『それぞれのカタチ』

作;ゆーたん(前半)×SELa(後半)

Act

かいと:平凡な空虚な毎日を過ごしているサラリーマン
ゆうな:謎の女性。いつもブランコに座っている。研究員らしい。
けんじ:ゆうなの元彼

※なお、配役は台本の内容に全て目を通した上で決めることをお勧めします。


【以下本編】


ゆうな「今日私達は結ばれ」
かいと「今日俺は彼女に殺されたんだ、、、」

(以下ナレーション全てかいと。セリフのみ、ゆうなも参戦)
(ナレーション中の役が支持されていない「」はかいとの心の声の一部なので、かいとがよんでください)
(以下「」の前に名前表記しているのは、実際にキャラが声を発して話ししています。後半も同様です。)

それは1年前の丁度寒い冬のことだった。
それまではただ仕事に明け暮れ、ごく平凡な毎日を過ごしていた。

何を目標としてだとか、何が楽しいだとか、
何を活力として生きていけばいいのか正直言ってわからなかった。

暗い感じに聞こえるかもしれないが別に息苦しいとかそんなんじゃない、
ただ何もない同じ毎日を繰り返すそんな俺の心に大きな穴があいていた。

それはある帰り道でのことだった。

「今日は早めに仕事上がらせてもらったな」

「買い物も済んだし、さっさと家のことすませてゆっくりするかー」

いつもの帰り道、普段は何も気にせずただ通り過ぎていた。

だけど今日は違った。何故か何もない公園に目が行ってしまった、
と言うか公園のブランコに腰をかけていた女性に目がいってしまった。

その女性はとても美しかった。
けど、なんでだろう…何故か悲しい顔をしているように僕はそう見えた。
それからの毎日、僕は彼女がいるか気になって公園を覗いた。
公園を見ると彼女はいつもブランコに座っている。


「いつからここの公園に来ているんだろう。」
「なんでいつも公園なんかにいるのだろう。」


気が付けば僕は声をかけていた。

かいと「あのー?」

声をかけるつもりはなかった。
彼女はスマホを触っていて気がついてないみたいだ。


かいと「あ、あの、すいません?」

ゆうな「ん?あ、はい…」

かいと「ここの公園…好きなんですか?」

ゆうな「はい?」

かいと「あ、毎日この時間に公園にいるもんですから、なんか…気になっちゃって」

ゆうな「ヘンタイ」

かいと「いや、違いますよ!気になっただけですって」

ゆうな「クスッ 冗談だよ?笑ムキになりすぎ」

ゆうな「ここのこの時間が1番落ち着くんだー夕方から夜にかけて、
なんか色々考えられるって言うか、ボーとできるって言うか。
だからねこうして毎日ここでゆっくりしてるんだ。ちょっと寒いけどね笑」

かいと「なるほど…だからいつも悲しい顔をしてたんですね…」

ゆうな「え?」

かいと「え、あ、すいません。今言ったことは忘れて下さい」

ゆうな「クスッやっぱり君は面白い人だ(小声で)」

かいと「ん?今なんて?」

ゆうな「なーんでもないよ。君って面白いね?笑」

ゆうな「そっかー悲しい顔をしてたかー。まぁあながち間違ってはいない…かな?」

ゆうな「ねぇ少しお喋りしよっか?」


彼女の名前はゆうな
それから長い時間お互いの紹介やら、たわいのない話をした。
楽しい時間はあっという間で、気がつけばあたりは暗くなっていた。


かいと「あ、もうこんな時間かーゆうなさんは帰らなくていいの?」

ゆうな「うん。うち一人暮らしだから基本的に門限とかないの」

かいと「そしたらさぁまた明日も良かったら話しない?」
かいと「なんか久しぶりの感覚って言うか久しぶりこうやって仕事以外で人と話すのが…」

ゆうな「いいよ。しょうがないなぁ付き合ってあげるよ」

かいと「なんだよその言い方!よし、決まりね!んじゃ…また明日」

ゆうな「また明日ね!」


このまま平凡な毎日の繰り返しだと思っていた。
「正直嬉しい」
僕の心の大きな穴が閉じていく…そんな気がした。


それからというもの毎日の仕事帰り、公園に寄ってブランコに座っているゆうなと夜遅くまで話をする。そんな日常へと変わっていった。
いままで沢山のことを話した。
でもその中で唯一話をそらされることがある。

「いつも悲しい顔をしている理由。」
一二回ぐらいしか話は出していないがこの話をすると彼女は涙目になり身体を震わせ黙り込む。


ゆうな「やめて。」


「相当深刻な問題なのか?」

そう思いながらもこれまではそれ以上は触れてこなかった。
でも、ゆうなとここで出会ってもうすぐ1年…時間が経てばってことではないのだが

「ここしかない、、、」

かいと「ゆうな?最初の頃にも話した事あるんだけど、…」

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