5/5 晴れ|朝井リョウ 「正欲」 を再読した感想とか
世の中はゴールデンウィーク.遠くに出かけたり,いつもできないことをしてみたり,そうやって過ごす人はどれくらいの割合でいるのか知らないけど,僕は平常運転の休日で,読書とかしていた.
朝井リョウの正欲をひさしぶりに読んでいる.いろいろな秩序がなくなっていることを多様性という言葉にすり替えて美化しているように感じる世の中で,きっとこの小説に助けられた人は少なからずいるとおもう.
多様性を受け入れられる社会には「自己肯定感を上げよう」とか「自分を愛そう」とか,そうやって頑張って現実を生き抜くための言葉はないのかもしれないなって思いながら読んでいる.
正欲に限らず,朝井リョウの小説の根本には多様性というテーマがあって,描かれるのはいつもそのマイノリティ側にいる人たち.その人たちの心情ひとつひとつに「同じ人がいるんだ」って共感するとき,誰にも打ち明けられなかったことを初めて聞いてもらえたような嬉しい気持ちになる.
「きっと理解できるはず」そう思って他人と接していても,どう頑張っても理解し合えない部分はある.たとえば「どうしてそういうことするんだろう?」ってイラッとするような出来事.それはきっと自分事として受け取っているからで,他人事として受け取ればきっとそんなに悩まなくて済むと思う.そう思うと自分と他人の境界線,ボーダー,その一線さえ意識することができれば,多様性という言葉すら要らなくなるのかもしれない.
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