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Stable Diffusion WEB UIにおけるマイナスプロンプト検証(AUTOMATIC1111版)

1.はじめに

 皆さまはクオリティアッププロンプトと言えば何を思い浮かべますか?
 masterpiece? high quality?
 おっと、違いますよね。そう、お馴染み(nude:-1.8)だと思います。
 おや? ご存じでない?
 奇遇ですね。私もこの記事を書き始める1時間前に発見しました。

 冗談はさておき、実は検証がほぼされていない未知の領域がプロンプトの世界にはあります。
 それがプロンプトのマイナス利用です。
 以前、flat2というLORAのマイナス適用は話題となりました。

 しかしあまり知られていないのですが、プロンプトそのものもマイナスの重みで使用が可能なのです。

 ただし、これはAUTOMATIC1111版での検証で他のWEB UI等では重みの計算方式が異なる可能性があるという点を予めご認識ください。

 今回は、プロンプトをマイナスで利用した場合に、面白い効果が表れたものをご紹介いたします。
 ただしフォトリアルモデルだと反応が悪いものも多い為、イラストモデルでの検証と致します。

 なお検証は下記のプロンプトをベースに、検証プロンプト欄に該当のプロンプトを入力し、重みを調整して変化を確かめます。

1girl,handsome girl,solo,school wear,black short hair,cowboy shot,building background,
BREAK
(Symmetric clear amber eyes:1.2),(検証プロンプト)

neg:(worst quality:2),(low quality:1.4),(long neck:2), badhandv4,EasyNegative

Steps: 30, Sampler: DPM++ 2M Karras, CFG scale: 7, Seed: 4165203834, Size: 512x640, Denoising strength: 0.56, Clip skip: 2, Hires upscale: 1.8, Hires upscaler: Latent,

modelはcustom modelです
検証として分かりやすいよう、短文プロンプトでの構成

2.装飾増量系

 まずは装飾品などの描きこみが増えたプロンプトから紹介します。
 栄えある第一弾は、

nude

 はい、皆さま大好きなプロンプトですね。
 私もnegativeに入れて初期は愛用していました。
 普通に使用してもある意味、クオリティアップアップする訳ですが、マイナスの重みで利用すると今回は帽子を被り、リボンのデザインも複雑になります。純粋な描きこみ量増加ではないも、装飾品がプラスされる面白い効果ですね。

Flat drawing

 リアル化やflat2のような描きこみ量増加を狙って試したプロンプトでしたがこちらも服装の柄が細かくなり、頭部に追加されるという結果になりました。また目の雰囲気も少し変わっています。
 そして(flat drawing:1)が若干胸を小さくする効果があるのに対し、0と-1.55ではバストサイズにも変化が見られました。

2.表情変化系

 次は表情に変化があったプロンプトです。

elegant

 次第に目が怪しくなり、頬が紅潮しているのが分かります。エレガントの反対は…確かに分からなくもないのが面白いですね。

shine

 釣り目が少し改善気味になり、全体的な表情が柔らかでおっとり系になる印象です。露骨な変化はないですが地味に面白い効果だと思います。

old

こちらは独特の笑い顔になりました。乾いた笑いを感じさせる表情です。


3.画風変化系

silent

何故か艶感がアップします。髪や服の艶がアップし、胸もサイズアップしてますね。-1.7では破綻が始まっているので、-1.6あたりまでが限界のようです。

clear

 これも-1.6あたりが限界そうですね。-1.7では顔破綻が発生しています。
 露骨な絵柄変化も興味深いですが、このプロンプトはマイナスになればなるほど表情に蔑みや嘲笑が浮かんでいる気がするのは気のせいでしょうか?
 心がclearじゃないせい? プロンプトがclearじゃないせい?
 どちらもかも知れません。しかしあまり見ない表情をさせるという意味では有用プロンプトな気がします。

perfect

 これも絵柄をかなり独特に変化させる面白いプロンプトです。
 べた塗り感が出るのが特徴です。Hires.fixをしないと特に顕著です。

Photorealistic

比較的絵柄への影響力が強く、-1.6あたりで大幅な崩壊が起こります。
別Seedとプロンプトで試したのがこれ。

中々に興味深い変化が起きていました。

emptiness

こちらも絵柄への影響が大変強い一方、早めに崩壊が始まります。

3D

これは特に崩壊が早かったのですが、等身が変わるのと絵柄も大幅に変わるので、面白い使い方ができるかも知れません。

catoon

3DやPhotorealisticもそうですが、それらの方向性の単語は絵柄への影響力が強いですね。

bright

 これもまた独特の絵柄が出ます。

4.未分類系

 効果はありそうながら、明確に区分しにくい変化を起こしているもの。

crazy

 背景を中心に全体的な色合いを淡くし、人物の年齢を少しあげる印象。
 ただ露骨な差異は薄めの為、区分不明とします。


 なお今回の検証は、崩壊率が比較的に低く影響力が高い重みとして-1.55をHires.fixなしで出力した後、変化が感じられたプロンプトを抜粋。下記のようにHires.fixでも確かめ、特に変化が顕著だったプロンプトを紹介しています。

 プロンプトを検証のご参考になれば幸いです。

5.ダイジェスト版

 各画像が小さくて変化が分かりにくいので、各プロンプトから効果のバランスが良い重みをピックアップしました。
 

(Nude:-1.8)
(Flat drawing:-1.7)
(elegant:-1.7)
(shine:-1.7)
(old:-1.7)
(silent:-1.55)
(clear:-1.4)
(clear:-1.55)
(perfect:-1.7)
(emptiness:-1.4)

(3d:-1.0)
(3d:-1.2)
(catoon:-1.55)
(bright:-1.55)
(crazy:-1.7)


6.最後に

 いかがでしょうか?
 重みによっては露骨に破綻を引き起こすプロンプトも多いのですが、使い方次第では表現の幅を広げる可能性があると今回感じました。

 マイナスプロンプトの利用は海外のプロンプトを漁っていても見たことがありません。そもそも自然言語プロンプトすら稀です。

 マイナスプロンプトの世界は恐らくまだ殆ど開拓されていない状態です。貴方だけのマイナスプロンプトを見つけて、他にはない味を生み出すチャンスかも知れません。

 さあ、飛び込もう。マイナスプロンプトという沼に! 
 安心したまえ、きっとこちらも底は深いから!
 
 

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