『超個人的』新憲法案 前文編

1. 憲法の前文の意義

 憲法は、その条文だけで成り立っているわけではありません。およそ成文憲法を有する国においては、ほとんど全ての憲法典において前文があります。前文は、その国の成り立ちやこの憲法典がどのような思想哲学によって制定されたものかという、謂わば憲法典とそれによって統治される国そのものの在り方を端的に示すものとなっています。そして、これは私が作成する新憲法案とて決して例外ではありません。前文の無い憲法は、基礎の無い建物と同じようなものです。

 私自身も、憲法改正を議論する者の端くれとして、前回記事で明示したスタンスに則り、前文を書くことから始めることにします。以下に新憲法案の前文を、全文無料公開いたします。

2. 新憲法案 前文

令和○年制定 大日本連邦憲法 前文

 我々大日本連邦国民は、我が国の美徳と繁栄を後世に伝え続けるために、以下の各項を守ることを、天地神明に誓う。
 一つ、専制および全体主義支配を未然に防ぐべく、立憲君主としての天皇の統治を尊び、これを輔弼する主体として国民が自覚と責任を持つこと。
 一つ、我が国の神霊により生来にして与えられ、先人の努力により確認され守られてきた、固有にして不可侵である国民としての諸権利が、法の支配により守られること。
 一つ、これらの諸権利を守るべく、我々国民が自らの責任に基づき、この憲法典に代表される法に基づき国家権力を行使すること。
 一つ、我が国における全ての社会的活動が、この憲法典に代表される公明正大な法規範に基づく契約によって為されること。
 一つ、我が国が擁する豊かな地域的多様性が尊ばれるべく、国民としての諸権利を侵さない範囲で、地域の実情に応じた統治が為されること。
 一つ、我が国の繁栄に必要不可欠な他国との共栄関係を築き発展させるために、自由な通商を発展させる一方、他国を武力により威嚇し、侵略しないこと。

 我々は、この憲法典が民主的手続きにより採決され、国民の信認を得て効力を有する最高法規となることを確認する。
 また、我々はこの憲法典の理念を尊ぶ国際社会の一員として、我が国とこの理念を尊ぶ諸国の平和と安寧秩序を守るべく、至高にして不可侵の国権がこの最高法規に基づいて適切に行使されることを宣誓する。

3. 現行憲法前文の問題点

 私はこの新憲法案を作成するにあたって、現行の日本国憲法(以下、現行憲法)を参考にしつつも、その憲法の制定趣旨を損なわない範囲で、ゼロから全文を書き直すことにしました。実際の新憲法典については、一部の条文に関しては現行憲法を丸ごと引用することになるでしょうが、少なくとも前文に関しては完全に新規の文章とする必要があると判断しました。
 以下、現行憲法前文の問題点および、今後我が国の最高法規としての役割を担う新憲法がどのようなものであるべきかを、これから先の有料部分で説明します。

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