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QAエンジニアになりたかったテスト係がISTQB FLを取得した話

こんにちは。QAエンジニアのBarbaraです。次世代店舗創出プラットフォーム「O:der Platform」の開発においてO:der ToGoの品質保証を担当しています。 この記事はShowcase Gig Advent Calendar 2021の21日目の記事です。

本エントリではタイトルの通り、ISTQB FL(Foundation Level)を取得したお話をします。

あなたはQAエンジニア?それともテスト係?

いきなりですが、私はShowcase Gigに入社するまで「QAエンジニア」を自分で名乗ったことはありませんでした。Showcase Gigが「QAエンジニア」というポジションを募集していてご縁があり採用された結果「QAエンジニア」になりましたが、単に「QA」と言ったり「テスター」や「テストエンジニア」と呼ばれる役割と何が違うのか、組織ごとに定義があっても業界で統一された定義はないと認識しています。IT業界は間口が広く様々なバックグラウンドの方が活躍されていますが、QAも例外ではなくコンピュータサイエンスなど専門的な学位を持って働いている方の方が少数に感じます。私の場合も大学では法律を学び、初めてIT企業にQAとして採用されたときはまったくの未経験でした。

どんなスキルを持っていたら胸を張ってQAエンジニアを名乗ってよいのかわからず悶々とする気持ちを初めてQAになったときから抱えていました。QAという仕事の一般的な認知度の低さもあり、初めてお会いする方に仕事の説明をすると「あー、テスト係ね!」と言われてそれ以上説明できなかったり。

Showcase Gigに転職した動機はQAとして成長するため。そしてテスト係脱却のため、QAとしての知識とスキルを証明するためにISTQB FL取得を今年の目標に設定しました。

ISTQB is 何

ISTQBはInternational Software Testing Qualification Boardの略称で、ソフトウェアテスターの認証団体です。認証をうけられるパスはAgile、Core、Specialistの3種類あり、その中でも今回私が取得したFLはどのパスに進むとしても必須の資格です。

ISTQBが認定しているJSTQBという団体が日本にあり、JSTQBも日本語版のFLの試験を実施しています。しかしJSTQBは受験回数が限られている(2月と8月に1回ずつ)のに対して、ISTQBはほぼ毎日受験できます。今回は初めての受験でしたが、年に2回しかない試験はプレッシャーが大きすぎるのと、もし不合格だった場合に半年間も学習意欲を保つ自信がなかったのでISTQBを選びました。また、FL取得後にさらに専門的なソフトウェアテストの資格取得を考えている方は、ISTQBの方が受験できる試験の種類が多いのでお勧めです。

受験申し込みの流れについてはこちらの記事を参考にし、プロバイダはBrightestを選びました。

ほかのプロバイダを体験していないので比較はできないのですが、Brightestの良かったところは試験の48時間前であれば日程の変更とキャンセルを受け付けてくれるところです。試験日に合わせてコンディションを整えていても突然体調が悪くなることもあるし、プロジェクトの進捗が思い通りにいかないこともあるので、柔軟な日程変更ポリシーはとても助かりました。後で見返したい問題はフラグをつけておける機能も便利でした。試験終了後部屋を出てすぐに試験結果をいただけるのも良かったです。

ISTQBの学習でお世話になったのはテス友Pluralsight です。テス友は実際の試験に即した4択問題の形式で勉強できてしかも無料!とすばらしいのですが、気を付けないとただ試験に合格するための正解を詰め込むだけの勉強になってしまうので、動画学習サイトのPluralsightを利用しました。それぞれの分野のエキスパートがケーススタディなどを交えてわかりやすく説明してくれます。とはいえいきなり有料会員になるのはハードルが高いので、毎年4月に開催されている無料お試し月間を利用してみるのがお勧めです。

FLってどんな試験?

FLの出題領域は以下の6つです。

テストの基礎

  • テストとは何か

  • テストの必要性

  • テストの7原則

  • テストプロセス

  • テストの心理学

ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通してのテスト

  • ソフトウェア開発ライフサイクルモデル

  • テストレベル

  • テストタイプ

  • 保守テスト

静的テスト

  • 静的テストの基本

  • レビュープロセス

テスト技法

  • テスト技法のカテゴリ

  • ブラックボックステスト技法

  • ホワイトボックステスト技法

  • 経験ベースのテスト技法

テストマネジメント

  • テスト組織

  • テスト計画と見積もり

  • テストのモニタリングとコントロール

  • 構成管理

  • リスクとテスト

  • 欠陥マネジメント

テスト支援ツール

  • テストツールの考慮事項

  • ツールの効果的な使い方

こうやって出題内容を羅列すると覚えることの量の多さに圧倒されてしまいそうですが、FLはソフトウェアテストの基本的な概念や実践的な知識を4択の選択肢で問うので、QAやそれに類する業務を経験なさっている方はすでに感覚的に理解していることも多く含まれているはずです。ではISTQBの資格取得の勉強は無駄なのかというとそうではなくて、ソフトウェアテストの全体像を体系的に理解して、実務の経験で得た点の情報を線でつなぐことに意味があると考えています。ちなみに私の各領域の得点は以下の通りでした。

テストの基礎:87
ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通してのテスト:80
静的テスト:20
テスト技法:90
テストマネジメント:77
テスト支援ツール:100

わかりやすく静的テストの得点が低いです。

静的テストとは、作業成果物の整合性や内部品質の評価をソフトウェア開発サイクルの初期に適用して、欠陥を早期に検出することを目的としたテストです。静的テストを実施するレビューというプロセスにも形式や技法があります。開発の上流から不具合の原因になる欠陥を取り除くことで積極的に品質向上をしたいと考えながらも実務で実践できていないこと、理解の浅いことが可視化できたことはとてもよかったので、FLは合格したけれどもこれからも学習と実践を重ねていきたいです。

ISTQBを取得するメリット

ISTQBを取得して一番メリットを感じたのは、QAとしての自分の知識に自信が持てたことです。ソフトウェア品質保証の基礎となる部分を体系的に学び理解し、その成果が試験で証明されたので、ちょっと難しい問題が業務中に起こっても「我、ISTQB保持者ぞ?」と私の心の中の平安貴族が余裕を取り戻させてくれます。余裕は大事です。

2番目のメリットは社内のほかのQAや開発者と共通言語を持てたことです。Showcase Gigで働く前に2社でQAとして働いてきましたが、社内にほかのQAがいなかった、そして社内共用語が英語だったという少し特殊な環境でした。なので社内で使われていたテストや品質関連の語彙が、業界で一般的に使われている意味と同じかどうかがわかっていませんでした。Showcase Gigに転職して念願のQAチームに所属しほかのQAエンジニアの方達とお仕事ができるようになったので、ソフトウェアテストに関する基本的な概念や知識が共通である認識の上でほかのQAの方と議論できるのがうれしいです。

最後に:Showcase GigのQAエンジニアになりませんか?

ここまで読んでくださってありがとうございます。ISTQB受験を検討していた方の参考になればうれしいですし、また、これまでISTQBを知らなかったけどちょっと勉強してみようかなと興味を持つきっかけになればもっとうれしいです。

Showcase Gigは社員の目標達成と成長を支援してくれます。今回の受験費用も事前申請と事後レポートの提出を持ってスキルアップを目的としていたと認定されサポートしていただきました。私たちのQAチームはまだ小さいですが、私を始め個性的なQAメンバーと一緒に成長してくださる仲間を大募集中です。



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