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欧州出張記@SOC(その6:IMD)

2022年11月21日
僕たちはヘルシンキでの素晴らしい体験と出会いに別れを告げ、スイスのローザンヌへと移動しました。
ローザンヌでは、IMD北東アジア代表の高津尚志さんのご厚意により、IMD教授にお話を聞くことができました。

IMDでは、以下の教授からお話を聞くことができました。
John Evans氏(Campus tour)、Igor Karpachev氏、Jim Pulcrano氏、Benoit Leleux氏、Alonso Giannoni氏
それぞれの教授とのセッションは時間は短いながらも物凄く濃密でした。

John Evans氏(Campus tour)

最初はJohn Evans氏がキャンパスを案内してくれました。

Executive Learning Center
交流スペース
講堂
教室

Igor Karpachev氏

Igor Karpachev氏はIMD ACEについて話してくれました。
ACEとは「Alumni Community for Entrepreneurship」の略で、IMD の卒業生が協力して起業家精神とイノベーションを通じて価値を生み出すことを支援するアルムナイネットワークです。

IMDは卒業生にプラットフォームを提供し、このアルムナイネットワークを活性化させようとしています。
そして、IMDはこのネットワークを非常に重要視しており、卒業生を参加させるような仕組みを作り、集まった人たちが互いに学び合って繋がっていく「ルーズなコミュニティ」に注力しているとのことです。

このコミュニティは「継続的な学習」と「ビジネス・ネットワーク」を発展させるための柱としており、現在の登録者は20,000人にもなるそうです。

起業家は新しいチームメンバーや新しい資金調達先など、常に何かを探索しています。このネットワークは、例えば卒業生の起業家と投資家を繋げる、もしくはそれを実現するために、コミュニティが助けてくれるといったような役割を果たすようです。

Jim Pulcrano氏

Jim Pulcrano氏はアントレプレナーシップを専門としている教授で、アントレプレナーシップを持った人材を組織内に留めておけるのか、について議論をしました。
アントレプレナーシップを持った人材をリーダーにすれば、企業はより速く成長できるようになるという"成長志向 "の考え方に基づいています。
スタートアップに限った話ではなく、どの企業であっても成長を遂げるための共通した考え方だと感じました。
MBAの学生に「インパクトのあることをやりたいなら、スタートアップに行きなさい」と言うこともあるそうですが、"成長志向 "の企業であればインパクトがあることも組織内で実現できるようになり、そのアドバイスが必要がなくなるとも考えているようです。

また、Adobe社長のDavid Wadhwani氏から聞いた話も紹介してくれました。
David氏は2011年から2014年にかけて、Adobeのパッケージソフトを廃止し、クラウドベースへと移行させた変革の立役者です。
パッケージからクラウドへ移行することは顧客やアナリストを動揺させる選択でしたが、David氏は価格設定を事前の市場調査で支持された「月額99ドル」ではなく、直感に基づく「月額49ドル」に設定し見事成功に導きました。
David氏は顧客との会話に多くの時間を費やしていたようです。
その会話をベースとした直感が全てのデータポイントの中で最も有効なデータポイントだったとして、直感の重要性を強調されていました。

Igor Karpachev氏とJim Pulcrano氏

Benoit Leleux氏

Benoit Leleux氏は、ユニリーバ・インターナショナルという事例について説明してくれました。

ユニリーバ・インターナショナルとは、シンガポールにあるユニリーバのベンチャー部門で、2012年にスタートして現在では売上高20億ドルにまで成長した企業です。
ユニリーバ・インターナショナルは、ゼロからスタートしたわけではなく、ユニリーバの世界各地に存在する小さな輸出部門を統合し、異質な存在として自社内の強力な免疫システムと戦ってきたとのことです。
そこから、どうすれば免疫系を刺激せずに済むのか?ということを多く話してくれました。

Alonso Giannoni氏

Alonso Giannoni氏は、IMDで行っている教育プログラムについて話してくれました。
IMDのプログラムは参加者にインパクトを与えるために、さまざまな学術的な方法論を開発しているそうです。伝統的な教育とは違い、実際にやってみるハンズオン教育を重視しており、ただ聞いて学ぶだけでなく参加者の背中を押し挑戦させるとのことです。

また教授や本からだけでなく、他の人から学ぶことも重視しています。
参加者は同じような課題を抱えているグループから構成されており、一日の終わりに互いに学び合った経験を共有できるように促しているそうです。また教授陣は多くの時間を割いて、参加者同士の交流を促進しているとのことです。

Alonso Giannoni氏

最後はIMDの食堂でランチをご馳走になり、素晴らしい体験をさせていただくことができました。
IMDの皆様、そしてこのような素敵な機会を設定してくれた高津さん、本当にありがとうございました!

IMDの食堂でランチ

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