見出し画像

4月20日(2016年) See you semifinalで別れたシドニー

 2016年4月20日(水)、浦和レッズはオーストラリアのシドニー・フットボール・スタジアムでシドニーFCとACLグループステージ第5戦を行い、0-0で引き分けた。勝点1を得たレッズは、第6戦を待たずに、グループステージ突破を決めた。

前半3試合は1勝1分け1敗

 ミシャ監督の下では2013年、2015年に続いて3度目の挑戦となるACL。この2016年のグループステージはシドニーFCのほか、韓国の浦項スティーラーズ、中国の広州恒大と同組になった。
 シーズン開幕戦でもあったシドニーとの初戦は幸先良く埼スタで2-0の勝利。第2戦は浦項にアウェイでまさかの0-1、第3戦は広州にアウェイで2-2と、前半3試合は楽ではなかった。
 しかしホームの第4戦で広州に勝って、勝点8。グループ2位を維持した。

ん、あと勝点1でいいのか?

 僕はオフィシャルメディアの仲間たちと共に、試合の前日シドニー入りして、前日練習や前日記者会見の取材をしていた。その日、広州と浦項の試合が行われ、浦項が負けたことは知っていた。もしかして、と思ったがその日は疲れていたので寝て、翌日仲間と食事しながら確認すると、シドニーFCは、この日の第5戦を前にしてすでにグループ突破が決定。レッズはシドニー戦で勝点1を取れば突破が決まることが判明した。
 2013年には勝点10を得たが敗退したというのに、今回は勝点9で突破できる。ACLのグループステージは仕組みが少し面倒で、自分で計算しただけでは確信が持てないのが困る。

 ちなみに現在のACLはグループステージが5チームリーグで、2位になると他のグループの2位チームと成績を比較しなければならず、おまけに今回は上海海港(上海上港)の出場辞退により、2位チームの成績比較の際に各グループの最下位チームとの対戦成績が除外されるから、頭の中では絶対にわからない。紙に書けば何とか答えが出せるかもしれないが、それが正解とは限らないという変な自信が僕にはある。

 話は2016年に戻る。シドニー、もう勝たなくてもいいじゃん。誰か「READ THE ATMOSPHERE,PLEASE」ってゲーフラ作って出さないかな、とも思ったが、闘いに来ているサポーターに、そんなこと言ったら怒られる。第一、この日の勝敗には1位突破がかかっているのだから、ミシャ監督も引き分け狙いにはいかないだろうし、シドニーもリスクはあまり冒さないにしても守備に手は抜かないだろう。
 そんなことを考えながらスタジアムに向かった。

9年ぶりにスタジアムと再会

何かきれいになってないか?

 シドニーFCと対戦するのは2007年以来。会場のシドニー・フットボール・スタジアムは前回、オージー・スタジアムという名称だったが、2012年からネーミングライツでアリアンツ・スタジアムというらしい。行ってみたらたしかに9年前と同じ建物だった。少しきれいになっていたように思ったのは気のせいか。でもオージースタジアムもネーミングライツだとしたら、どうして2007年はその名称だったんだろう。決まりが緩かったのか?

9年前(下)と同じ場所、懐かしさを感じた

 9年前はカメラマンだったが、2016年はペン記者。座ったのは一般席のすぐ上で、大柄なオーストラリア人の観客が何かあるとすぐ立つ。そのたびにこっちも立たないと見えなくなった。実は室内からガラス越しに見る記者席もあったのだが、そこだと空気感がつかめないからと、ここにしたので今さら移動するのも嫌だった。レッズサポーターの応援がはっきり聞こえて、見えるからここがいい。僕はサッカージャーナリストではなく、浦和レッズ・オフィシャル・マッチデー・プログラムの編集者としてここにいるのだから、という変なプライド。

このスタジアムの記者席からゴール裏を見るのは初めてだった

オージーのどよめきが快感

 レッズは勝ちに行っていた。ホームでは2-0で勝っている、という自信もあったのだろう。このころはかなり成熟してきたミシャサッカーが、シドニーFCをほんろうする場面が何度もあった。
 気持ちが良かったのは、相手の意表をつくようなパスワークで突破したときなど、周りのシドニーファンが「Oh!」と困惑気味にどよめくことだ。これを味わうだけでも、ここに座っている価値があったというもの。
 しかし「見たか、へへん!」という気持ちには何度もなったが、ゴールは決まらない。最後まで点を取りに行ったが、アディショナルタイムにはさすがに勝点1を確実に取る方にシフトしたかもしれない。

MDPより

右から聞こえた「アカキチ」

 終了のホイッスルでドローが決定したが、それは同時にグループステージ突破を意味するもの。そのことは僕から見て右のゴール裏からひときわ大きく聞こえた歌「赤き血のイレブン」に喜びのテイストが含まれていたことにも示されている。
 新しいレギュレーションのACLに挑戦すること3回目で初めて進出するラウンド16。先は長いが、確実に階段を上った。

ラウンド16進出を確認し合う選手たちとサポーター

 ホテルはやや遠いので、スタジアムでできるだけ仕事をしていくことにした。公式サイトのコメントを少し手伝い、MDPの準備をする。だいぶ遅くなったようで、サポーターはもちろん他のメディア関係者もすっかりいなくなっていた。

向こうのスタッフと握手

 帰るときに、シドニーの広報スタッフに「遅くなって申し訳ない、ありがとう」と挨拶すると、彼はこう言った。
 See you semifinal!
 そうか、同じグループの1位と2位だから、ノックアウトステージでもう一度シドニーFCと当たるとしたら、東ブロックの決勝、すなわちセミファイナルか。
 Yes,Sure!
 こうこたえて、握手して別れた。

 ウソになってしまったわけだが。

翌日は、帰りの便までの時間と精神的余裕があったので、少し観光も See you Sydney!

 さて、みなさんは2016年4月20日、何をして何を感じていましたか?

※この内容はYouTube「清尾淳のレッズ話」でも発信しています。映像はありませんが、“ながら聞き”には最適です。
【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?