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古き良きAVGの話をしよう。

 MMORPGなどのリアリティーショーにどっぷり浸かっていると、時に創作物に身も心も寄せたくなる時がある。小説を読む。音楽を聴く。映画を観る。様々な娯楽がある中で、唯一と言っていいほど、物語に介入し辿り着く結末が変わるコンテンツがある。
 そう、アドベンチャーゲーム(AdVenture Game)だ。
 プレイヤーの分身となったゲーム中の主人公が様々な体験を積み、情報を集め、謎解きや冒険を繰り広げてゆくタイプのゲームジャンルのことである。特に私が好きなのは、物語の展開上、主人公が切り替わっていく構成だ。全体としては俯瞰してみることになるのだが、場面ごとのそれぞれの主人公に感情移入していく様は、まるでペルソナを切り替えていくようで面白いのである。

 というわけで、いま私は12年前に発売されたAVGのHDリマスター版を遊んでいる。昭和31年3月の戦後東京を舞台に、探偵の主人公が猟奇殺人事件を追うストーリーというだけで興味がそそられる。多くの人に薦められない点があるとすれば、あまりにも猟奇的な表現であることと、性的描写があるところだろう。18歳以上の方は何も気にする必要はない。

 私は、ヒューマンストーリーが展開されている以上、喜怒哀楽が起承転結の合間に、加えて男女が其処に居るならば、何も起こらない方が不自然だと思う。規制を前提に楽しむならば、表現されて然るべきである。ただ、「え?このシーン本当にここで必要だったかね?」と思うことも多々あるのも事実。そこは冷静に作品に対して評価すればいい。

 テキストを読み、場面ごとに良質なBGMが流れ、美しくもはかない透明感があるキャラクターを眺めながら物語に没入していく。感覚を研ぎ澄まし、情景を想像し、散りばめられた伏線を回収していく様は、間違いなく時間を忘れさせる体験になるだろう。美麗なグラフィックや映像表現は、それらの助長するような一つの手段でしかなく、「ああ、愉しい時間だった」と思えるような体験こそが、対価に見合う価値ではないだろうか。

 難しいことをつらつらと書いても仕方がないので、この映像を見て自分の目と耳で感じて欲しい。興味があったら遊んでみてね!
 ※レーティングR18です。視聴は自己責任でお願いします。


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