道具

 自粛期間中に家から職場まで約40分かけて歩いて往復したり、職場に行かないときは家の周りを今日は西へ、明日は東へと散策しながら散歩したりしていた。ジョギングは結局一度もしなかった。

 歩くのは嫌いではないのだが、景色がいつも変わらないと退屈なので音楽でも聴きながら歩こうかと、道具を探した。
 いろいろ見て、買ったのがこれ。
 H-Sound Bluetooth ワイヤレスイヤホン

 充電式で、内蔵メモリに音楽データを入れられるし、Bluetoothでワイヤレスイヤホンにもなる。
 中国製で、電源をONにするたびに音量MAXに戻るのが面倒だが、それ以外はまずまず気に入っている。防水だということだが、まだこれを装着したまま風呂に入ったことも雨に濡れたこともないので、その機能は試されていない。

 たとえば僕が小学生のころ、歩きながら音楽を聴こうとすればトランジスタラジオを持ち片方の耳にイヤホンを差してというスタイルになったはずだ。それもラジオの放送を聴くわけだから聴きたい曲をいつでも聴くというわけにはいかなかった。
 録音と言えば磁気テープ。それもオープンリール方式のものだから持ち歩いて再生するには不向きだったが、それでも最初に見たときは感激した。学校にしかなかったオープンリールのテープレコーダーを持っている家の友達がいて、それで遊んだとき、自分の声を初めて聞いて「うそ!」と思ったのを覚えている。

 それがカセットテープになってウォークマンが登場してから、歩きながらイヤホンで音楽を聴くのが流行りだした。僕はほとんどそういう趣味がなかったので、ヘッドホンがどんどん小さくなっていくのにも気づかなかったが、1995年ー37歳のときに、他は何ともないが言葉や身体の動きが不自由になる小脳系の病気で入院したとき、初めてウォークマンとミニヘッドホンを買ったのが初体験だった。

 それからCDウォークマンになり、MDができ、さらにipodなどメモリ式のものが普及するようになって、ジョギング中にイヤホンをしている人が非常に増えた。僕のようにインタビューした内容を確認している人や英会話の勉強をしている人もいるだろうが。何より最近のものは外への音漏れがほとんどないので、電車の中などでも遠慮せず使用できる。

 僕がこの道具をワイヤレスイヤホンとして使うとき、重宝したのはリモート記者会見やリモート会議のときだ。途中で資料を取りに立ったりするとき、コード式イヤホンだといちいちパソコンから外さなければならず、面倒というより内容を聞き逃す可能性がある。
 今はメモリに、聴いて気合の入る曲(「オーバー・ザ・トップ」の「ザ・ファイト!」など)を入れているが、パソコンには「フォーク特集」や「アイドル特集」「吉田拓郎特集」「中島みゆき特集」などが作ってあって、その都度入れ替えている。あまり人に言えないのが、「今さら聴いてるちょっと前に流行った若いミュージシャンの曲特集」だ。

 さて、この道具を小学生のころの自分に見せたら、何の道具だと思うだろうか。


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1957年、石川県加賀市生まれ。1981年、埼玉新聞社に入り浦和の住人に。1992年から、浦和レッズオフィシャルマッチデープログラム(MDP)の編集を担当。2005年に退職し、フリーでMDPの編集を請け負っている。清風庵(http://saywhoand.jp/)庵主。
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