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MedicineとMagic~アニメ『犬王』と呪術的治療

健康オタクなライターが本業そっちのけ(?)で、はまっている医療の歴史。 今回は、これまた大好きなバンド女王蜂のアヴちゃんが声で出演したアニメ『犬王』と呪術的治療について、偏執狂的な観点から語ってみようと思います。どうぞ、よろしくお願いいたしますm(__)m


ところで、アブラカダブラって何?

『アブラカダブラ』っていうことばが、
何かのおまじないだ、ということを

「知らない」方は、たぶん、少ないと思うのですが、

じゃあ、『アブラカダブラ』って
何のおまじないだと思いますか?

実は、病気や災厄を払うのに用いられたおまじないで、
17世紀のロンドンでペストが流行した際にも使われたのだそう。

あたくしは、そのことを知って、
Σ(・ω・ノ)ノ!驚いたのですが、

よくよく調べてみると、

そもそもmedicineとmagic(偉大な神の叡智と力をいただいて人々を救い、癒す術、すなわち呪術)はほぼ同義なのだそうです。

日本だけではなかったのですね、呪術的治療が行われていたのは。

えっ?
『アブラカダブラ』の話なんかして、
それと、アニメ『犬王』と何のかかわりがあるんですかって?

あとで、そこに着地するようにお話しますので、
もうちょっとだけ、お待ちくださいませ。

天の叡智と力をいただくスイッチとは⁉

どこの国でも、昔は、病気というものは
〝見えない存在〟ーーそれは神さまなのか、霊魂なのか、はたまた悪魔なのか、ここでははっきり申し上げられませんがーーが、
もたらすものだととらえられていて、

でも、天の叡智と力をいただいて癒そうとしてきたのですね、先人たちは。

そして、天の叡智と力をいただく能力をオンにするスイッチの一つが、
アブラカダブラのような、おまじないをはじめとする
「音」であったのではないかな、と

素人ながら仮説を立て、調べる
そんな遊びに興じているのです、あたくし。

ちなみに今、気になっている音が琵琶と、琵琶法師なのです。

「医」と「醫」に宿る〝音〟の呪術性


あたくし、中学の3年間だけなんですが弓道をやっていたのです。

つるを肩でひいて、ひいて、ひききって
矢を放つと、弓が鳴るんですけれど、その音と、
琵琶法師の方がバチン、ベンベンと琵琶を鳴らす、あの音が、
よく似ているように、あたしには聞こえるんです。

それが何?ってことなんですが

医(醫)という字の中に弓矢があります。

まず、『医』という漢字なんですが、
これは、呪矢を秘匿のところに収めるものを表す文字なんです。

そして、古代の医術を表しているのが『醫』。

そうそう、『醫』は『医』の旧漢字なのではなく
元々は、別のものなのです。

『醫』は古代医術を表していると言ったんですが、
もう少し、具体的に言うと、
呪矢を入れた「医」に向かって祈祷して病魔を祓うんです。

さらに『醫』の上にある、『殴』は祈祷のときの声を表します。

整理すると、『醫』というのは、
弓が鳴る音と、祈りことばを唱える声で
床にふせったおひとと見えない存在を癒そうとする
そういう医術であったのです。

武具の弓矢に神秘の力を見た先人たちの〝ち〟

話しがちょっと横道にそれますが、
静岡県三島市にある三嶋大社で2月3日に行われる
【鳴弦式めい・げん・しき】は
弓を鳴らすなどして神霊を招き邪悪をはらう儀式です。

そうそう、弓には神秘的な力が宿っていると
先人たちは感じていたのです。

そして、弓矢は神事のみならず、
病にふせる人を癒すのに用いられていました。

その様子が、『源氏物語』にも描かれています。

床にふせっている葵上を救うべく、巫女が弓をつかって(梓弓の法✴︎というらしい)具合が悪くなった原因を探ったところ、
六条御息所の怨霊であることがつきとめられたというシーンがそれです。

犬王は友魚の琵琶で誰を癒したか

むかし話に『耳なし芳一』というのがあるのをご存じでしょうか。

主人公の芳一は盲目のお坊さんで、
琵琶を鳴らし、平家物語を語るのが非常に上手でした。

そんな、芳一のもとへある日、
無念の死を遂げた平家一門の霊がやってきて
芳一を連れ出し、平家物語を弾き語ってもらう。

そのことによって、自分たちの無念を晴らそう
癒されようとしたわけですが、

その、癒しの効果は琵琶の音に由来するのか、琵琶法師の語りなのか、
はたまた両方セットなのか、どっちだろうと思っているのですね。

まだまだ、研究の道半ばなので
(ただのオタクなのにね(^^ゞ)
はっきりとしたことは言えないのですが、

ただ、アニメ『犬王』をみていて思ったことがあります。

『犬王』では、琵琶法師の友魚が琵琶をかき鳴らし、うたい、
そして犬王が舞うことによって怨霊たちを弔います。

人々から忘れ去られてしまったけれど
怨霊と呼ばれる見えない存在が、この世には存在していて、
彼らもかつては私たちと同様に一生懸命生きていた。
そのことを認めてあげるために。

そうすることで異形で生まれた犬王は
少しずつ自分の体を取り戻していく。

『犬王』はそういうストーリーなのですね。

この物語は、現代の医療の隙間を埋める、
何かを示しているのではないか、

そんな気がしなくもないのですが・・・。

だいぶん、しゃべり過ぎました。
今回は、これにて失礼したいと存じます。

あたくしの個人的、かつ、偏執狂的でめちゃくちゃな
医療史考に、おつきあいくださり、
m(__)m
心より感謝申し上げます。

追伸
アヴちゃんがすきです💖

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