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漁業を知るマガジン

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漁業とは無縁の人生を送ってきた筆者が地方移住を機に瀬戸内エリアで頑張る漁師や漁業関係者の仕事、地域での活動を取材。漁師の仕事に興味がある人、地域ブランドづくりや地域活性を考える人… もっと読む
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記事一覧

20代の二人が漁師を仕事に選んだ理由

メディアで報道されているように、高齢化や若者の人口流出などにより、日本の第一次産業従事者は年々減少傾向にある。これは、地方移住先として私が選んだ瀬戸内エリアの離島、小豆島や豊島も例外ではない。 漁業が盛んな瀬戸内エリアには、昔から多くの漁師町が点在している。しかし令和を迎えた今では、20代から30代の漁師に出会える確率はとても稀。進学を機に島を出て都会で就職したり、卒業後に島に戻って来たとしても第一次産業以外の仕事に就く若い世代が多い中、小豆島で「漁師」を仕事に選び生きるこ

地域ブランド「小豆島島鱧®︎」誕生秘話

鱧といえば、京阪神を中心に夏の風物詩として親しまれている高級魚。鱧の産地としては兵庫県の淡路島や明石港、徳島県、愛媛県、山口県などの瀬戸内海に面したエリアが有名だが、瀬戸内海で2番目に大きい離島、小豆島にも「小豆島島鱧®︎」というブランド鱧があることをご存知だろうか。 小豆島ブランドに学ぶ地域活性化「小豆島」といえば他にも、日本のオリーブ栽培発祥の地として有名なオリーブ、昔ながらの手延べ製法が人気のそうめんなども有名だが、近年は、オリーブの搾油後の絞りかすを使った飼料を小豆

小豆島の漁師たちが取り組む海の環境保全【漁業とSDGs】

昨今、話題となっている「SDGs(Sustainable Development Goals)」。 SDGsという言葉があちこちで話題にあがる中で、メディアなどでフォーカスされがちなのが、「漁業者が魚をとりすぎなのでは?」という声。そんな声に、私個人としては非常に心を痛めている。 というのも、漁業者たちが、漁と並行して海の環境保全活動に取り組んでいることが、一般にはほとんど知られていないからだ。 そこで、漁業が盛んな瀬戸内海周辺エリアのうち、私が住む香川県土庄町の小豆島

漁師さんと底曳き網漁へ【小豆島の漁業レポ】

小豆島へ移住して1年半。地域おこし協力隊の漁業振興活動の一環として、小豆島の地魚ブランドでもある「小豆島島鱧」が漁れる底曳き網漁に連れて行っていただいた。 東京で生まれ育った私が魚を目にするのは、街のスーパーや商店街の魚屋さんが主な場所だった。伯父は私が幼い頃に寿司屋を営んでいたし、亡くなった祖父は釣り好きだったので、魚の漁れる場面に全く縁がないわけではなかったが、都会に住んでいた私にとっては店頭や食卓に並ぶ海産物と漁の様子が正直なところあまりリンクしないまま大人になった気

地元漁師の母ちゃん直伝、ご当地はも料理作ってみた【小豆島島鱧レシピ】

京料理の定番であり、関西ではおなじみの「鱧」。鱧は、江戸時代から続く京都の納涼床や懐石料理には外せない高級魚として知られるが、東京で生まれ育った私にはこれまで馴染みのない魚。生まれて初めて鱧を食べたのは、小豆島へ移住した昨年のこと。 実は、小豆島は、兵庫県や徳島県と並ぶ鱧の産地で、しかも、近年、全国のグルメファンの注目を集めているブランド鱧がある。 そのブランド鱧が、「小豆島 島鱧」だ。 西日本以外で鱧になじみのない理由少し話は逸れるが、水揚げ量が西日本に集中しているから

小豆島・漁師兄弟とタコ縄漁へ!【小豆島の漁業レポ】

通年、旬の食材が豊富な小豆島。 この島では、毎年夏の時期になると、タコ飯やタコの天ぷらなど、食卓にタコ料理が並ぶご家庭が多いという。 これまでもnoteで何度も登場している「小豆島のお父さん・お母さん」こと、我が家の大家さんご夫妻も、この取材の前々日に「タコ飯、炊いたから食べる〜?」と、その日に仕入れたタコで作ったという炊きたてのタコ飯をおすそわけしてくださった。 こうした日常からも、タコがこの時期の島の風物詩であることがよくわかる。 瀬戸内海周辺エリアは漁業が盛ん!瀬戸

全国初!地場産物の学校給食×YouTube×ICTで漁業振興が成功した5つの理由

「地産地消」というワードを耳にする機会が増えている昨今。 地元の地場産物を思い起こしても、東京で生まれ育った私には残念ながら東京の地場産物がパッと浮かんではこないのだが、昨夏に瀬戸内海の離島、小豆島、豊島のある香川県土庄町へ移住してからは、自然豊かな風景と旬の食材で、季節の移ろいを身近に感じながら過ごす楽しみを知った。 瀬戸内海に浮かぶ小豆島と豊島は地場産物が豊富!移住してからのこの1年の間に、日常生活や取材で触れた土庄町の旬の食材たち。 そのほんの一部だけを並べて振り返っ

「魚礁」で海の環境を育てたい!瀬戸内海の漁師さんとタコの放流【小豆島の漁業レポ】

約7年の海外生活を経てコロナ禍真っ只中の2020年末に”一時帰国”の予定で帰国後、偶然のご縁が次々と繋がり、昨夏、地元東京から瀬戸内海の離島「小豆島」へ移住した私。 移住の大きなきっかけとなったのは、総務省の「地域おこし協力隊」という取り組み。 映画「二十四の瞳」「八日目の蝉」で有名な”オリーブの島”小豆島、瀬戸内国際芸術祭で人気の豊島を含む、香川県の土庄町という小さな町の自治体で、私は自身の活動と並行しながら「地域おこし協力隊」として漁業振興に携わっている。 今回の記

都市部と地方を繋いだオンライン食育イベントで試した7つの試み

今回は、この夏に瀬戸内海で淡路島の次に大きな離島、小豆島にある小さな町土庄町へ東京から移住してきた私が、地域おこし協力隊としての最初の仕事として企画提案から携わらせていただいた漁業振興のための親子向けオンライン食育イベントの仕掛けと、その裏話について、イベントのご報告も兼ねて綴っていく。 この記事でシェアすることは、地方自治体だけでなく様々な分野で応用できるアイデアも含まれていると私は思っている。この時期、イベント企画や施策立案に携わられている方の苦労は計り知れない。そんな

「食育」とは?大人と子どもに知ってほしい食卓の向こう側のストーリー

「東京の魚は、やっぱり魚臭いなぁって思うねん。やっぱり一度お湯くぐさないと気になってしまってね。地元の魚はこんなに臭わんのよ。」 その昔、和歌山の海沿いの町で育った大学時代の親友がキッチンに立ってスーパーで買ってきた魚を片手にそう言った。”生粋の江戸っ子”である私は、一体この人は何を言っているんだろう?と首を傾げた。 「魚なんだから、魚臭いのは当然でしょうよ?(笑)」 小豆島へ移住して3ヶ月。 こちらで魚を食べて、「ああ、なるほどな。」と、あれから十数年が経った今、その