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保健室の先生をどうやって育てるか

カンボジアの公立の小中学校には、まだ正式に保健室の先生がいません。
私立や一部の特別な学校では保健室があって保健の先生がいることもありますが、国全体ではまだ途上にあります。

カンボジアで学校保健の本格的スタート

カンボジアの教育省は、現在、全国の小中学校に保健の授業を入れるカリキュラムと教科書の作成をしています。これまでは、理科や社会等に組み込まれていた保健が独立をすることになり、いよいよ本格的に学校保健が科目としてスタートする準備に入っています。
では、誰が教えるのか?

学校保健教師の育成はどやって?

カンボジアで小中学校の教師になるには、教員養成校で2年間勉強し教員免許を得るというのがこれまでの教員養成でした。しかし、2018年から、プノンペン都とバッタンバン州の2つの教員養成校が、4年制に移行し、教員養成大学が誕生しました。
これまで2年で養成していた教師を、日本をはじめとした他国の教育学部のように4年間かけてじっくり育てます。
その中で、学校保健の教師の育成もはじめるわけですが、現在、学校保健について教える教官がいません。その国になかった教科だから当たり前ですが。

そこで本プロジェクトでは、学校保健の教師になる人を教える教官の育成からまずははじめていきます。

第一ステップは教官の育成

教員養成大学の教官の中で、大学や大学院で保健を少しでも勉強したことがある人、理科や社会といった他の教科の中で保健のことを教えたことがある人、そして学校保健に興味がある人、それらの人を保健教官候補として選びました。
カンボジア初の、学校保健の教官になるわけです。そして彼らがやがて、カンボジアの公立学校の学校保健教師を育成していくことになります。

8月に候補者たちとプロジェクトチームでのはじめてのグループディスカッションを開催しました。3月に第一回のワークショップを開催して以来、約5か月ぶりのイベントとなります。
現状、集合して開催することが難しいため、日本・プノンペン都・バッタンバン州をつなぐオンラインで行うこととなりました。

学校保健への情熱

ディスカッションでは、学校保健教官の候補者たちから、カンボジアにおいて学校保健が本格的にスタートすることに対しての情熱が感じられました。カンボジアの子どもたちの成長のためには、学業だけではなく、健全な心と体が保たれなければならないということが、口々から語られました。
現在、コロナウィルスの世界中での感染を受け、8月現在、まだカンボジアの小中学校は休校中です。だからこそ、教育と保健との関係について考える機会も多くなったのかもしれません。

わたしたちのプロジェクトは、焦らず、しっかりと、カンボジアの現状に即して学校保健の教師の育成を行っていきます。
そのための第一ステップはとてもいい感じでスタートしたと感じています。教育の支援は、まずは人づくりから、そう思っているからです。


(プロジェクトコーディネーター YM)

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