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映画とかのはなし

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観た映画やドラマのはなしを書いたnoteが入ってます。シナリオ創作に役立つ技術よりのはなしを書いているつもりです。
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#映画

時代・場所・人物。説明せずに伝える方法を映画『Back to the future』から盗む

シナリオ・センターの新井です。 久々に、シナリオについて、少しはためになるであろうことを書ければと思います。 先日、映画『Back to the future』が放送されてました。観た方も多いのではないでしょうか。 偶然にも、先月、某ゲーム制作会社のディレクター職とライター職の方向けの研修で、『Back to the future』の分析を課題にしました。 そこであらためて気づいた『Back to the future』の『起』の秀逸さについて、書いてみたいと思います。

生きづらさの正体を『花束みたいな恋をした』『すばらしき世界』に観る

「学生たちはね、ある限られた箱の中で、個性をだせって言われているようなものなんですよ」 表参道の昼下がり。オープンカフェで、まだ肌寒い青空のもと、大学のキャリアセンターで特任教授をされている方と、コーヒーを飲みながらそんな話をしていました。 ふっと『花束みたいな恋をした』と『すばらしき世界』のことを思い出しました。 生きずらさの原因はなんだろう「『ゴールデンカムイ』を読んでも、ぜんぜん頭にはいってこないんだよ!」 と、なげく『花束みたいな恋をした』の麦くん。 「はははぁ

がんばれ映画館!映画館そのものの価値はもっとある

水曜日のあらいです。 映画やテレビドラマの脚本家を養成する学校を運営する身としては、2020年の映画興行収入は気になるところです。 映画館、がんばって! 文化通信さん1月21日の記事によると、邦画、洋画配給会社のうち大手11社の2020年の累計興行収入は、1179億8千万円で、前年比51%だったとか。 ミニシアター系ではどうでしょうか? 武蔵野館などを運営する武蔵野興業さんが、年間興収3億2千万円で、前年比62%だったそうです。 2020年は、映画界にとっても、相

映画プロデューサーの視点。TCP最終審査会から探ってみた2020

2020年も、TSUTAYA CREATORS' PROGRAMの最終審査会に伺ってきました。 TSUTAYA CREATORS' PROGRAMとは…… 『TSUTAYA発の映像クリエイターと作品企画の発掘プログラム。「本当に観たい映画作品企画」をプロ・アマ、年齢、性別、国籍など一切の制限なく募集』公式サイトより https://top.tsite.jp/special/tcp/ で、昨年の模様もnoteでまとめたので、今年の模様も「プロデューサーってどんな視点で企画を

セリフは少なくても雄弁。映画『ソワレ』にみる会話とセリフの違い

8月の終わりに、映画『ソワレ』を観に行きました。季節感も、この時期にぴったり。なので、いま、観ておくことをお勧めします。 主演は、類稀なる吸引力で日本映画の台風の目になりつつある村上虹郎と、独特の存在感で鮮やかな印象を残す新星、芋生悠。監督は、センシティブな感性で唯一無二の世界観を作り出す新鋭、外山文治。そして、プロデューサーは、この若き才能とともに日本映画の未来を見つめ、手探りで映画初プロデュースに果敢に挑んだ豊原功補と小泉今日子。 映画『ソワレ』公式サイトより そんな

映画を映画館で楽しむ。いままでよりちょっぴり慎重に

『Save the cinema』だなんだといったところで、映画館に行ってお金を落とさなければ意味がない、ということで、6月7日の日曜日に久々に映画に行ってきました! でも、よく考えたら、言ったのは日比谷ミッドタウンの東宝シネマズ……ミニシアターではないという。でもでも、ジム・ジャームッシュ監督の『デッド・ドント・ダイ』が観たかったのだもの。 で、思ったのは、やっぱり映画館は恐れる場所ではなく、安心して楽しめる場所じゃないの?ってこと。 その理由、まとめてみました。

ミニシアターが好きだったころ、モテなくなかった?という話

日本の映画文化、ピンチ!だから映画好きのみんなで、「ちょっとした支援」をしていこうと、「ミニシアター・エイド基金」が立ち上がりましたね!絶賛、応援していきましょう!! ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金 個人的には、つい最近は『さらば青春の光』を下高井戸シネマで満喫しました。 そして、今のところぼくの中で一番ヒットした映画が、『ヘヴィ・トリップ』!『パラサイト 半地下の家族』よりも、楽しんでしまった……というと失礼だけど、とにかく楽しい映画なわ

『パラサイト 半地下の家族』と『ヘヴィ・トリップ』。教養と趣向のはざまで惑う

米アカデミー賞にもノミネートされている話題の映画『パラサイト 半地下の家族』。もうね、誰がどう観ても面白い映画なわけです。 なにより、観た後に語りたくなるもの。 でも……僕にとっては、星4つ。★★★★☆ で、『ヘヴィ・トリップ』が文句なしの星5つ。★★★★★ 『ヘヴィ・トリップ』は最高に面白い映画!でも、正直言って、ポップコーンを片手に観るのが似合うタイプの映画。 だって主人公は、気が弱すぎるヘヴィメタルバンドのボーカルで、緊張すると吐いちゃうんだもん。 でも、『