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【音楽教室講師向け】オンラインレッスンについて考える

今回は、コロナ禍において注目されるようになったオンラインレッスンについて記したいと思います。
私がクロマチックハーモニカ講師をはじめたのが2006年、師匠の徳永延生先生から勧めていただいてオンラインレッスンをはじめたのが2007年でした。当時、情報が少ない中で研究されたノウハウを惜しみなく教えてくださったことは、今でも本当に感謝しています。
以後、当教室ではオンラインレッスンに力を入れ、積極的に受講生を受け入れてきました。そして、コロナ禍での2020年4月~6月中旬までの期間は、受講生の9割以上をオンライン受講に切り替え、ほぼ通常通りレッスンを継続することができました。

ここでは主に、オンラインレッスンで使用するオンラインミーティングツールについて解説したいと思います。
私がオンラインレッスンをはじめた当時は、MSNメッセンジャーというアプリケーションを使用し、オーディオインターフェース(パソコン等の端末に音を取り込んだり、端末内の音を再生させたりするための、音のデータの入出力を行う機器)を使用することでレッスンが可能な音質を実現していました。

現在は通信速度や機器の技術が向上し、オーディオインターフェースがなくてもレッスンが可能な音質を維持できるようになってきています。
但し、双方の端末(パソコン、スマートフォンなど)のスペックや、通信速度にかなり影響されるため、講師側はスペックの低くないパソコンを使用し、できれば有線LAN接続、オーディオインターフェースを使用することが望ましいと考えています。
また、受講生側の環境に合わせたアプリケーションの選択が必要です。現在、私がレッスンで使用できると考えているものは、Skype、ZOOM、FaceTimeの3種類です。基本的に、いずれも無料で使用することができます。

FaceTimeについてご存じない方もいらっしゃると思うので解説しておきますが、これはApple社(iPhoneなどのメーカー)製品同士での映像通話で使用できるアプリケーションです。通信が可能な製品にはほぼ標準装備されており、iPhone、iPad(タブレット)、Mac(パソコン)で手軽に使用することができます。カメラやマイクの設定が不要である上に音質も良いです。受講生にiPhoneなどの同社製品ユーザーも多く、通学受講の停止期間中はレッスンの約1/3をFaceTimeで行っていました。

音質については概ねSkypeが良く、FaceTime、ZOOMと続くと考えています。
しかしながら、Skypeは端末への負荷が大きいため、スペックの低いパソコンやスマートフォン、タブレットには不向きだと考えられます。なので、当教室では受講生の環境をヒアリングした上でだいたい下記の通り使い分けています。

 ・スペックの低くないWindowsのパソコンを使用⇒Skype
 ・Macとオーディオインターフェースを使用⇒Skype
 ・Mac(オーディオインターフェースなし)、iPad、iPhoneを使用⇒FaceTime
 ・上記以外⇒ZOOM

なお、画質はカメラと通信環境による影響が大きい様ですが、画質面でレッスンが困難になる事例は発生していません。

受講生の通信環境だけではなく、個々の対応能力とフォローは重要です。受講生の負担にならないよう細心の注意を払いました。
この中でセットアップの難易度が高いのはSkypeです。受講生側もアカウントを登録する必要があり、パソコンなどの操作に不慣れな場合はフォローが必要です。
ZOOMは講師側がアカウント登録をしておけば、受講生は登録なしで通話することができます。通話毎に講師がアプリケーション内でURLを発行し、受講生がそのURLにアクセスすることで初回であれば自動的にアプリケーションがダウンロードされ、起動する仕組みになっています。但し、通話までの過程でダイアログボックス(画面上で動作確認等のメッセージを表示するウィンドウ)がいくつか表示されるため、操作に不慣れな受講生がスムーズに通話開始することができなかった事例もありました。
FaceTimeは基本的に双方ともアカウントの登録は不要で、電話を受けることと変わらない手順で通話開始することができます。

ZOOMについては、個人レッスンでの使用率は全体の1/4弱とやや低いのですが、グループレッスンやオンラインイベントではこちらを使用しています。ZOOMはグループ通話機能が40分間無料で使用でき、有料プランでは時間制限がなくなります。
また、音質については「オリジナル音声の有効化」等の設定を行うことでかなり改善されます。手順については、当教室のサイトに掲載していますのでご参照ください(http://www.sayuri-harm.jp/lesson/online/zoom-sound/)。

今回はオンラインレッスンを行う上での環境面を中心に解説をしましたが、レッスンにおいて何よりも重要なことは、ハーモニカや音楽を通した受講生のQOL(生活の質)向上だと考えています。
オンラインレッスンについては、音質、画質面の問題や、音の遅延により同時に演奏することができないといった問題などもあり、否定的な考えもあることを理解しているつもりです。
しかしながら、コロナ禍において、また、様々な事情で通学での受講が困難なため、オンラインレッスンを必要とされる方もいらっしゃいます。オンラインレッスンの利点と欠点を理解し、欠点は補いながら、よりよいレッスンを受講生に提供できればと考えています。

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