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プライマル・ヘルスと気づき

SBSK自然分娩推進協会では、ご希望の方にメルマガを配信しています。
今回は、メルマガ21号(2021.8.28)の配信内容です。

第10章 プライマル・ヘルスと気づき

わかりやすくするため今回は重要な箇所を箇条書きにしました。
参考にして下さい。
※(  )は荒堀の補足

核家族

核家族は現代社会の最も破壊的な一面である。それは妊婦・産婦や子どもの基本的要求を無視するもの。

核家族では妊婦は、長時間を一人家庭で過ごすか働きに出る。これでは姙娠・子育ての様々な段階に対応できない。

一方大家族では、母親が赤ん坊に昼も夜も寄り添うことができるよう皆が援助する、あるいは誰かがそばにいて赤ん坊の要求を満たす。

どの様な社会でも男らしさと女らしさの2極性は人間の発達に必要なもの、それが現代では無視されている。

核家族に相応しい都市設計、技術社会が発達してきて、ますます赤ん坊の基本的要求に応じることが困難になっている。

産科学

産科学は分娩においても愛着形成においても、その生理的過程に助けとなるような要素を無視している。

分娩を楽に、痛みを少なく、短く、より安全にするものを追求すると、家庭的で女性的な環境が必要となる。

自宅分娩は悪いことだという風潮があり、自宅であればもっとお産が楽になる、などとは専門家は決して考えない。 

現在の助産婦教育では本物の助産婦は育たない。
また助産所や自宅分娩をサポートする医師(嘱託医など)も嘲笑される。

フランスでは自宅分娩に対して社会保険から支給される金額が少なく、助産婦への費用に遠く及ばない。このため助産婦に依頼することが難しくなる。

アメリカでは大手保険会社が、自宅分娩のために雇う助産婦の費用を支払わない

出産に関する生理学が考慮されていない。

陣痛が始まると自宅から車で病院へ行き何度も内診され点滴を受ける。これらは全て生理過程を妨害するものだが疑問視されることがない。注射針はアドレナリン分泌によって点滴中の痛みが強く感じられる、ブドウ糖による血中ナトリウムの低下と新生児の多呼吸・低血糖、新生児黄疸の増加、プロスタグランディンの合成阻害が生じる。

「産婦はしばしば水だけを欲しがる」と言われることを知らない。

良い分娩管理とは生理過程を促進する管理であり、医療処置・介入が少なく、小児科の処置も監視も必要ないこと。

医学も含めてどんな組織も、一定規模を超えると社会全体に奉仕することより自己の独自性を維持することが優先される

大事なことは分娩の生理過程を妨げない本物の助産役割の再発見。本物の助産婦の育成

助産婦は医師の補助者になってしまった。

安産で生まれた人は出産の際プラスの役割を演じる、難産だった人は逆の役割を演じる。自分の心配を隠そうと活動的、おしゃべりになる。不安な夫は妻の体をさすり、呼吸や体位を管理し、独占欲が強くなりがち。

ときには男女間の葛藤が長引き、お産が長引いて難産になることもある。

だから夫が部屋を出ている間にスルリと生まれることもある

原始人的な夫はプラスの役割を演じる。

立ち会う人を選ばなければならない

男性社会と女性社会

何千年もの間女性はお産のとき男性の目から隠されてきた。一つはプライバシーが侵害されると女性が感じてきたから、もう一つは性的魅力の維持のため。

夫婦の出産体験と離婚頻度は逆相関するか?つまりお産への夫立ち会いで離婚頻度が減るか、増えるか?

(分娩時に男性の前で便を漏らしたり、肛門を拭き取ってもらうシーンを見ることが夫婦の共同作業に有益かどうか。)

分娩は古脳(初期能)の働きによる不随意な過程であり、この古脳を働かせるには、新皮質の抑制を減らすか、分娩を妨げるようなことをしないこと

(腸管の蠕動運動もやはり不随意な過程で、順調な蠕動運動はストレスや食べすぎ、飲みすぎ、不安や恐怖、羞恥心が高じては順調に進まない。やはり新皮質の刺激を減らすことと、物理的な環境を整えることが重要である)。

なぜ伝統的に女性社会が、男性の視線から保護されてきたかを考えてみる必要がある。

出産は決して男性にはできないことで、男性の存在は出産の邪魔になる。

だからといって今日の家族事情では男性が分娩室で全く居場所がないという意味ではない。古脳の働きを邪魔しないよう注意して参加が必要ということだ。医師も同じである。

割礼という残酷な習慣を作ったのは男性。母親なら男の赤ん坊にそんなことはしない。

医師はお産を管理する専門家を作り助産婦の役割を衰退させた。

夫の立ち会いの意味は出産する場の男性化男性の女性化の2つがある。

ラマーズはお産の仕方を学ばなければならないとした。分娩コーチは男性に妻のコーチ役を務めさせた。

これらはお産は手伝わなければならないという考えを植え付けた。最も大切なことは、邪魔をしないということなのに。

女性は出産時3人の男性に囲まれるー男性助産師、夫、医師ーである。これでは収縮剤なしでは子宮は収縮しない。女神はもはやいない。

(日本で男性助産師を認めないのは良いお産の文化が消えてはいないことだと思う)

女性は(良い)出産をすると助産婦という職業に憧れる。助産婦のいない社会とは男性と女性の相補的な役割を完全に否定する社会だ。

新生児学

仏の最初の新生児学者ピエール・ビュダンは、母親と赤ん坊を切り離してはいけないことを知っていた。1896年、弟子のマルタン・クーレは最初の新生児室を作り未熟児と母親を完全に分離した。

現代新生児学の象徴は保育器である。

保育器に改良は加えられてきたが、様々なリスクがあり、何より母親との隔離である。これを見直そうと、コロンビアのボゴタ・チームが有袋類を真似る「カンガルー・ケア」を発明した。ミルクではなくグアヴァジュースを用いる。

これによって1kg未満の未熟児の生存率は0%から72%に向上した。

新生児学者たちは「ボゴタ・チームは統計が確かでない」という批判を展開し象徴である「保育器」を守り続けるだろう。

ボゴタのやり方は保育器に比べ赤ん坊の基本的な要求に応えている点で、人間の潜在能力を満たし、長期的な成果が期待できる。


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