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エネルギーをめぐる旅

買ったきっかけ

安宅さんがtweetしてたから


本のメモ

どんな人が書いているか

日本石油に新卒入社して、今はJX石油開発で働いているらしい。へえ

第一部: 量を追求する旅

火による加熱食が、人類に

  1. 肉からのエネルギー摂取

  2. 殺菌による免疫系の負担減少

をもたらしたことで、人類が胃腸を縮小し、脳へエネルギーが行くように進化できた。

太陽エネルギーが

  1. 農耕による人口増加->奴隷による古代~中世の人的エネルギー(労働力)を支え、文明の発展に寄与した

  2. 木材による建築・(木材を燃料源とした)金属の精錬を可能にした

蒸気機関による産業革命が
熱エネルギーから運動エネルギーへの、エネルギーの変換をもたらした。
また、資本家(工場経営者が地主に取って代わった)と労働者という社会階級も同時に生み出した。

電気エネルギー(交流電流)の発明によって、エネルギーの移送が可能になった。

第二部: 知を追求する旅

熱力学の第一法則・第二法則は

  1. 何もないところからエネルギーを生む技術

  2. エネルギーの質の劣化を逆転させる技術

の発明が不可能であることを示している。

この事実から、近年は情報通信技術の発展が注目されがちであるが
これらへの信仰を捨てて、エネルギー問題(人類がエネルギー消費を増加させてきた傾向)へ向き合うことが必要。

人類がエネルギー消費を増やしてきた目的は、「時間を早回し」するためである。生物としてのヒトの体内時計を考慮すると、早回しされた時間の流れは人類にとって無理があるほど早い。

第三部: 心を追求する旅


エネルギー問題は考えるにあたって、経済合理性という概念と相性が悪い。
なぜなら、"判断の前提となる情報が正しい"という仮定を満たさないから。
何が投資効果か算出することは比較的可能だが、どの範囲までコストか考えるのが難しい。
例えば、原子力発電所がもたらす災害のコスト、公害がもたらすコストなどの影響を算出することは困難である。
公害などの外部不経済への対策費用を含めて費用対効果を算出することを「内部化」というが、どの範囲の外部不経済まで内部化すれば公平なのか、世界的な基準が必要である。

->世界的な基準さえあれば持続可能な経済成長が実現できる、という意味?(本文でそこまでは言及されていない)
->内部化において、内部化の対象範囲が決まればコストの算出は可能なのか。世界的な統一基準があれば良いという議論の進め方にみえるから、それはYES(可能である)っぽい?

第四部: 旅の目的地

エネルギー資源の枯渇よりも先に到来するであろう、気候問題に注目すべきである。気候問題とは、具体的には、人口増加と気候変動による海面上昇のよって引き起こされる利用可能な土地の奪い合いである。
気候問題を解消するにあたって、枯渇の心配がなくエネルギー源になりうるものは、太陽エネルギーと原子力エネルギーである。

しかし、どちらをエネルギー源の中心とするにしろ課題が存在する。
太陽エネルギーはエネルギーの密度が低く貯蔵が難しい。
原子力エネルギーは、現在使われている核分裂反応よりも安全性が高い、核融合反応による原子力の利用が注目されているが、今のところ実現が難しい。

気候問題を解消するもう一つの方法として、一人当たりの消費活動を抑制し、二酸化炭素排出量を削減するといいう方法がある。
SDGsを例に、世界中の一人一人が持続可能な成長に目を向け、
「時間を早回し」することを求めずに本来の生物としてのペースで生活することに納得すべきである。

読んだ後

気になった概念とか

・散逸構造
熱力学の第二法則に従って、エネルギーの流れは無秩序になる方向に向かっているのにも関わらず、外部から継続的にエネルギーを受け入れて最後には放出する系(例えば、太陽から持続的にエネルギーを受け取る地球)には、
秩序(地球で言うと生物)が現れるという構造。
また、構造を維持・発展させる(例えば文明の発展)には、より多くのエネルギー消費が必要である。
これが、人類がエネルギー消費を増加させてきた理由である。
->むずかった

・環境クズネッツ曲線

感想

・〇
↑のメモに書いたところの8割くらいは読んで面白いと思えた。
宗教とか歴史の話はたくさんあったけど、興味なくてメモしてない。興味ある人はもっと楽しめるかも。

・×
結局最後精神論みたいになるのありがちすぎる。教育論とかもそう。
こういう本、大体最初は事実とか理論で話を組み立てるのに、徐々に筆者の感想増えてきて雲行き怪しくなるのがわかる。
みんなの意識が大切!みたいなの結論に持ってこられると、またか…ってなる。