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作曲家になりたい人は、こんな風に正確な情報を手に入れましょう。

こんにちは、スキャット後藤です。フリーランスの作曲家です。

「作曲家」とか「音楽ビジネス」の話がTwitterでもよく話題になりますが、受け取る側は正確に理解してないんだろうなーとよく思います。大きく稼ぎたい人、とりあえず作曲の仕事を始めたい人、働いてる業界や環境によって必要な情報も対応も全然変わってきます。

先日、僕はこんなツイートしました。

アーティストと職業作曲家では求められるものと必要なものも全然違います。作曲家でも、J-POPや劇伴、ゲーム、CMなど業界によって全然違うし、同じ業界でも場所によって全然違います。そして競争が激しい場所もあるし、穏やかな場所もあります。

まず最初に書いておきますが、ここからの文章は思いつくままに書いてるので話が転々と変わっていきます。文章の書き方がヘタですみません…。なんとなく察しながら読んでもらえると助かります。基本は「主語を小さくして、正しい情報を得て、今の自分に活かす」という話をしてます。

さて、

音楽の仕事に限らず、日常の中で語られることは主語が大きいことが多いです。「女性は」とか「おじさんは」とか「最近の若いものは」みたいな感じで。そのため事実がねじ曲がって間違って受け取る可能性があります。今回は音楽の仕事について、作曲家について、できるだけ正確に情報を得る方法を書いていきます。つまり「作曲家は」という主語を、もっと小さくする、もう少し細かく分類して書いてみようと思います。この記事も、僕が書いてるので、僕視点のものなので、そこを考慮して読んでいただくのがよいと思います。実際違う部分もあるかもしれませんので、いろんな人の話とすり合わせて精度をあげてください。正しいことを言ってるけども意見が偏るということは普通によくあることです。

まず、、、

例えば、作曲料は30万円でしか仕事受けませんと決めてる人がいるとします。すると、その人は30万円支払える規模のプロジェクトにしか関わってないってことなので、その他の規模の仕事のことは知らないかもしれません。普通に制作費が出る商業映画ばかりやってる人は自主映画の世界を知らないかもしれません。発言している人がどの業界で、どういう規模の仕事をしてる人なのか、どういう人がどういう発言してるかを踏まえた上で、その人の話を聞くと、より正確な情報にたどり着けます。劇伴の仕事しかしてない人が「音楽の仕事は儲かるぞ」って書いてたとしたら、「音楽の仕事」ではなくて「劇伴って儲かるんだ」って思っておけばいいと思います。ザックリですけど。

たまに「自分が好きなものは他にも好きな人がいるはずだ。だから自分を信じて好きに作ってたら成功した」みたいな話を聞きますが、これもその人の好きなものが元々万人受けするものだったり、その人の感性が一般の人に近いからうまくいってるケースがあると思います。ビートが全然なくて、とにかく暗い曲が好きって人が、自分の好きに作っても、それがヒットチャートの上位にくるような曲になる可能性はほぼ無い気がします。

J-POP業界については僕は仕事してないので、いろんな人の話を聞くくらいなのですが、たぶんJ-POPについては一番情報が出回ってて、普通の人でも簡単に耳にすることが多いんじゃないでしょうか。コンペの話なんかはまさにそうですね。これもアーティストやレコード会社などで全然内容は違うと思います。必要とされる人材も違うし、必要なスキルも違うと思います。もちろん作曲家とアレンジャーでは事情が全然違いますね。コンペなんかは賞レースみたいなものなので、自分が作るものがどの審査員にハマるのかで対策が違う気がします。なので「コンペ」って一括りにしないで、もう少しつっこんでちゃんと調べてみるといいです。

「今の音楽業界の常識は」みたいなことを言う人がいます。例えば、コライトが当たり前みたいなことを言う人もいますけども、コライトじゃなくやってる人も沢山いますし、コライトにもいろんな形がありますし、人がいう「常識」も疑った方がいいです。

YOASOBIがヒットして「ボカロみたいな曲が書けない作曲家は、今の音楽業界では採用してもらえない」っていろんなところで言いまくってる自称プロデューサーがいましたけども、そうじゃない音楽も沢山あります。誰かが「今は○○な時代だ」って言ってても、そうじゃない部分の方が大きいことも多々あるので、冷静に全体を見た方がいいと思います。

芯がない人は他人の意見に振り回されます。あちこちブレて、結局何も達成できない可能性があります。自分ができることで、自分がいる場所で、何が求められてるか、どういうスキルを身につけた方がいいか、ちゃんとリサートして見極める力が必要だと思います。業界を背負ってるような立場だと音楽業界全体をどう引っ張っていくか考えないといけないですが、作曲家という職業で自分一人が食べていくなら300万円をどう稼ぐかって視点で、いろんなことを考えればいいです。300万円なら別に流行りの音楽作ってなくても稼げる金額です。

音楽の仕事がどういう風にまわってるのか、そこにはどういうスキルが必要なのかが、どこにチャンスがあるか、「音楽の仕事」って一括りにしているうちは何も見えてきません。例えば、アーティストごとに活躍してる作曲家を書き上げてみるといいと思います。例えば48グループや坂道など秋元さんのグループって沢山ありますね。複数のグループの楽曲を時系列で並べてみると見えてくることがあると思います。普通に歌番組見ててもそれには気づきます。他にもジャニーズとかLDHとかいろいろ観察してみると面白そうです。(変名を使ってる場合もあるので正確にはわからない部分もありますが)

表題曲やアルバム曲の作曲家が毎回ころころ変わってる場合、みんなに等しくチャンスがあるってことかもしれませんし、ある程度固定の作曲家の名前が続く場合、そもそもコンペではなく指名なのかもしれないし、毎回いい曲を提供してくれる人はコンペで優遇されてる可能性はあるかもしれませんし。業界が決めた統一ルールでそれぞれの案件が動いてるわけではないので細かく観察してみると面白いと思います。どこの作家事務所がどことよく仕事してるかとかもすぐ調べられますね。コンペだけなのか、制作として受注してるのかなど。根気強くやれば誰でもできることなのでヒマがあったらリスト作ってみると面白いかもしれません。いろんなことが見えてくると思います。(そのリスト、僕が見たいです)

そもそも音楽業界の仕事とは言っても、ヒットチャート狙う系以外のアーティストもいれば、90年代に活躍して今は自分のペースでアーティスト活動してる人もいます。そういう人たちもコンペやってますか?やってるかもしれないし、やってないかもしれません。コンペやってなくて、いい作曲家と出会ったら無名であっても使ってみようというプロデューサーがいるかもしれません。僕は去年はじめて音楽業界の仕事やりましたけども、コンペではなくプロデューサーからの指名でした。先日もまた一曲オファー受けました。

さらにコンペの話します。コンペに参加するということは、一番競争が激しい場所に行くってことな気がします。上にも書きましたけども、毎度賞レースに参加するような感じに見えます。秋元さんがよく「乃木坂の曲は1,000曲くらいの中から選んでる」みたいなこと言ってますけども、その1,000曲の中でキラっと突き抜けた曲を作ってないと選んでもらえないのです。めちゃくちゃいい曲、高いスキルの楽曲でさえ、2位以降は採用されないってことです。コンペに毎回毎回参加するということは、打率がむちゃくちゃ高いヒットメーカーたちと競うわけですから、かなり厳しいことは想像つきます。音楽プロデューサーの今井大介さんが「プロの世界に飛び込むということはその瞬間にその世界の一流と戦わなくてはならないということ。」とツイートされてたのは、そういうことだと思います。今井さんはヒット曲を沢山生み出してるヒットメーカーです。

人に「いい曲だね」って言ってもらえる曲と、賞レースで勝てる曲は違うと思います。僕は1000曲の中から選んでもらえるような曲が作れないのでJ-POPには参戦してません。参戦してたら消耗して音楽やめてると思います。もしやるとしたら、競争がなさそうな場所を必死で探すと思います。

まぁ、いろいろと書いてますが、僕はJ-POPの仕事全くしてないので、ただの想像です。音楽業界のことを知りたければ、音楽業界の仕事してるいろんな人に沢山話聞いてみてください!

次に、劇伴とかゲーム、CM業界の話を書きます。

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