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総合的な保健教育がいよいよカンボジアで

自分が小中学生のころ、保健の授業を受けたかどうか、正直記憶にない。保健室に呼ばれて生理やら性教育やらを女子と男子にわけてされたことは、なんとなく覚えています。高校生になると、保健体育の先生がいろいろ教えてくれたのかもしれないけれど、わたしが覚えているのは、WHOの保健憲章の英文を丸暗記させられたことだけ。正直何かの役に立ったとは思えません。

他の科目に混入した保健教育

カンボジアでは、2025年から、いよいよ総合的な保健教育が独立した科目としてスタートします。しかも驚きなのが、小学校1年~高校3年まで、毎週1時間授業がある予定となっていること(考えてみると、めちゃくちゃ多い)。では、いままではどうやって保健を教えていたかというと、社会、理科、生物といった、他の科目の中で、保健に該当する部分が教えられています。

なので、カンボジアでは保健は教えられていなかった、と言い切ってしまうには語弊があります。
しかし、これから保健を教えるかもしれない小学校、中学校の教師たちに、「学校保健がはじまりますが、教えられますか?」と質問してみると、ほぼ全員が「教えた経験がないから難しいと思う」と答えています。どうやら、保健は性教育や、医学的なこと、という考えがあるようなのです。

総合化されることの意義

これまで、他の科目の中で教わってきたので、子どもたちも「保健は勉強したことがない」と言い切るし、教師たちも新しい科目として身構えてしまいます。しかし、総合されることによって、つぎはぎのように教えられていた学校保健が、すべて関連づけられて学習されることができます。
理解度は上がるでしょうし、何よりも、暗記する勉強というよりは、自分の生活の中に取り入れて、健康に生きる、という人間としての豊かさにつながる重要な科目になると考えられます。
これが、総合化されて独立した科目になることの意義のように思います。

今週、カンボジアで発生した市中感染の拡大に伴い、プノンペン都とカンダール州では、また2週間の学校閉鎖がはじまっています。
安全を守ることは第一ですが、子どもたちの教育がストップされることは悲しいです。
これからはじまる学校保健が、同様の事態が将来起こった時に、教育を止めずに安心して学校に行けるようなオペレーションのヒントにつながればいいな、と思っています。


(プロジェクトコーディネーター YM)

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