[ 1 to 1 ]-hito to hito-

今日で笠置に移住して1年の時間〈とき〉が経った。
長いようで短いそんな新天地での生活。

たまたま観た映画の影響で移住しまった。そんな陳腐な言葉では片付けられないほどに、ひとの人生というものはリアルだ。

痛ければ血が出るし、悲しければ涙が出る。
同じように、楽しければ笑うし、しあわせで涙も流す。

たくさんのひとに支えられてきた僕の人生を意味のあるものにできるかどうかは僕の生き方にかかっている。そのことに本当の意味で気付くことができた人生で一番大切な一年だったように思う。

25歳の時に10年続けた音楽を辞めた。
当時の相方をどれだけ傷つけただろう。

28歳の時に人生をかけたクライミングが怪我でできなくなり全てを失った。

29歳の時に出逢ったひとに恋に落ち、人生の半分以上を共にしたパートナーを裏切った。

30歳の時に愛に溺れ、周りが見えなくなり、結局はただひとり愛するひとすらも守ることができなかった。

僕の人生は喪失の連続だ。
たくさんのひとに迷惑をかけ続け、何度も自分なんていない方がいいと思った。
それでもその度に、どこかでたいせつなひとに出逢い、僅かな希望を見つけては血だらけの手に夢を握りしめて、全力で信じた道を進んだ。

何度も何度も前を向いて、ボロボロになってやっと手にしたと思った夢も希望もなにもかも失った。もう生きていることすらも辛いと思ってしまっていたとき。

僕はこの町に出逢った。

偶然でもなんでもいい。僕にとっての真実。
君がたまたま当ててくれた映画のチケット。うちに住めばいいと言ってくれた大切なもうひとつの家族。まるで映画のような人生を歩き続けてみて、思いが連鎖するように繋がって繋がって、広がっていく。

誰かのために生きることの大切に気付くことができた。
自分のために生きることの大切さに気付くことができた。

なにひとつ諦めていないし、辞めていないのかもしれない。
音楽、クライミング、写真。
すべてが繋がって、僕を造る。

大切な仲間に出会えた。
大好きなひとができた。
たくさん涙した。
たくさん笑った。

この町は僕にとって希望そのもの。

僕はしあわせだ。
だから前に進もう。

新しい希望は手の中に。
たいせつなひとの笑顔を守れますように。

シバタタツヤ

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