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プライマル・ヘルス4  文明病

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今回は、メルマガ18号(2021.8.16)の配信内容です。

第4章 文明病

(内容がやや難解なので、関連性や結論を私なりの理解で書き直してあることをお断りします)

今日増加している文明病が沢山あります。

うつ病、アルコール依存症、心血管疾患、精神疾患、肥満、リウマチ、アレルギー、自己免疫疾患、がん、ウイルス性疾患などですが、これらは文明病であり、見かけは多様ですが、詰まるところ初期脳連携システム(プライマル・アダプティブ・システム)の障害による起こり方の違いに過ぎない、とオダン氏は言います。

因みに最後のウイルス性疾患を除けば、NDC(非感染性疾患)として拙著「頑張れ助産院」でも、Microbiome(常在微生物叢)との関連でとり上げました。

この本では、上記の疾患は、プライマル・ピリオドすなわち初期脳設定期間である胎児期~乳幼児期の間に、赤ん坊の基本的要求が無視された結果生じたものであると述べられています。

この基本的要求は文化の違いを超えて普遍的なものです。

例えば、母親のそばで眠ることが許されない新生児は、いくら泣き叫んでも抱き上げてもらえないため、望みをなくし、やがて感情を失くす。初期脳連携システムが完成しない年齢でこの状態に置かれると、強いストレス状態になります。するとコルチゾルが増え、コルチゾルによって胸腺が縮小しプロスタグランジン1(PG1)もメラトニンも低下します。

胸腺の縮小はTリンパ球の減少を引き起こし免疫能が低下します。PG1の作用は小血管の拡張、血圧低下、血小板凝集などですから、PG1の低下は逆に血管の収縮、血圧上昇、凝血で脳梗塞のリスクが高まります。ストレスによるPG1の低下が文明病の重要な背景因子だといいます。


各疾患を見てみましょう。

うつ病:

 うつ病は全ての社会階層、全ての年齢で発症します。生きる意欲の喪失や無気力が特徴です。動物でうつ病を作るのは、生まれたばかりの動物の赤ん坊を母親から引き離すだけで十分です。うつ病のホルモン状態は、ノルアドレナリンやセロトニンの分泌減少、コルチゾルの上昇、その結果PG1の低下や胸腺の縮小が起こり免疫能を低下させます。プライマル・ピリオドでの母児の密着、愛着形成が予防の鍵となります。

アルコール依存症:

 プロスタグランディン1(PG1)は随分多彩な働きがあります。精神面でPG1が低いと人は不幸だと感じます。不幸を感じた時アルコールを少し飲むとPG1を放出し多幸感になれます。しかしアルコールはPG1を増やしますが、飲み続けると前駆物質のγ-リノレン酸(GLA)の貯蔵が減るので結果としてPG1は低下します。母乳はGLAの天然源の一つですから母乳を与えるとPG1が増えます。不幸を感じやすい脳は、母乳を飲ませるべきプライマル・ピリオドに母乳がしっかり与えられなかった可能性があり、アルコールを飲む年令になって問題が顕在化したと考えられます。

高血圧:

 高血圧患者とプライマル・ピリオドのメカニズムに関する研究はありませんが、調べる価値はあります。視床下部の特定の部位を刺激すると血圧が上がったり下がったりするので、新生児期のストレス経験が視床下部の血圧調整システムに影響を与えることは容易に理解できます。コルチゾルの高値とPG1の低値が現れる高血圧は文明病です。高血圧とアルコール依存も関係があります。アルコールが摂取できないとストレスのため血圧が上昇するからです。

精神分裂病:

この患者の血小板中のPG1レベルは低いのですが、抗精神薬はPG1をふやします。その機序は薬剤性の高プロラクチン血症(PRL)で、このPRLがPG1を上昇させるため症状が改善します。また患者はドーパミン(DA)過剰の状態になっていますが、脳内でDAとPG1は競合関係にあり、結果PG1が低下します。PG1の不足を持って文明病としていますが、プライマル・アダプティブ・システムとの関係で何が重要なのかよくわかりません。母乳哺育によるGLAの供給が必要と結論してよいかどうか、よくわかりませんでした(荒堀)

肥満:

肥満は食欲中枢のある視床下部の問題であり、プライマル・ピリオドにおける食欲中枢の設定レベルの問題です。

免疫機構の抑制:

免疫系が未設定の未熟な初期脳に、希望喪失の状況が押し寄せると、ストレスホルモンであるコルチゾルが増加します。するとPG1が欠乏し、胸腺でのTリンパ球の産生障害からB細胞の抗体産生能が抑制されます。それとは別にコルチゾルはタンパク合成を抑え抗体産生を抑制しますから、結果抗体産生は2重に抑制されます。 

アレルギー:

アレルギー性疾患の頻度は非常に増加しています。アレルゲン探しだけでは済まない根深い問題があります。アレルギーに関するプライマル・ピリオドは生後2ー3歳までで、それまでの食事が大事だといわれます。最初に少量与えたミルクが、赤ん坊を異物蛋白に敏感にするのです。母乳こそGLAを運ぶものですから、4ヶ月で離乳食を与え始めても母乳は必要です。母乳に含まれるGLAでPG1を増加させ、初乳のIgAとともに免疫を保つ事ができます。

ともかく夜に母子分離をさせるのは母乳分泌を抑制することになり、アレルギー性疾患になりやすくなります。

ウイルス疾患:

ウィルスへの抵抗力はTリンパ球の働きが重要でこれにはPG1が関与しています。糖尿病や自己免疫疾患、アレルギー等免疫能力の異常が増え、免疫系が弱くなっている現代ではウィルスは核戦争以上に人類の大きな脅威です(確かに新型コロナ感染がそうですね)。赤ん坊を一人にしてコルチゾルを増やしたり、母乳を与えなかったりするとそんなふうになりやすいということです

癌:

癌ウィルスと免疫系の抑制が癌発症の原因と考えられます。HPVウィルスが子宮頸部に侵入しても、まもなく排除できる人と持続感染で癌を発症する人の違いは免疫能です。精神状態と免疫系の調整は初期脳連携システム(プライマル・アダプティブ・システム)の設定条件によりますが、癌が増えているという事実は…プライマル・ピリオドでの基本的な要求が満たされなかったことと関連すると思われます。免疫系の抑制は悲しみや抑うつ状態で生じます。

老化:割愛します

結論:

今日増えている文明病は多彩に見えるが、その根底の問題はストレス耐性。ストレス耐性が低ければ弱いストレスでも容易にコルチゾルが増加しカスケードが進行する。ストレス耐性を普通に保つには、プライマル・アダプティブ・システムが普通の状態に設定されるよう、プライマル・ピリオドにおいては赤ん坊の基本的な要求に従う必要があります。

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