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作品解説なんてやんないよ

って、言うときながら
結局書くんかい!
人間なんていいかげんだよねー

でも作品創りにおいては全然いいかげんではなくて、100%を詰め込んでショートドラマを来年2月までにあと14本公開したいと思っているわけです。

観てない人は観てから読んでね。

YouTubeを始めようって言ったって、特に喋りが上手いわけでもなく、絵的に映える出で立ちでもないので、ショートドラマを書いて撮って編集しようと思った次第です。

7月末に公開した『最後のハンバーグ』は、前作の『友だち』と比べて明るく楽しくわかりやすい仕上がりになったのではないかと思ってはいます。主人公の牧野和泉と、それに対応する佐賀美唯の両キャラクターを、西村柚芭と沖知来が本当に愛くるしく演じてくれました。

「愛くるしい」という表現がとても似合うショートドラマなのです。結構ビターなことを言っているので、そんな2人を設定してみました。作品を作る際には、まずどんな物語にするかストーリーを決めてシナリオを書きますが、シナリオには大抵の場合テーマがあります。この作品のテーマは、戦争だ! というと少し語弊があって、テーマなら「戦争はダメだ!」とか「戦争も時にはよいものだ」という風にしなければならない。

じゃあこの『最後のハンバーグ』という作品のテーマはなんだったのか。また暇なときに考えてみてください。テーマを表現するための舞台装置として、「題材」があります。今回は料理教室、という題材を使って、夢というものについて書こうと思いました。

主人公の牧野和泉は、料理が好きで好きで堪らなくて、将来は好きな料理に関われる仕事をしたいと思っています。だけど実力が伴わない。牧野和泉はとてもとても料理が下手なんです。

その現実を受け入れたくなくて耳を塞いだりしていますが、世の中にはどうしようもないこともたくさんある。伸ばした手があの大空に届かないなんてことは、おそらくみんなが気がついていることなのです。

それでも尚、両手を伸ばして足掻いてもがいて必死にがんばる姿が人間らしいこともあるでしょう。だけど生きていくためにはただそれだけではいけないと妥協したり諦めたりするタイミングも来てしまうのです。

牧野和泉は本当に料理が好きだったけれども、シェフになったり、飲食店の雇われ店長になったり、料理研究家になったり、スナックのママになったり、インスタで料理について毎日フィード投稿したりするのではなくて、全然別の違った仕事をする会社に就職するんだ、ということを言わせました。

好きなことを仕事にしなければならない。
あるいは
好きなことに少しでも関わる仕事をしなければならない。
どうせなら好きなことを仕事にしよう!
好きなことで食べていこう!
そうでないと人生は楽しくない。
そうでないと生まれてきた意味がない。

そんな綺麗事は聞き飽きたんじゃないですかね。

そんなわけないじゃん。

好きなことを仕事にしなくてもいい。
好きなことに少しでも関わる仕事をしなくてもいい。
好きなことは趣味でやってればいい。
それで食べていく必要なんて別にない。
好きなことを仕事にできなかった人生は悪ではない。好きなことをやってなくたって、生まれてきた意味はあるんですよ。

佐賀美唯は、牧野和泉の料理教室に最後まで残っていました。友だちもいたはずなのに、友だちと一緒には辞めずに、最後まで牧野和泉に付き合いました。なぜか。優しくていい子だからです。佐賀美唯は、ひとりになる牧野和泉を放っておくことができなくてひとりこの教室に残りました。それは、この作品の根幹にある「優しさ」に呼応しています。

このドラマは、ビターだけど優しいメッセージを備えているのです。

暇なときにこの作品のテーマを考えといてと言いながら全部言っちゃった。ね、冒頭に書いた通り人間なんていいかげんなんだ。牧野和泉だって、またひょっこり料理の世界に戻ってくるのかも知れない。そのときは佐賀美唯をスタッフとして雇うのかも知れない。いや、実力的には逆なのか。

というとてもわかりやすいショートドラマでした。面白かった? 今月はまた夏に相応しいややこしいホラー作品を用意していますので、お楽しみに。

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