ちょっとした配慮

沖縄キャンプの途中で、2日間小松で用事があり、朝 11時10分那覇発の直行便で小松に行った。
13時20分到着予定だったが、実際に着いたのは14時ちょっと前。機材ぐりというのだろうか、使用する飛行機の到着遅れで那覇発が30分遅れて11時40分になった。

遅れて嬉しいはずはないが、それくらいの遅れはよくある話だ。いや、その30分が非常に困るという人もいたかもしれないので、「それくらい」というのは僕だけの感想だが。

那覇空港では、11時20分に優先搭乗が始まり、すぐに全体搭乗になったので、僕も列に並んだ。すると何回めかのアナウンスが流れた。
「×××便は皆様を機内へとご案内しております。×××便にて小松空港へお越しの方は、お急ぎ××搭乗口からご搭乗ください」
すべて正確に覚えているわけではないが、ざっとこんな感じだ。間違いなく覚えているのは「お急ぎ」という文言だ。
11時10分発のはずが30分遅れて、今はもう 11時20分を過ぎている。人を待たせておいて「急げ」はないんじゃないか。僕はそうでもなかったが、遅れてイライラしている人は「急がなきゃならんのはそっちだろう。俺らはちょっとでも早く出発したいわい」と憤慨したのでないか。

どうにも気になったので、機内でキャビンアテンダントに、そのことを指摘した。クレームおじさんにならないよう、落ち着いて丁寧な言葉遣いに努めた。言ったポイントは、あの状況のときに「お急ぎ」という言葉を入れるのは、待たされた人がムッと来る可能性がないか、ということ。そして、あのアナウンスは録音なのか地上係員が生でやっているのか、ということだ。CAは非常に恐縮し、必ず伝えます、と言ってくれた。

それで済む話なのだが、小松空港に着いてロビーを歩いていると、その航空会社の制服を着た女性で、いかにも「何でも私が対応します」という雰囲気を持った人がいたので、呼び止めてその話をした。

僕は立って話していたのだが、女性はイスもないのにしゃがみ(けっこう辛い体勢だったのではなかろうか)、メモを取りながら聞いてくれた。僕は機内でCAに尋ねたことと同じ2点を述べた。最初の”遅れておいて『急げ』という言葉はそぐわないのではないか”ということに関しては「私もそう思います」とうなずいていた。2点目の“録音か生放送か”という点に関しては、「よければ今、確認して参ります」という返事。ちょっと迷ったが、それほど急ぐ旅程ではなかったので、お願いすることにした。

僕はロビーのベンチに座って待ち、女性はカウンターへ行って電話をし始めた。けっこう長かった。たしか最初に話をし始めたのが14時前。14時発の小松駅行きバスに乗れなくてもいいな、と思ったから間違いない。そして女性が電話を終えてこっちに来てくれたのが14時20分。待っている間に14時30分発のバスも乗れないかもしれないけど、自分で頼んでおいて「もういいです」とは言えないから、何時になっても待つ気でいた。

「そのアナウンスは録音だそうです。そのアナウンスを流すボタンを押すことで、離陸に関する表示が替わる仕組みになっているとのことです。ただ、お話を聞いた限りでは、そのアナウンスはちょっと早かったように思いますね」という説明だった。なるほど、生放送でなかったということなら、地上係員が乗客の心情に構わず「早く乗れ」と言ったわけではないと納得できる。そして搭乗開始からの「優先搭乗1」→「優先搭乗2」→「全体」という流れにしたがってアナウンスのボタンを押した、ということか。それも仕方がないことだろう。アナウンスのボタンに「オンタイムの場合」「遅れ30分の場合」「遅れ1時間の…」とバリエーションがあればベストだが、それは望めまい。ということでこちらも納得した。

ただし、本当に足踏みしたいほど急いでいる人が飛行機の遅れに遭遇して、このアナウンスを聞いたら非常に不快に思うだろうから、今後何らかの配慮があった方がいいかもな、とは思った。しかし「不快にさせない」という配慮は、逆に表に出るものではないので、そういう配慮をしたからと言って、おそらく誰も感謝しないだろう。だが、そういうちょっとした配慮の積み重ねが「好感度アップ」というやつにつながっていくのだと思う。多くの人を相手にする企業や団体―たとえば浦和レッズもそうだが―は常にアンテナを高くしておく必要があるな、と感じた。そして機内のCAと、小松空港での係員の丁寧な対応から考えれば、この航空会社が今後、何らかの改善をすることも十分ありうるなとも考えた。

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1957年、石川県加賀市生まれ。1981年、埼玉新聞社に入り浦和の住人に。1992年から、浦和レッズオフィシャルマッチデープログラム(MDP)の編集を担当。2005年に退職し、フリーでMDPの編集を請け負っている。清風庵(http://saywhoand.jp/)庵主。
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