大阪に行ってきた。(その1)
コロナは全然収束しないし、パソコンは壊れるし、膝の治療やら爪の治療やらにお金がかかるし、コレストロールが高いと言われるし…、「あー、もうなんもいいことない!」とふてくされた私は、誕生日を前倒しにして自分にご褒美をあげることにした。
で、選んだのは大阪への観劇ツアー、昼間は美味しいものでも食べて、夜は大衆演劇演劇の劇団、「優伎座」さんを見に行こうというたくらみ。優伎座は、6月に横浜の三吉演芸場でちゃんと観た劇団さん。それまでは、遅刻して舞踊ショーしか見れなかったり、えらく画像の悪い映像を見た程度だった。長いこと座長の市川英儒さんのちょっと古典的で独特なポスターを見るたび、「わあ、きれい!絶対観たい!」と思っていて、やっと今年になって念願が叶った。
実際に観た市川英儒さんは、私にとって、すごく素敵で不思議で怖かった。そして、彼の女形は、絶対に私が真似できるものではなく、それが今の私にはちょうど良いと思った。私は、ずっと、自分の踊りの参考に、大衆演劇の女形を観てきた。だから、私が追い求める女形は、けなげで可愛くて、切ない感じの女形だった。市川英儒座長の女形は、そういうのとは違う。凛としていて、強くて、ちょっぴりいぢわるそぅだったりもする。(あくまで個人の感想です)そして、何より美しい。ちょっと手数多めに踊り、すっと止まる。そのたたずまいの美しさに、私は、「もう、こんな踊り、絶対に奇麗な人しかできないもん!」とむくれつつ、見とれてしまう。
舞台を降りて半年が過ぎ、戻ろうという気はないけれど、踊りたいという気持ちにはまだちゃんと整理がついていない私。だから、今は、自分の踊りたい欲を刺激する役者さんではなく、100%じゃなくていいから、純粋に観客として、ファンとして観れる人を見に行きたいと思い、優伎座さんを選んだ。
7月20日、私は、二回目のワクチンを打つことになっていた。副反応がなかったら、翌日の21日から2泊3日の旅。
二回目のワクチンは一回目より痛かった。しばらくすると腕が固くなり、かなり痛い。果たして、副反応は無いような気がしたが、雑用やらなにゃらで睡眠不足で朝を迎え、ふらふらしながら阿Qを友人に預け、意識朦朧で新幹線に乗った。食べたいのか食べたくないのかわからない駅弁を食べ、絶対に飲みたいコーヒーを飲み、持ってきた本を読むのを諦め、さてとしばしの仮眠したり起きたりを繰り返している時、突然思いついた。
「あれ?市川英儒さんってもしかして!!」
(続く)