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DJのバイブル的ミックスCD「MIX UP」シリーズは今聴いても色褪せない。

自分がDJ(趣味程度)をしていたのは20歳からなので22年前。

当時はDJがもてる職業であり、ファッションと音楽が密接な関係にあった頃で、デザイナーやモデルがDJをしていた時代。

DJが夢ある職業の時代だったので自分の周りにも自称DJがたくさんいた。

そして、自分みたいなオタクDJも多数生息していたし、渋谷レコ街も元気いっぱいの頃だったので充実していた。

DJの凄さはテクニックというよりもセンス。
そして音楽知識が存分に求められる。
音楽知識をもっと深めたいということで塔レコードでアルバイトした。

昔、深夜TVでクラブ特集があったとき、六本木YELLOWの村田さんだったと記憶しているが「いいレストランで美味しい料理をたくさん食べるように、いいクラブでいいパーティーをたくさん経験することが大事」という名言をいただいた。
その通りだと思い、YELLOWや新宿リキッドルームを中心にたくさんのパーティーに行った。

そして、その興奮をぎゅっと閉じ込めたようなMIX CDが石野卓球監修の「MIX UP」シリーズ。

参加DJは石野卓球、ジェフ・ミルズ、ケンイシイ、田中フミヤ、デリック・メイとレジェンド揃い。

96年リリースなので今から25年以上も前、それぞれ脂が乗り切っていた頃のDJプレイが収録。
ジェフ・ミルズと田中フミヤについてはライブDJ MIX。
臨場感が半端ない。

以下、それぞれの思い出。

石野卓球の選曲を真似してHARDFLOORACPERIENCE 5を選曲した時、9割の確率で失敗した。
あのぴーというシンセがちょっとでもピッチずれると収集つかなくなる。
イメージはベース音が入って8小節目でリバースするところで繋ぐイメージがあるのだが家でしか成功したことがない。

ジェフ・ミルズのSegment1に収録されているTHE START IT UPからのSTEP TO ENCHANTMENTの繋ぎはカバーさせていただいた。
ただ、これもびっくりするくらいの早繋ぎなので2台のターンテーブルでは失敗の可能性が高く危険を伴うプレイであった記憶あり。
あと、Segment2のAdventは攻撃力がハンパない。
これ、踊るというよりヘッドバンキングが似合いそうなくらいハード。
今、聴いてもどうやっているのかわからないがいろいろな技を駆使されている。


続いてケンさん。
このMIX CDのようにジャズやエレクトロ、ブレイクビーツなど多種多様なジャンルを選曲するというスタイルを目指したおかげでかなり散財した。
テクノ・ハウスの選曲を主にしていたのにDMR1階奥のクロスオーバーコーナーもチェックするようにしていたのはケンさんと須永さんの影響。
最初のハイライトは3曲目、ニューヨリカン・ソウルからUnited Future Organizationをここまでカッコよく、そしてテクノに溶け込ませるセンスは他に知らない。
また、中盤の選曲は東洋のテクノゴッドの名にふさわしく神っている。
アフリカバンバータからの坂本龍一への選曲は嫉妬さえ覚えた。

田中フミヤのMIX UPは問題作。
アーティストの意向により選曲マークがなく1曲のみ(約70分)
当時、CDウォークマンで聴いてたので大体PUMP THE MOVEあたりで学校に着いた。
帰りに聴こうにも早送りボタンで30分以上飛ばさなくてはならない。
そして、かなりの確率で指が早送りボタンから外れて1秒からやり直しが多発する。
そのおかげで何度も聴くこととなった前半は収録しているレコードが揃えばかなりいい感じでカバー(再現)できるかもしれない。
とはいえ1曲目から6曲目までのグルーヴは灼熱に包まれたような熱気を発しているので無理かもしれない。
個人的にはこれを一番良く聴いたし、プレイの参考にさせていただいた。
テクノにロックな魂を感じた1枚。

最後は来日したら必ず行っていたデリック・メイ。
今でも六本木YELLOWでのプレイが鮮明に蘇る。
DJも別格ともなると音圧すら違ってくる。
同じ曲をかけているのにガツんと目が覚めるような圧、あれは気のせいなのか。
EARTH PEOPLEDANCEをDMRで手に入れた時は胸が躍った。
そして、あの曲をカッコよく聴かせる腕とセンスがないことを思い知らされた。
素人DJが使うとスッカスカになってしまう曲がデリック・メイだと煌めきを放つのだから不思議だ。
PHUTURESPANK SPNAKをあそこまでメインディッシュに仕上げられるDJを他に知らない。
そして、まさかのストリングス・オブ・ライフが収録されていないあたり、選曲をアーティストにまかしきっていたSONYの懐の大きさを感じさせる。
ちなみにジェフ・ミルズのミックスアップでは見事なピアノ・カットインでストリングス・オブ・ライフをプレイ。

情報が少なかった平成初期、このMIX CDから得たものははかり知れない。
そして、美味しい料理のレシピがこのCDにはあった。

ミニマリストを目指してかなりの数のCDを手放してしまったが、このMIX UPシリーズは帯付きでCDラックにしっかり鎮座している。

そして電気グルーヴのメロン牧場も帯付きで本棚にしっかり鎮座している。


最後までお読みいただきありがとうございました。

軽めのブログをやっていますのでご覧いただけたら嬉しいです。

sazmism-kyoto 京都で軽めに暮らす




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