止まで行き着いてしまうので、規制をかけるにしても限度が今の条文止まりなのもやむを得ないと思う。

相手の動きの微々たる違いの全部が全部に嫌疑をかけ始めたら、野球にならなくなってしまう。なので守備側チームもある程度までは「アレ?もしかしてやられてる…?」という疑念を持ったとしても表向き抗議せず、ミットはリリース直前まで構えないだとか、逆球をサインとして要求するとか、一定の自衛策は当然用意しておくべき。そこがプロの世界の深~い駆け引きの範疇という事だと思う。

翌日以降は近本選手も、かなり意識して治してきたし、これ以上近本選手個人をどうこうってのは無しにしたいよね。阪神の監督・コーチの反応については朝もネチネチと個人攻撃的に愚痴ってしまって、しつこいヤツだと思われそうで情けないのは承知だが、幾ら愚痴っても言い足りないくらいなんでこれはお許し頂かれたしw。

今回の件、12球団全てが抗議を受ける側にまわる事は普通に起こり得る事。各球団、自球団の選手に疑わしき事をせぬよう周知徹底する良い機会になればいい。

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