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東急電車まつり2024「RFC新横浜線のダイヤ運転」における開業記念並びのための送り込み、運用変更の記録

 RFCでは2023年10月に開催された東急電鉄主催の東急電車まつり2024にて「新横浜線のダイヤ運転」としてNゲージによるダイヤ運転展示を行いました。
 RFCでは車両をどの運用に就けるかという充当は車両部が行っています(多くの鉄道会社では車両が担当しています)このコラムは車両担当がイベントに際し、車両運用を工夫して実施した記録です。

 東急電車まつりでは1日の会期中、約6回のダイヤ運転実演を行いますが、ダイヤは基本的に同じもので、車両は走行距離が均されるように、循環する運用としています。これは東横線のダイヤ運転を始めた2015年頃のダイヤ運転の際、当時採用していた車両製品の動力信頼性が低く、実物同様に循環予備の編成を用意することで、メンテナンスや最悪の場合の車両交換に対応したものでした。この思想を受け継ぎながら、特に高い信頼性の求められる展示においてはこの方式を積極的に採用しています。

■今回のミッション

 さて、今回車両部に与えられたミッションは2022/3/31に元住吉検車区で行われた、新横浜線開業アピールのための乗入車両の並びイベントの再現です。現物は開業の前に特に相鉄車は特殊なルートでたどり着いた並びでしたが、RFCの展示では、新横浜線運転の休憩の時間帯に実施するものです。


東急元住吉検車区で行われた相互直通各社の乗入車両の並び

■RFCの展示コンセプトと制約条件

 RFCの運転は通常1回24分間であり、1時間あたり1回実施で考えると約30分は休憩になります。この間に集めたい車両を個別に回送してきて、並びを作り、終わったら次回の運転までに元の位置に戻せばいいわけですが、お客様が観覧されるピークがお昼前後であることから12時頃に実施することとしました。一方、RFCメンバーの昼休み時間を確保するという条件もクリアする必要があります。また、過去に休み時間30分の間にNゲージサイズの車両基地の写真撮影会となると、狭いエリアで時間のない中、開催せざるを得ないため、サービス精神でギリギリまで並べた状態を維持したい、在線車両の片付けと並べる車両の配置、そしてその返却と、時間切れになりそうになったという経験から、できるだけ混乱は回避したいという経験値もあります。
 したがって、少ないリソースで十分な展示時間を確保できるということが開催条件になりました。

■運用の切りつなぎの基本的な考え方

 様々な制約条件の中で、今回のダイヤは運輸の担当者の弁を借りれば、様々な車種が走るように組まれており、それをうまく活用する形で集合させていくことを考えました。これは開業初日のダイヤで新横浜駅発の初列車を相鉄車にするために運用を切り繋いでいるのと発想は同じです。

 並べるべき編成と並びは以下のとおりです。できるだけ実物の種類、並び順に近いかたちで、案を作成しました。(本番で一部並び順序を間違えてしまいましたが…)

計画配置順序(番線は元住吉検車区内番線)
 4番線 西武40050系
 5番線 東武50070系
 6番線 相鉄21000系
 7番線 東急3020系
 8番線 メトロ9000系
 9番線 埼玉高速2000系

展示箇所である元住吉検車区モジュール(手前から9番線)

 まず、本来、元住吉に留置される編成が、他の会社の編成の代替となるかをチェックしていきます。元住吉にはこの相互直通ネットワークにおいて万能と言える東急車がいることから、これらを出張させて、並べたい編成を迎え入れます。

 西武車は20時台に和光市(清瀬設定)で車輌交換をして5050系4000番代で元住吉へ帰って来る運用ですが、車交せずに運行しました。

 東武車は朝運用を終えて和光市(森林公園設定)に留置されている編成を東横線下りの最終電車の後ろを追いかけるように回送させました。

(仮想)和光市車庫

 埼玉高速2000系は白金高輪(浦和美園設定)に予備車があるため、臨時回送としました。ただし、奥沢駅は1番線に留置車両があるため、下り終電の前を走らせました。

奥沢駅の始発列車
奥沢駅1番線に留置車輌あり(運転開始前の写真)

 目黒線の編成は元住吉検車区に留置がない(現物はあります)ため、なるべく近くから持ってくることを考えました。

 メトロ9000系は白金高輪(赤羽岩淵設定)で東急車へ車交する運用をそのまま運用し、新横浜まで走らせ、到着後に折り返し、武蔵小杉で返して元住吉へ入庫します。

相鉄21000系は終電で海老名に到着した編成を臨時回送し、武蔵小杉折り返し、元住吉へ回送しました。

これらを運用充当表とダイヤをにらめっこしながら、配置を決めていきます。

A(車両)運用(充当)表(例)

■展示のための番線開放

 元住吉検車区の並べるエリアを確保するために一番多く並べられる西側屋外6線を開放します。実施する前の回に運用についていない車両を東側と検修庫に日中時間帯に入れ換えるとともに、この作業もできるだけ簡単にするために、入庫の車輌を前述の退避番線へ誘導します。

 これで無事にすべての編成が揃い、実時間で15分程度の展示ができました。当日は多くの方に撮影を楽しんでいただくことができました。

開催時の様子

■返却回送

 車交せずに持ってきた編成は本来東急車の運用だったところにあてがい、出庫させます。
 回送で持ってきた東武車と埼玉車は始発が走る前に所定位置へ戻しました。

 次回はテープカットイベントが予定されていたため、相鉄車は新横浜へ、展示に使っていた東急3020系は海老名へ、メトロ車は白金高輪(浦和美園設定)へ回送しました。

 この運用調整により、回送に必要な最低限の人数でイベントを実施することができました。
 車両運用担当として、実物でもこういったイベントの送り込みをスマートに行う鉄道会社は見ていて楽しいものです。裏方の仕事ではありますが、機会があれば、今後も実施していきたいと考えています。


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