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5月1日(2013年) その後の優勝へ、今年のGS突破へつながったタイでの勝利

途切れさせなかったGS突破の流れ

 今年、2022年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)も、グループステージを勝ち抜くことができた。
 コロナ禍により3年前から導入された集中開催という、レッズが初めてのレギュレーション。中2日の6連戦というめったにない日程と、Jリーグよりもはるかに影響のあるホーム&アウェイの特徴が出ない大会方式だった。

 レッズが最初に出場した2007年、2008年のACLと、5年のブランクを置いて再び出場し始めた2013年からのACLとでは、方式がだいぶ変わっていた。また出場チームのレベル…、というより意気込みが非常に向上していた。
 レッズは2013年、2015年、グループステージ敗退の経験を生かして、2016年、2017年、2019年と出場3大会連続でグループステージを突破した。セントラル方式になった今回、突破できなかったというのでは、またそこから出直しかよ、と少しため息をつきたくなってしまっただろう。
 この方式が来年以降も続くのかどうかはわからないが、ACLラウンド16出場の流れは2年のブランクがあっても途切れさせなかった。それが何よりだ。

5年ぶり出場の2013年はGS敗退

 レッズが初めてACLグループステージ敗退という悔しさを味わった2013年。高い勉強代を払ったと言ってもいいが、その2013年のグループステージ最終戦が行われたのが、8年前のきょうだ。
 2013年5月1日(水)、浦和レッズはタイ・バンコクのサンダードームスタジアムで、ムアントン・ユナイテッドとACLグループステージ第6戦を行い、1-0で勝利した。
 レッズは3勝1分け2敗でグループステージを終了。勝点10を獲得したが、同じ勝点で並ぶ韓国の全北現代モータースを対戦成績で下回り3位に。ラウンド16に進めなかった。

第6戦に臨んだ先発メンバー(2003年5月1日)

 何度か書いているが、この年は初戦のアウェイ広州恒大戦でACLが質的に大きく変化していることに衝撃を受けた。その後広州にはホームで勝ち、ムアントンにもホームで快勝したが、全北には1分け1敗だった。
 第5戦を終えてレッズは勝点7、広州は10で、全北は9。最終戦でレッズが勝って勝点10になれば、広州ー全北戦の結果により、2位にはなれる。
まず広州が全北に勝った場合。これは勝点で全北を上回る。
 全北が広州に勝った場合は、広州と勝点10で並ぶから得失点差勝負になり、広州が大敗してレッズが大勝すれば可能性はある。
 広州と全北が引き分けた場合は、全北と勝点10で並んで得失点差勝負になり、レッズが5点差で勝てばいい。この方が可能性は高い。

慣れていなかった直対成績優先

 ……ではないのだ。
 ACLのレギュレーションでは、勝点が同じ場合、当該チームの対戦成績が優先され、それは勝敗、得点数、アウェイゴール差まで比べられる。今は日本のJリーグカップでもそういう規定になったが、当時は勝点の次はグループ全体の得失点差、という認識だったから、2013年はその違いになかなか気づかなかった。恥ずかしい話だが、初めて出場した2007年から同じ規定だったのに、あのときは勝点だけでグループステージ突破の可否が決まる状況だったので、そこを気にしていなかった。
 第5戦を終えて、第6戦の場合分けをさっきのようにしているとき、それをメディア仲間に指摘され「は?」と間抜けな声を出してしまった。
 レッズは広州と1勝1敗だが得点で2下回っており、全北とは1分け1敗。この2チームと勝点で並んだ場合、いずれもレッズは上回れないことが決まっているのだ。

自分でMDPに大会規定を載せておいて何を言っとるのだ、お前

初めてのタイ、レッズサポは約1千人

 最終戦は同時刻開催。広州が全北に勝って欲しいが、そんなことを祈っても仕方がない。とにかくレッズは勝つしかない。得失点差は関係ないのだから、シンプルといえばシンプルだ。
 初めて訪れるタイ。暑さはどうだっただろう? それほど気になった記憶はない。スタジアム周辺のにぎわいには驚いた。もうラウンド16進出の望みはないムアントンだが、サンダードーム・スタジアムにはかなりの人が来場していた。1万5千人のスタジアムに7千人以上なのだから、消化試合とは思えない。タイのサッカー人気を示すものなのか、もしや浦和レッズってタイでも人気なのか?
 ビジターサポーターの場所はゴール裏ではなくバックスタンド。この日も相当数、1千人近くのレッズサポーターが詰めかけていた。この年の大型連休は3連休と3連休に分かれ、この日はその狭間である3連続平日の真ん中だったのだが。

サンダードーム・スタジアムではバックスタンドに入れられた
ムアントンサポはゴール裏

やはり違う、ホームのムアントン

 埼スタでの第2戦では、ムアントンに4-1と圧勝しているが、それと同じには考えられない。ホームの後押しを受けて強くなるのは、レッズだけの特権ではない。レッズはその特権を最大に活用しているだけだ。
 この試合も前半は0-0。負けるとは思えないが、このままでは何が起こるかわからないな。そう思って迎えた後半の48分、CKのこぼれから那須大亮がゴール。頭ではなく足だった。
 後半は暑さによる疲労が心配されたし、負傷者による交代もあって気が気ではなかったが、そのまま1-0で勝利した。

ゴールを決めた那須大亮が熱いガッツポーズ

今につながっている、あのコール

勝利の挨拶をする選手たちからはGS敗退の悔しさが伝わってきた

 だが選手たちの反応から、グループステージ突破はならなかったことがうかがえた。
 レッズサポーターは最後まで可能性を求めて戦った選手たちに拍手とコールを送った。あのムアントンでのコールが、その後のACL優勝につながっているし、今年のグループステージ突破の源流になっているような気がする。
 今回、同じタイでもバンコクから遠いブリーラムで闘ったサポーターに、心から敬意を表します。

GS敗退へのブーイングもあったが、最後はコールで選手を送った

 さて、みなさんは2013年5月1日、何をして何を感じていましたか?

※この内容はYouTube「清尾淳のレッズ話」でも発信しています。映像はありませんが、“ながら聞き”には最適です。
【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。


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