子どもは最強のプレゼンター。真似してみると効果あり。
子どものふとした仕草を見るたびに、この本を思い出す。
マイクロソフトのエバンジェリストで、プレゼン講師としても知られている。西脇さんという方の本なのだが、個人的にこの部分がささった。
私たちは何のためにプレゼンするのか?ズバリ「相手を動かす」ためです。(中略)あなたが話をしたあとに、どれだけの「アクション」が起きたか?それだけが、あなたのプレゼンの価値を決めます。
とプレゼンを定義された上で、
人間のプレゼン能力か最も高いのは、どの時期なのか?間違いなく乳児期の赤ちゃんです。
とおっしゃっています。なぜか?プレゼンの目的は「相手を動かすこと」であり、赤ちゃんほど確実に相手を動かせる存在はいないからです。
例えば100人規模のセミナーに私と赤ちゃんがいたとします。(中略)しかし、時を経たずしてこの赤ちゃんが大声で泣き始めた途端、私が100人から集めていた視線は、一瞬でこの赤ちゃんに奪われることになります。(中略)私がいくら「西脇にミルクを飲ませることのメリット」をクールなスライドを使ってスマートに説明してみせようとも、もはや相手にされないはずです。
確かに(笑)赤ちゃん最強!!笑
さらに、大人になればなるほど、人間の基礎的なプレゼン能力は衰えていくとのこと。なぜなら人間は、成長するにつれて体を動かすことをさぼるようになるから。でもプレゼンでは動作があるほうが有利なのは間違いないとのことで、その例が面白かった。
私は、大学や省・中学校でプレゼンや伝え方を教える機会もよくいただいています。そんなときにも「人間の基礎的プレゼン能力は、年齢とともに低下していく」と実感する出来事がありました。
長くなるので要約するが、大学生・中学生・小学生の授業の教室がたまたまどれも3階だったので、ちょっとした実験をしてみたとのこと。まず、大学生向けて「この建物の何階で授業を受けていますか?」と問うたところ「・・・3階」と気怠そうな返事が聞こえてきた。次に中学生に同じ質問をしてみると、すぐに手を挙げて「3階です!」と元気に声が返ってきた。最後に小学生に聞くと、「3階です!」と皆が元気な声で返してくれるのはもちろんのこと、教室にいた小学生の3割が、声を出して答えるのと同時に「3本の指を」立てていたとのこと。
おーーーー!確かに!容易に想像できる。
それで思い出した。先日も子どもが「あっ」と言って、空を指す。私はつられて空を見上げ、なんだ?と疑問を持つ。そして、その辺を歩いていた散歩中の人も誘われるように、え?っという表情で空を見上げる。
そしたら、子どもが満面の笑みで一言。
「雲だ!」
雲だ!!!!!!(てか、雲かいっ!!)
でも、私は思うのである。彼女のプレゼンは見事に成功したなと。
私は彼女の「あっ」という一言とで気持ちを鷲掴みにされ、小さな小さな指が指す方を、普段使わない首の筋肉を使ってまで追いかけたのだ。そして、彼女の目的、つまり私と一緒に雲を見てほしいという目標を見事に達成したのだ。さすがだ。まさに西脇さんの言う通り。
そういう視点で子どもを見てると本当に面白い。彼らは確かに、大きい時は大きいと手を広げて示し、数を指で示し、声のトーンを変え、全身全霊で伝えたい事を伝えてくるのだ。大人だと面倒くさいなと思う動作を、目標達成の為にこれでもかと使ってくる。侮れない。んー、学ぶ。
学んだことは活かさないと!ということで、早速彼女の真似をしてみた。
私は仕事柄、研修講師を良くやる。試しに動作を真似してみた。ちょっとはじめは恥ずかしい。「ポイントは3つあります。」とかをわざわざ手を掲げて指を3本立て、カッコつけてやってみる。やっぱり恥ずかしい。これ、意味あるのか?
ところがところが、意外と皆私の3本の指を見ている。あれ?動くものはみるんだな〜。調子に乗って次は、「・・・ですが、実は、」とわざと止まって間を取ってみる。子どもが「お母さん、お母さん、見て。見て。実はね、、、」と手に何かを握って見せようとする前に止まる間を真似しているイメージ。すると一瞬、皆の空気がこちらに向かう感じがする。おおっ!!?
他にもこの本では、希少性、つまり限定感を付け加えることで、相手に「ほしい 必要だ」と思わせるテクニック的なことも書いてある。例えば「今だけのスペシャル価格です」とか「これまで誰も教えたことありませんが」とかだ。これも、子ども、大得意だよな。私もさっそく真似してみる。「これまで誰にも教えたことありませんが、特別に教えますね・・・。」コツは、「お母さん、お母さんだけに教えるの。秘密だよ。耳貸して。あのね・・・。」である。すると、やっぱり皆の気持ちがこちらに向かう感じがする。おおーーっ!!
子ども最強!!!
そして、私は今日も今日とて、子どものふとしたしぐさに惑わされ振り回され、プレゼンの極意を学ばされるのである。
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