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タッシ―に3度のびっくり

 3回、軽くびっくりした。

 最初は昨年7月、田代久美子さんがAC長野パルセイロレディースの監督に就任したとき。

 浦和レッズレディースが2005年に誕生した際、田代さんはすでに前身のさいたまレイナスの主力DFとして活躍していた。レッズレディースでもレギュラーを張り、細身の体型ながら力強さを感じる守備が持ち味だった。ヘディングシュートやキック力も魅力の一つだったように思う。
 引退してからはいろいろなところで指導者を務めていて、サッカー協会の仕事もしていたから、レディースアカデミーの大会などでよくお会いした。大学の監督になってからは、レディースユースでトップに昇格しない選手をスカウトしに来てんのかな、というときもあった。

 元レッズレディースの選手で最初にWEリーグの監督になったのが田代さんだった。正直、WEリーグの監督になる人をあまり知らない中で「田代監督」誕生は「おお」と軽く驚いたし、少しうれしかった。

 二度目のびっくりは、そのAC長野の監督を1年で契約満了になったとき。

 22ー23WEリーグで優勝した三菱重工浦和レッズレディースだが、2位のINAC神戸レオネッサ、3位の日テレ東京ヴェルディベレーザ以外、つまり「WEリーグ三強」以外で、レッズレディースが最も苦戦したのがAC長野だった。
 埼スタで行われた昨年10月のWEリーグ開幕戦。レッズレディースが前半の11分までに2-0とリードし、うんうん楽勝かな、と気を緩めたら、長野は前半1点を返し、84分に島田芽依が3点目を挙げて3-1と突き放したところ、長野は87分にさらに1点を返し最後までハラハラさせたのだ。そのまま3-2でレッズレディースが勝利してホッとしたが、「やるなあ、タッシ―」と思ったものだ。 

 ところが、クラブ側からなのか、本人の申し出なのかは知らないのだが、第20節の直前、日付で言うと5月22日に「田代監督契約満了」がリリースされた。
 驚いた。長野の成績を注視していたわけではなかったので、順位などは知らなかったが、開幕戦の感触から言うと1年で満了になるとは思っていなかったからだ。
 第20節というと、レッズレディースが前節勝って優勝に王手をかけた次の試合。すなわち、勝てば文句なし優勝という最初の試合が、アウェイのAC長野戦だった。アウェイで優勝かぁ…とも思ったが、リーチ一発であがるに越したことはない。勝って帰って来てくれることを信じて、僕はその日、Jリーグの京都サンガ戦に行った。たぶんヘリコプターでもチャーターすればWEリーグ長野戦の後、京都に飛んでも間に合ったと思うが、通常の交通手段でハシゴはできなかった。

 京都のホテルに早めに着き、ロビーでDAZNを見ていた。
 島田が先制したが、その後まさかの逆転負けを喫した。優勝を意識したプレッシャーがあったとはいえ、AC長野はこのシーズン1敗しかしていないレッズレディースに2つ目の黒星をマークさせたのだ。開幕戦を思えば、決してフロックではなかったと思う。
 さらに長野はその後、第21節でベレーザに3-3、最終節でINACに2-2と強豪相手に2分けという成績を収めた。最終成績は7位。目標だったという6位には届かなかったが、終盤「三強」相手に1勝2分けは、まずまず以上の結果だろう。優勝のなくなった「二強」のモチベーションが落ちてしまったのかもしれないが、選手たちが退任する監督のために奮闘したのだとしたら、ある意味では素晴らしい終わり方だったと思う。AC長野は辞めても他のWEリーグからオファーがあるんじゃないかと思っていた。

 そして、きのう7月15日。「三菱重工浦和レッズレディース 田代久美子コーチ 就任のお知らせ」で3度目のびっくり。
 もちろん元レッズレディースの選手だし、他で指導実績があるのだから不思議はない。今回は喜びの要素が大きいびっくりだった。レッズレディースで女性のコーチは柳田美幸さん以来、久しぶりだ。コーチに男女でどういう違いがあるのか僕にはわからないが、男性コーチとは違った対応やアドバイスができるのではないかと思うので、いいのではないか。

 8月のWEリーグ新シーズンを前に、楽しみが増えた。

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