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ヒトの細菌叢(Microbiome)とプライマル・ヘルス 11

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今回は、メルマガ44号(2022.04.01)の配信内容です。

今回から微生物叢に関する話題が第2章に移ります。面白そうです。
前回の内容は下記をご覧ください。

セクション1 姙娠と胎児の生命

第2章 微生物叢と妊娠合併症(初回)

11)この章のポイント

  • 妊娠中は正常な妊娠、発達、分娩と健康な児を確保するために、解剖、免疫、細菌叢といった複雑な変化が起こる。その複雑さ故にヒトの妊娠は全妊娠の最大60-70%が早産に終わるという非効率なプロセスをたどる。

  • 妊娠中の合併症は珍しくなく、母体と胎児の健康に深刻な脅威をもたらす。健康な妊娠中に変化する微生物因子もまた、その合併症に寄与する。

  • この章では、妊娠糖尿病、高血圧症、感染症、貧血などの合併症、および早期破水、早産、死産などの胎児や胎盤の合併症について説明し、これらの妊娠合併症における食物由来の病原体、膣内微生物組成、ならびに胃腸内微生物叢の役割を探索する。

イントロ:

妊娠には多くの解剖学的および生理学的変化が伴う。それらが受精卵を着床させ、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)の働きを逃れた(ミスマッチ)胎児を成長させ、タイムリーな分娩を保証する。

血漿量は増加し、心拍出量、および酸素要求量が増加し、腎および消化管機能の変化も起こる。血液学的には血小板数の減少、鉄必要量の増加、および免疫細胞の存在および機能変化が起こる。

妊婦は広範な内分泌変化も受ける。甲状腺ホルモンT4およびT3の増加、副腎ステロイドの増加、下垂体におけるプロラクチンおよびオキシトキシン産生、膵臓によるインスリン分泌の増加、および肝臓によるトリグリセライド合成の増加などである。

これらのプロセスはすべて慎重に調節されており、妊娠ホルモンであるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、プロゲステロン、およびエストロゲンがこれらのプロセスの重要な役割を果たす。したがって、生物学的に言えば、妊娠は成功した結果を得るために多くのプロセスの統合を伴う非常に複雑なプロセスである。妊娠中の合併症が妊娠の47%に発生することは驚くことではない。アメリカでは2008年に妊娠の16%以上が流産であった。何十年にもわたって医療は向上しているものと我々は信じてきたけれども、実は胎児喪失に終わる妊娠の割合は減少せず、むしろ1990年の15%から2008年の17%に増加している。失敗した妊娠の数を減らそうとするならば、妊娠の結果に寄与する要因をもっと理解する必要があることは明白である。

この章では、まず正常な妊娠生理に起こるホルモン/免疫学的側面に触れる。次に、妊娠中に見られる最も一般的な合併症について議論し、母親または子供に影響を与える可能性のある合併症の発生に寄与する要因を検討する。そして、その中でも特に微生物叢の潜在的な役割に注意を払う。

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