勝利と育成と。

今日のヤクルトのベンチの起用に見る「勝利と育成」について思うところがあったので。


今日は相手の日ハムの先発は上沢と同列くらいで実質エース格、侍ジャパンの金メダリストの伊藤大海くん。そうそう点数は入らないゲームになるのかなと戦前には予想はしていた。

展開は1回表に先制2ランを浴びるも、2回に太田賢吾が古巣に恩返しの一打で1点返して1-2。

プロ野球ニュース的に言うなら…

ここで今日1つ目の熱視線!

4回裏。伊藤大海くんが突如制球を乱し、4番村上、5番中村に連続四球で無死1,2塁の同点まではマストと言える絶好機。
さて次は6番青木…のはずだったが…

何と!出てきたのは代打濱田

1-2の1点ビハインドの無死1,2塁。一番考えうるのは送りバントで1死2,3塁を作る事。さらに対伊藤大海くんには左打者の方が合っていそうだったし、一本適時打も放っている太田と左の長岡と巡りも良さそうな2人で勝負!
こう考えるのが至ってオーソドックス。
まず、ここでの代打自体がだいぶ不可解で、青木さんの体調不良か、それとも何か意図があっての戦術的交代なのか、そこがまず分からないので、あくまで自分の推測の域は出ないものの、仮に送りバントや右打ちで走者を進めたいなら、ベンチに荒木、宮本、奧村らの選択肢があったのに、何故か濱田をチョイスしたというのが大きなポイント

そして打席の濱田は…

初球。セーフティーバント気味の遅めの構えからのバント。これは上手く決まらずファール。
そして2球目。真ん中からやや内寄りのスプリットに対し、濱田は無理矢理に追っつけてセンターフライを打った。1塁走者中村は進めずも、2塁走者の村上は3塁に進塁させた
ただのセンターフライに見えるが打ち方は明らかに方向を決めていた
つまり…、濱田がこの打席でやろうとしていた事は『とにかく走者を進める事』。ベンチに他の選択肢があったにも関わらず、あえて濱田でそれをやるのかという驚きがあった。

彼は高卒ルーキー年、ファームで見逃し三振の判定を不服としてバットでベースの外にラインを引いて退場になるなど、野球のプレーにおける気性面での荒っぽさ、粗っぽさのあるタイプ、球団YouTubeだったかと思うが今年のキャンプでファームの宮出コーチだったかも、その辺を匂わせる話をチョロッとしていたかと思うw。そんな彼も4年目になり、追い込まれると持ち味のフルスイングは封印して軽打で右に追っつけたり、粗っぽさも荒っぽさも少しずつ磨かれて『ちょっと大人のプロ野球選手になってきつつある』段階なのかなとw。

如何せん、真相が分からないので想像の域だが、ベンチが青木さんが体調面でなく、意図的に濱田にあの無死1,2塁を与えたのだとしたら、これはベンチの腹の括り方が凄いなと。
これまでの育成方針を見ても、そういう仕事は彼にはほぼさせてこなかったはずだが、現状外野はセンター塩見は完全不動、全然機能しなかった2番も山崎がどハマりでしばらくは不動。まだすぐ一軍で使わぬだろうが新外国人のキブレハンは一塁も可能らしいが主に外野手。青木さんも6番になってから良い場面で打って若干上り調子。
となると…、ベンチも代打だけの濱田ではハンドリングが若干手に余ってくる。

今日のこの代打濱田。
ベンチが意図的に送ったのであれば「往年の輝きこそ無くなってきてるけど、青木ならここは大体、進塁打は期待出来るね。でも君にこの1打席あげるから、何が出来るか見せてみて」というかなりシビアな実戦テストを行ったのではないかと想像する。
こういう場面で最低限の仕事がこなせるなら、6番青木に代わるスタメンで6番濱田を使う理由が立ってくる。実は青木さんも最近は走者進める打撃は余り出来て無いから。
そして、濱田は何とか最低限、2塁走者村上を進めるという結果を残した。パッと見ただのセンターフライで試合の中で全然目立たない1シーン。でも実際次の太田で同点スクイズを敢行したあたり、ベンチは濱田に『絶対に2塁走者進めろ!』というタスクを課していた可能性は結構あると思う。

その辺り、高津監督は勝利を役立つ新しい仕事を若手に課しながら、かつベテランとも競争をさせて、勝利と育成を同時進行でやろうとしているのではないかと思われる。かなり欲張りだが。

2つ目の熱視線は…10回表の木澤登板

これは昨日大西が打たれて、だったら9回頭から木澤なんじゃ…的なツッコミをもらったが、昨日は昨日で使わなかった理由はあって、9回表も同点だったので、延長になる可能性も当然あったので、連日勝ちパを延長戦で投入はなるだけ避けたかったと思うので木澤は残したのだと思う。
で、晴れてと言うのも少し違うが、結局今日が延長戦に。
ただ、今日は勝ちパのリリーフは連投では無くなっているので、10回表は当然同点だが清水投入でも良かった。
それでも木澤にしたのは、交流戦が終わるまではずっと火~日の6連戦続き。勝ちパターンはなるだけ勝ってる展開で使うという原則やカード勝ち越しも決めていたので、彼らの消耗を避ける意味で10回表に木澤をチョイスしたのだと思う。
これはある意味では「舐めプ」とも取られる可能性もあるしリスキーでもある。それでも腹を括って失敗も当然織り込みつつも、高津監督は勝利を求めつつも育成を考えた起用をしているのだと思う。

結局、最近の木澤は投げる場面が少々重くなって、その場面の重圧に負けて課題だった制球も乱れ、結果も少し悪化していて、今日は悪くなってきた中でも一番悪いくらいの形になってしまった。
イニング先頭清宮に四球、代走中島に盗塁で動かれ、結局はストライク取るのに汲々、挙げ句速球(ナチュラルシュート)をベースの随分手前に叩き付けてのワイルドピッチで失点する始末。これは擁護は出来ない。
でも、監督も結構大事な場面で我慢して使うのを諦めていないのは期待をしてるから。ただ当然だが我慢にも限界はあるはずなので、そこは木澤自身が乗り越えてくれることをただただ願わんばかり。
監督の勝ちながら育って欲しいというその期待に何とか応えて欲しい。

「勝利と育成と」という題名を立てたが、結果的には今日は負けてしまったので両立した訳では無い。
普段の仕事や日常生活だって経験値の少ない頃は誰だって失敗はするもの。
だが、若い選手を本当にシビアな場面で使って、その中で成功体験を掴んでもらって高いステージに登ってきて欲しいという起用方針にブレが無い事に感心はしている。腹括ってるなと。


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