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なつかしい味、りんごとさつまいものレモン煮

私にとって、ある種の郷愁を誘うたべもの。
りんごとさつまいものレモン煮。

りんごとさつまいも、秋においしくなるもの同士、よく合う組み合わせです。これにレモンを組み合わせたものは、甘酸っぱくほっくりとおいしくて、素朴で、どこか懐かしい味わいです。

私は高校三年間を学寮で過ごしました。毎朝6時起床、6時15分からお掃除をして朝ごはんの配膳をして、6時半頃から朝食をいただくという生活です。まだ暗い冬の日の朝も、夜更かしして眠い朝も、こーんな鐘をガランガラン鳴らす音で起こされて、、、

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眠い目をこすりつつ慌てて布団から出て、その日に割り当てられた場所(洗面所とかトイレとか食堂とか)を掃除してました。冬なんか、まだ外は真っ暗です。

朝ごはんは、毎朝ほぼ変わらず 
 瓶牛乳 パン サラダ ときどき果物
という献立でした。サラダは基本的にグリーンサラダで、スクランブルエッグやハムがついたり、春雨が入っていることがあったり。パンは食パンだったりブドウパンだったり、たまに菓子パンみたいなのが出ることもあったり。その程度の違いで、基本的に毎日、ほぼおなじ。

そんな朝食でしたが、たぶん秋から冬にかけてたまに、ほんとにたまーに、りんごとさつまいものレモン煮 というものが出ることがあったのです。ほんのり温かくて、甘酸っぱくて、大好きなおかず(デザート?)でした。同窓生が集まると、今でもみんな「あれが朝ごはんに出ると嬉しかった」と言う、それが りんごとさつまいものレモン煮。

大人になってからもなつかしく、自分でもよく作りましたが、これは酸味がだいじ、なんですね。レモンもきいていますが、りんごにもしっかり酸味がないと味がぼやけてしまう感じ。当時はたぶん、紅玉を使っていたと思います。

ジャム屋として、あの懐かしい味を瓶に閉じこめたくて試行錯誤。そのままの甘さでは保存がきかないけれど、砂糖を増やしただけでは、きんとんになってしまうし。さつまいもはなめらかに、りんごは少し形が残って、ほんのり甘酸っぱい。瓶からそのまま食べたくなるような、あの、りんごとさつまいものレモン煮をコンフィチュールで再現してみたい。

そこで思いついたのが、酸味のあるりんごで作ること。酸味のきいたりんごといえば、毎年小布施の生産者さんから取り寄せているブラムリー。

ブラムリーについての記事は、こちら。

ブラムリーはイチョウ切りにしてグラニュ糖をまぶし、さつまいもは皮をむいて水にさらしてから柔らかくなるまでゆでます。

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りんごとさつまいも、多めのレモン果汁を合わせて煮ます。さつまいもは軽くつぶして、りんごもすぐにホロホロと実がくずれますが、完全にペースト状になる前に火を止めると、りんごの食感が残ります。

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ふんわりコッペパンにはさんだり、カリッと焼いたトーストにたっぷりのせたりして食べたくなる、どこかなつかしい味わいのペーストができました。

りんごとさつまいもって、なんだかとても滋味あるというか体の温まりそうな組み合わせですよね。

私はこれを食べると、寒い冬の朝を思い出します。
冷たい水しか出ない水道の蛇口、ひえびえとした廊下を照らす蛍光灯、ようやく明るくなり始める窓からの景色。食堂に下りていく階段。
りんごとさつまいものレモン煮がある朝は、ちょっとだけ温かい気持ちになれて、嬉しかったなぁ。

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