見出し画像

オストメイトな日々~It’s a messy business

自分がオストメイトであることを、どのプロフィールにも書くようにしています。

別に可哀想がってほしいとか、特殊なプロフィールで注目されたいとか、そういうことでは全くなく。

むしろ「腰痛もちで」とか「いやぁ高血圧が」ぐらいの感覚で知ってもらえたらと思い、本名でオストメイトであることを公表しています。


子宮内膜症でオストメイトに


オストメイトになったのは2016年7月です。

近くのクリニックを受診したら大学病院への紹介状を書かれ、行った先の大学病院で「ウチでは症例が少ないので...」と別の大学病院への紹介状を持たされ。

スタンプラリーの結果「腸管内膜症」という診断名がつきました。

子宮内膜症が腸に転移して、腸が動かなくなってしまい。ダグラス窩という隙間で分かれているはずの腸と膣がべったり癒着して、動くたびに痛い。強い痛み止めを毎日限界まで飲んでも、寝込んだまま動けない、という状態でした。

オストメイト=目的地の手前で高速のインターを降りる


オストメイトというのは、腸に問題が起きたとき、ダメージが出た部分の手前で腸をぴょろりと身体の外へ出し。そこから食べたものを排出するという仕組みのことです。

腸の傷ついた部分よりもずっと手前で食べ物を身体の外へ「ぺっ」と捨ててしまうので、患部に食べ物や菌が通るのを防ぎ、腸を休ませることができます。患部が広い場合には腸を全部取ってしまって、その後の人生をずっとオストメイトとして過ごす方もおられます。

「高速を走っていたら先のほうで事故渋滞が起きたので、目的地の手前で高速のインターを降りる感じ」です(笑)

全身麻酔から覚めたらオストメイトでした


主治医の先生に「人工肛門がつくかも」と言われていたものの、まー大丈夫だろうとタカを括っていたため。何も調べず手術に臨みました。

キャリア20年以上、凄腕の腹腔鏡の使い手から「今までで一番ヒドい癒着だった」と言われるほどの惨状で... 手術に12時間かかり、全身麻酔から覚めたらオストメイトでした。

それにしても誰が一番大変だったって、5時間で終わるはずの手術がどんどん延びて、「結婚1年も経たず嫁が死ぬかも」と恐れながらプラス7時間待たされ続けた夫じゃないかと思います。術前、術後もずっと変わらず、なにも変わらず、向き合ってくれる夫に感謝です。

現在は子宮内膜症と、直腸膣瘻という「腸と膣の間に穴があいて貫通した」状態の治療をしています。

いやー、身体に穴あくと、なかなか塞がらないんですよ!
ご存知でした?(笑)

オストメイト=かわいそう?


オストメイトって、ちょっと気を抜くと悲壮感が漂います(笑)

女性なのに。

まだそんな歳じゃないのに。

ひどい身体になっちゃったね...

大変だったね、可哀想にね...

便の処理とか、自分でしなくちゃいけないんでしょう?


って、まぁ、そうではあるのですが。


そんなこと言ったら皆さんだって、毎日便の処理をご自身でするじゃないですか。私だけ汚れ仕事してるみたいな言い方されても困ります(笑)

食べ物が通る経路が変わったので、出口に使い捨てのパウチ(袋)を貼り付けてみたり、他人より汗や水に弱かったりはしますが、オストメイトであること自体は、別に悲劇だとは思っていません。

そりゃ、不便は、ありますよ。


もちろん、新しい日常に慣れるまでは「パウチがヨレて、中身がちょっと漏れた...」みたいな事故が起きたりもするので、悲劇のヒロインぶってさめざめ泣いていた時期もあります(笑)

別に「こんな身体になるぐらいなら、死んだ方がマシ」とは思いませんでした。

だって、12時間の手術のあとの、あの痛みやキツさでも死ななかったんですよ... アレより痛いとか辛いなんて絶対嫌です。大腸が丸出しになっているほうが圧倒的にマシです。

お花見や花火やハイキングやスキーなどのアウトドア系イベントや、会場にお手洗いが1つしかない場所に長時間滞在するライブなど

「いまトイレに行かねば大惨事」

というタイミングで自由にお手洗いへ行けない場所は避けるようになりました。

さすがに公衆の面前での粗相はトラウマ確定なので。

でも、みんな、そんなもんでしょう?(笑)


もちろんシャワーを浴びる前、自分の身体にへんてこな物体がブラブラしているのを見るとちょっと落ち込むことも、ありますが。

でも、みんな、そんなもんでしょう?笑

オストメイトですー!でも明るく元気でー!頑張ってまーす!!

とか言ったら聞こえはいいでしょうが、
いつも元気でポジティブな人なんて、いませんから(笑)

実際に「オストメイトなのに明るく元気で頑張ってる人」という私を取材したいと言ったメディアの方が、打ち合わせの途中から「あれ、コイツそんな明るくも元気でも前向きでもないじゃん、なーんだ...」という感じになり、取材の予定が吹き飛んだこともあります。

It's a messy business. 
(キレイゴトだけじゃないですよ)

でも、みんな、そんなもんでしょう。

私は大腸が出てて。皆さんには皆さんの悩みや痛みがあって。

ひとりひとり違うから、お互い相手をよく知り合って

より豊かな明日が送れるように、ちょっとだけ、がんばる。

みたいな。


不幸自慢で背比べしても仕方ないですから。
いまの身体で、いまの心で、自分なりにやっていきましょう。
無理はしないでくださいね。ヘタすると腸が出ちゃいますよ(笑)

地上波TV番組やメディア取材の実績(抜粋)


オストメイトとして地上波TVやネットで取材を受けたものの中で、特にポジティブな反響をいただいたものを抜粋でご紹介します。

【NHK Eテレ「バリバラ」】おシモ女子会というぶっちゃけトーク(笑) に参戦!他の出演者の皆さんほどオープンになれない自分にモヤモヤしながらも、オストメイトとして私なりの言葉でお話させていただきました→[バリバラ] おシモ女子の排せつ事情・お漏らし失敗談 | ウンチ・オシッコが漏れちゃう女子たちの赤裸々トーク おシモ女子会 前編 & 後編

【心療内科医でエッセイストの海原純子さんに取材していただきました】Yahoo! ニュースのランキングでまさかの第1位を頂いた記事のオリジナルコラムです→ 一流のレジリエンス~回復力~結婚後の受診でいきなり「人工肛門になるかも」と言われ(2019/04/09)

【TOTOのユニバーサルデザイン「ホッとワクワク+(プラス)」座談会】
ホッとワクワク+(プラス)→座談会企画 車いす使用者、視覚障がい者、オストメイト。それぞれの立場から、トイレのユニバーサルデザインを考える(2020/03/26)

【ユニバーサルデザインStory】車いす使用者、視覚障がい者、オストメイト。withコロナでの意識の変化と"非接触型"水まわり商品について考える(2021/01/29)

【ロングインタビュー】オストメイト向けのアプリ開発や情報発信をされているNPO m-akt さんのYouTubeチャンネルで、インタビュー動画に出演しました→【オストメイトインタビュー・オストメイト編】002 中島小百合さん/オストメイト歴約5年/コロストミー/子宮内膜症

【ポップな模型を自作しました】何しろグロい写真ばかり出てきてしまうので、人工肛門の構造を説明するために自分で模型を作りました→人工肛門(ストーマ)ってどんなもの?おしりから何か出ているの?(出てません)

(この記事は、こまば音庵ブログ内「オストメイトな日々」を加筆修正してお届けしております)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?