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プライマル・ヘルス5 性的健康

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今回は、メルマガ19号(2021.8.20)の配信内容です。

(この章もわかりにくいので、意訳します)

ここでいう性的健康とはWHOのいうリプロダクティブ・ヘルスやセクシュアル・ヘルスに近い包括的な概念と思われます。

健康とは自身が生き抜くための力だけでなく、生殖すなわち子を持つ力という側面もあるとオダン氏。

愛着を含めて、セクシュアル・ヘルスが達成されるためには周産期、幼少期のプライマル・アダプティブ・システムに不備がないことが重要です。

ハイイロガンの子は生後初めて接触した動物を終生慕います(コンラート・ローレンツ)。それを親と認識する決定時期を感受期(Sensitive Period)と呼びました。

母ラットの血漿を注射するとオスや処女のラットが母性行動を起こします。母性行動を引き起こすホルモンはエストロゲンと、脳から分泌されるプロラクチン(PRL)、エンドルフィンやオキシトシンがあります。ハイイロガンだけでなく母性行動の根底にある愛着の能力が備わるにも感受期があることがわかりました。

人の感受期

出生に続く1時間とされます。その理由は、

  1. 母親自身がそう感じている。出産直後の母親の意識は特別な没入状態にあり周りから遊離している。赤ん坊が最初に乳首を吸うのに最も適しているときである。

  2. 愛着形成に必要な分娩中の母親と赤ん坊のホルモンが、最初の1時間は残っている(エンドルフィンやオキシトシン)。オキシトシンは子宮では平滑筋の収縮を高めるが、脳内伝達物質としては、安心気分にさせるセロトニンの分泌を高め、やる気のドーパミン分泌を促し、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の分泌を抑え結果として副腎皮質からのノルアドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンが抑えられる。さらに緊張を和らげるGABAや多幸感のエンドルフィンなどの脳内分泌も促進する

  3. 分娩後の1時間は一緒にいた人に容易に愛着を感じる。伝統的に男性が出産場所から排除されてきたのはこの理由。愛着形成は、動物であれ人間であれ、子ども自身の愛着形成にも影響する。生後の1時間だけというより、誕生以前から始まっていると考えるべき。

 

性的行動

1. 早期の母子関係と成人してからのSexual Lifeとは強い相関がある。

2. プライマル・アダプティブ・システムに異常があると、喜びを経験することが困難となる。

3. オルガスムスや出産のときには意識レベル高くないことが重要。

4. インポテンツはうつや不安状態の時起こるが、プライマル・アダプティブ・システムの問題でもある。

5. 同性愛者の遊離テストステロンは低い。テストステロンの脳への暴露の減少がプライマル・ピリオドに起これば男性同性愛者になる。

6. 視床下部からのホルモン分泌は律動性。律動性はホルモン作用発言に重要でこれが完成するのもプライマル・ピリオド。

出産

産科学の特徴は「出産は管理可能だ」という妄想である。17世紀に分娩室に入り、仰臥位を導入したのは男の医者。助産婦学校を創設したのも男の医者。以来女は経験と女性的感受性に基づいて他の母親を助けるのではなく、出産過程の管理を教育された職業的専門家となった。

17世紀から18世紀にチェンバレン一家は鉗子術を秘儀とし助産婦の訓練を独占。その後管理は益々明らかになったが、管理が性的な出来事(出産等)を邪魔することなく終了することは不可能。

帝王切開、薬物投与、母子分離される赤ん坊の数、は信じがたい割合に達している。帝王切開率上昇の理由と正当性は縷々説明されてきたが、本質は見えないところにある。難産は文明病の筆頭だからだ。

3世代に渡って医療介入を受けると、もはや自分のホルモンでのお産はできなくなる。生まれた時すでにその能力を失っているのは経験的に確かだ。母親が自力で生んでもらった女性は自分でも安産だ。それは年齢や骨盤の大きさとは別の要素である。

*同時に女性の体格、体力の後退にも原因があります(荒堀)

産科学の基本

  1. 自然なお産は「女性が自分自身の持つ生理的能力を最大限に活かせるよう援助すること」。それは親密さ、連帯感、自主性とプライバシーの尊重、暖かさ、ほの暗さ、静かな囁き。このようなケアができるのは経験を積んだ助産婦だけ。本物の助産婦とは出産を助ける母親と同義。男性の存在は陣痛を抑制することに留意。

  2. 分娩中のホルモン分泌を行うのは初期能すなわち古脳の活動。古脳の活動を邪魔しないためには新皮質からの抑制を減らすこと。生理的に正常な出産では、意識レベルが低下し、上位脳の活動性が減少している。

  3. セックス・出産・母乳哺育のホルモンに共通性がある。アドレナリンは3者を抑制し、オキシトシンやエンドルフィンは3者を促進する。オキシトシンやエンドルフィンの自然の分泌を妨害することは性生活や愛する能力を変容させる。

母乳哺育

プロゲステロンの作用でTリンパ球の機能は抑制され免疫寛容の状態になる。更にカテコラミン(Ad、NA)、コルチゾール、エンドルフィンも免疫系を抑制する

エンドルフィンはPRLを促進→胎児肺の成熟と脂肪酸の産生⇒PG1産生

母乳は予防医学の薬でありプライマル・ヘルスの基礎である。親密に接することは赤ん坊の基本的要求である。

母乳哺育に問題があって医師に相談しても、多くの医師は興味がなくわからず、結局人工乳になる。

女児には必ず母乳を与える、大きくなって母乳哺育をするように。

母乳のメリット

白血球、消化酵素、抗体、細菌叢が含まれる。出生直後の24時間で腸内には1gあたり50億個の細菌が住み着く。人工栄養ではビフィズス菌優勢の腸内環境は作れない。腸内環境はプライマル・ピリオドで言えば出産前後が重要。

帝王切開では、(恐ろしいことだが)選ばれた病原菌がうごめく場所で最初の種まきが始まる。

母乳は、分泌抗体IgAを含むが、赤ん坊に感染があると抗原が母親に移り、母親は即座にそれに対する抗体を作り、その抗体が母乳を通じて臍帯を還流し赤ん坊を助ける。

以上より、母乳哺育困難、難産、性的困難も同様に文明病です。      

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