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6月6日(2018年) 見たかった選手が2人とも見られて、天皇杯初戦にも勝利

 6月は日本代表の活動が多くなってくるため、クラブの公式戦が少ない。
 きょう6月6日も、30年間で2回しか浦和レッズの試合がなかった。
 だからといって、この試合のことを書くのは、消去法で仕方なく、というわけではない。しっかりした2つの理由がある。
 極めて個人的な思いではあるが。

19分、山田直輝が交代出場

 2018年6月6日(水)、浦和レッズは浦和駒場スタジアムでY.S.C.C.横浜と第98回天皇杯全日本サッカー選手権の2回戦を行い、3-0で勝利した。前半19分、長澤和輝が負傷し、代わって入ったのが山田直輝だった。

 直輝はこのシーズン、期限付き移籍から復帰。リーグ戦での初先発となった4月28日、第11節の湘南ベルマーレ戦で絶好の決定機を迎えたが、シュートを外すという残念なミスを犯していた。ただ、攻守において大事な場面を嗅ぎ当ててそこに入っていくという、直輝独特のサッカー勘は錆びついていないことがわかったので、何とか次のチャンスを生かして欲しかった。
 その後、何試合かに出場するたびに、僕は身を乗り出すような気持ちで見ていたのだが、「これだ!」という場面がなかった。

90分に「らしい」ゴールが

 とにかく直輝がピッチでプレーしているところを見るのが好きだったので、この試合の思わぬ早い時間に登場したことがうれしかったし、失礼だが「相手がJ3のこの試合なら」という気持ちもなくはなかった。
 天皇杯の初戦はここ2シーズン、後半まで点が入らないやきもきした試合になっているが、この試合は前半のうちに2点が入る展開だったから、勝敗より、個人的興味に集中することができた。

MDPから

 その最初の機会は意外に早くやって来て、試合が終わるまでに70分以上あるんだからやってくれるだろうと思っていたのだが、なかなそのときが来なかった。 しかし終了間際、武藤がドリブルからシュート。DFに当たってこぼれたボールを、しっかり狙っていた直輝が詰めて駄目押しの3点目が決まった。「そうそう、そこにいるのがお前なんだよ!」 本当に直輝らしいゴールだった。

もう一人のお目当てが登場

 そして、この試合が記憶に残っているもう一つの理由。66分にその機会がやってきた。2点を追うYS横浜が2枚目の交代カードを切ってきた。
 ピッチに現われたのは進昂平。東京国際大学から加入したルーキーだ。

 2008年に浦和レッズジュニアユースに加入した、関根貴大の同期だ。

レッズジュニアユース時代の進(中学3年生)

 関根がドリブルやパス、シュート力を駆使して中盤から前線までどこでもこなせるタイプだったのに対し、進はゴールを決めることに重心を置くタイプで、少々無理めの体勢だろうが、間に合いそうもないボールだろうが、全力でチャレンジし、プラスの結果に持って行くことがたびたびあった。ジュニアユース、ユース時代、関根と進のコンビを見るのが楽しみだったし、実際2人で多くのチャンスを作り出し、ゴールを挙げてきた。

ケガでベンチの関根に、ゴールを挙げた進が駆け寄る。左は戸嶋祥郎(現・柏レイソル)

 2014年にトップ昇格した関根に「ライバルと思っている選手は」と質問して「進昂平です」と言われたメディアは多いはずだ。
 一番の親友であると同時に一番のライバルとしても名前を挙げる進はまだ大学生。僕は、その答えに納得していたが、早く進もプロになって、本当に関根のライバルとしてメディアも認める存在になって欲しいと思っていた。もちろん本当はレッズに来て「シン・タカ」コンビが暴れ回るところを見せて欲しかったのだが。

十分満足した天皇杯初戦

 関根は2017年の半ばに欧州移籍を果たす。翌年、進は大学を卒業してYS横浜に加入。Jリーグの世界に入ってきた。
 天皇杯の組み合わせを見ると、レッズの初戦の相手が、1回戦の神奈川県代表と埼玉県代表の勝者。都道府県予選の結果が続々と出てきて、神奈川県代表がYS横浜、埼玉県代表が東京国際大学となったとき不思議な縁を感じた。YS横浜に所属する進昂平が、1回戦で自分の母校を破れば、2回戦では自分がかつて所属したクラブのトップチームと当たることになる。
 その予感のとおりになったときはうれしかったが、レッズに関根がいないことが少し残念だった。
 
 進がピッチに出てきてからは、直輝と進の両方に注目しなければならなかった。進は持ち前のスピードと思いきりの良いプレーをときおり見せてはいたが、シュートには至らなかった。しかし気の強さはしっかり発揮したのか、異議で警告をもらった。
 レッズの選手たちに、こいつは笛が鳴るまであきらめないし、油断のできないヤツだぞ、とに言ってやりたかった。

MDPから

 戦いにくい天皇杯初戦に快勝。しかも山田直輝がゴール。さらに進昂平のプレーも見ることができ、僕は十分満足できた。
 ちなみに進は、2020年にザスパクサツ群馬に移籍し、今季は愛媛FCに期限付き移籍している。

MDPから

 さて、みなさんは2018年6月6日、何をして何を感じていましたか?

※この内容はYouTube「清尾淳のレッズ話」でも発信しています。映像はありませんが、“ながら聞き”には最適です。
【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。

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