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「地方移住者が遭遇する地域の衰退と縮小」

◆著者・出版
畑山直子さん/地域社会学会ジャーナルNo.13
https://jarcs.sakura.ne.jp/main/newsletter/main/journal/jarcs_journal_013.pdf

◆調査の対象
2000年代後半以降に、埼玉県秩父地域に移り住んだ若者移住者4名

◆調査の目的
①地方移住者は移住先における地域の衰退や縮小をいかに理解しようとするのか
②「地域の担い手」とは異なる姿勢で地域問題と向き合うことは可能か

◆調査の結果
①成員としての責任の重さの増大(として理解?)
②地域が閉じていく様を移住者が見届ける(という向き合い方?)

◇みどころ
地方移住政策の議論に、「地域活性化フレーム」以外の視点を示そうとするところが非常に興味深い。今後その視点がどのような地域移住政策論に展開するかが楽しみな研究。

◇記述的な疑問
調査の目的で「明らかにする①②」と書いたのだから、調査の結果にあたる部分に「明らかになった①②」という表記が欲しかった。

◇方法的な疑問
畑山さんは2012年から2022年まで秩父地域を調査しているわけだから、もっとたくさんのひとと出会ってきたと思う。

そのうち(おそらくもっとも「地域活性化フレーム」で分析しきれない)4人をピックアップすることで、秩父地域はこのフレームで分析するのには限界がある、という結論を出してしまっていいのだろうか。

◇分析的な疑問
伝統産業を引き継ぐ・田舎の文化を残そうとする・地域のマイナスを少なくするという実践は「地域活性化フレーム」とは異なる、という考え方については、再考の余地があるように思った。

伝統産業や田舎の文化に参与することは地域活性化にはなっているんだけれども、他の要因のせいで地域の衰退が止められなくなっているのか、地域活性化にはなっていないという話なのか。わたしは前者のような気がする。

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