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自殺対策推進協議会に出席しました

◆自殺死亡率あるいは自殺死亡者数について
疫学や社会学などをしていると、自殺という現象の多寡を総人口に対する割合で示すのが一般的だと思ってしまうけれども、市町村さんが示す資料ではしばしば合計人数が語られることがある。

人口10万人の市で20人死ぬのと、人口3万人の町で20人死ぬのと、いたましい出来事の数は同じである、という考え方なのだろう。それはそれで何か重要な科学的視点が含まれているような気もする。今後の課題。

◆自殺未遂歴データ
へええ、そんなデータがあるんだと思ったら、正確には自殺死亡者中の自殺未遂歴割合のデータだった。けれども、これはこれで重要なデータだ。

このデータによると、この市における自殺未遂歴ありの自殺者割合は年々増えていて、平成27年には10%程度だったものが、令和5年には30%にのぼっている。

わたしたちは、リスクが高いことがわかっているひとの自死を食い止めることができなくなりつつある。

◆くらし相談室データ
くらし相談室に対する新規相談件数中の希死念慮あり割合データを拝見。令和2年から4年までは、希死念慮割合は1.2%から減少しつつあったが、令和5年では2.7%に急増している。

今後どう推移していくかはわからないけれども、一年で10倍近く増加しているというのはちょっと怖い。

◆今後の対策について
今後更にゲートキーパーを増やしてく方針であるという。それは確かに大切なことだ。

学校の先生や職場の上司には相談できなくても、塾のバイトの先生や占い師さんには相談できることだってあるわけで、いろんなアクターがゲートキーパーになっていけばいいと思う。

けれども、繰り返し自死を考える人が増えている。希死念慮割合も高まっている。リスクの高いひとにどんなケアを提供していけるか(ハイリスクアプローチ)、またこの時代のわたしたちにとってハピネスとはいかにしてあり得るのか(ポピュレーションアプローチ)の両方を考えなくてはいけないのではないだろうか。

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