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読書日記(2024.3.22)福祉国家の金融政策というのは、結局は国民から富を守る術を奪うのである


ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ


金本位制でなければ、市民はインフレによって自分の貯蓄から政府が富を吸い上げようとするのを止める術がない。価値を安全に保つ金庫がないのと同じになる。政府が金の保有を禁止したように、もし通貨として流通する物資があれば政府はすぐその保有を禁止するだろう。例えばすべての国民が銀行から自分の預金を引き出し、銀や銅、もしくはその他の物資に交換したとする。その後小切手での物品販売を拒否すれば、銀行の預金は完全に購買力を失うのである。政府の信用を背景にしてやっている銀行融資は全く価値を失い、物品を買うことができなくなる。
福祉国家の金融政策というのは、結局は国民から富を守る術を奪うのである。福祉国家の国家統制主義者たちが、金(きん)が薄汚い者だと非難するのはそのためである。赤字国債による政府支出はただ単に政府による国民からの富の収奪である。だが、金はこのような狡猾な手口を許さない。金は私有財産の守護神である。このことを理解すれば、どうして国家統制主義が金本位制に敵意をむき出しにするかよくわかるはずだ。

ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ P.120


この文章は、連邦準備制度理事会(FRB)議長だったアラン・グリーンスパンの論文『金と経済的な自由』からの引用である。

金本位制の擁護者だった彼が2000年代に変節して、今に続く金融緩和政策の原因を作っているのである。

アメリカはドルを刷り散らかし、財政赤字は約35兆ドルである。

アメリカのインフレはおさまりつつあり、今年はまた利下げに転じるとFRBは言ってはいるのだが、刷り散らかしたドルは、アメリカ政府の財政赤字を拡大する一方、株式や不動産バブルを生み出している。

日本もそうだが、インフレがおさまらなければ、国民の貯蓄が政府に吸い上げられているのである。

金の価格は、急激に上昇しており、ドルの価値はますます金に比べて下がっている。

福祉国家の金融政策というのは、結局は国民から富を守る術を奪うのである。

社会保障が、絶対的な善のように語られ、増税やむなしという風潮があるが、実は、社会保障のシステムはファシズム的な統制経済を生み出す諸刃の剣なのである。統制経済の抑圧は、言論の自由を抑圧する政治体制の擁護につながる危険性を孕んでいる。

(おわり)

お志有難うございます。