街路樹による風災害の減災効果の評価

 街路樹はその防風効果により風災害を低減する防災機能を有する。街路樹の防風効果による台風などの風災害減災機能について言及している文献は少ないが、道路構造令の解説と運用では植樹帯の機能として「樹林の防風効果により風の勢いを弱めることによって砂や雪の飛散を防止する。」やその他多くの文献で防風効果そのものは認められている。ここでは街路樹の防風効果による風災害の軽減について評価した。
 評価は風速25m/sの台風において、街路樹1,000本あたりの倒伏による損害と、防風効果により減災され被害を免れることになる損害額を求めた。この結果、街路樹1,000本あたりの風災害で発生する倒伏による損害は1,100[千円]、健全な街路樹の防風効果による減災により免れた損害7,113[千円]という結果となり、差し引き6,013[千円]の減災効果による利益が生じることが確認できた。
 台風による倒木の直接的被害が注目されるが、一部の街路樹で倒木により損害が生じる一方、それ以外の健全な街路樹によって家屋の損傷が軽減されることが確認できた。直接的損害と比べて減災による免れた損害の方が大きく、より大きい減災効果に目を向けることが必要であると結論付けられる。


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