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「世界が夢組と叶え組でできているとしたら、おいかぜって叶え組の象徴みたいな存在である」こと。

割といろんなところで公言しているのですが、ボクは明確に「これがやりたい!」ってことがありません。個人としての柴田は、こういう働き方がしたいとか、あんな生き方がしたいとか、あれが欲しいとか、これが食べたいとか、いろいろあるんだけれど、いわゆるビジョナリーな、社会にこんな影響を与えたいみたいな大義名分がないんです。

子どものことから大人になるまでずっと父親に「やりたいことがあったらなんでも好きなことをやれ。やりたことがなければ大学に行って何かを勉強しろ。」と言われ続けたボクは、ずっとやりたいことがなくって、大学に行くことになり、自分の偏差値と興味関心とを照らし合わせて経済を勉強することを選びました。そして卒業後は文系システムエンジニアの道へ。文系システムエンジニアを選んだのは、父親が制御系のシステムエンジニア・プログラマーだった影響で、これからの時代IT系に進めば転職のときに潰しがきくかなくらいの気持ちだったし、26歳でおいかぜをつくったときも、なにかやりたいことが見つかったわけではなくって、会社の中のレイヤーで上を目指すより、会社の枠を飛び出して、社会のレイヤーで上を目指す方がメリットが大きいなって思って独立しました。

もちろんインターネットやウェブデザインの世界に大きな魅力を感じていたんです。もともとデザインは好きだったし、WWWやインターネットの可能性にワクワクしていたことも事実です。でも一番の理由は、世界に飛び出す手段として、当時ボクが持っていたオープンソースの技術を使った、そんな感じです。

変に小賢しいところのある、若くして独立したボクは「やりたいことがない」つまり「社会にこんな影響を与えたい」というようなビジョンがなくって、ずっと悩んでいたように思います。周りの同世代で社会に貢献する人がどんどん出てくる中で、20代後半と30代前半はなにか霧が晴れないような気持ちで「おいかぜ」という名前を背負っていました。なにか大義のための「おいかぜ」にならなきゃって。自分のやりたいことで「おいかぜ」にならなきゃって。 

目の前の課題や近くの人のお困りごとを解決するのが得意なボクは着実に、そしてわりと順調に会社を大きくしていくことになります。30代後半そして40代になって、仕事がどんどん増えていって、スタッフが30人を越えて、家族ができて子どもたちが成長するにつれて、ボクの「やりたいことがなくて困った病」が実は困りごとではなくって、ボクの役割なんじゃないかなって思いはじめたのです

そう。

ボクはやりたいことがないんじゃなくって「だれかがやりたいことを助けること」がやりたい、つまり「だれかのおいかぜになる」ことこそがやりたいことなんだと。

そんなこと、40年もかかって気づくことじゃないなって思いながら、まあこのタイミングで気づけたことは、それはそれでよかったなんて思っていた矢先に、ある人からこの本を紹介されました。

「世界は夢組と叶え組でできている」(著 : 桜林直子)

読みはじめてすぐに「わ!ボクは、そしておいかぜは叶え組そのものだ。」って。ここにもボクと同じような悩みを抱えながら生きて、仕事をしてきて、ボクが言葉にできていないことをこんなにもわかりやすく言語化している人がいるってびっくりもしました。著者は「SAC about cookies」というお店を運営していて、「セブンルール」にも出演されている桜林直子さん。

もしボクみたいに「やりたいことがなくて困った病」を患っている人がいたら、ぜひ読んでみてください。その病は病じゃないかもしれないし、あなたの働き方の暮らし方の生き方の「おいかぜ」になるんじゃないかな。

ボクはこの本を読んだとき、「おいかぜ」という名前を背負って、「だれかのおいかぜになる」ことを、ためらわずにやっていこうって素直に思えました。

とても良い本です。

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