白湯ぬるめ

読んで、見て、感情が動いた作品をゆるく語ります

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最近の記事

【感想】自転しながら公転する

人生における悩みは何年生きたからじゃなくて、どう生きたかで発生するものだと思うが、本書で描く30代の悩みは確実に当てはまる母数が多い種類のものだ。 結婚、仕事、家庭の事情が著しく変化する葛藤が狂おしいほど分かる表現が詰まっている。 タイトルは今と昔で属するコミニティ外の友人知人と会わなくなることを表現しているのかなぁと思ったり。 構成は冒頭の時間軸が最後にタネ明かしされるが、その時の解放感がスゴい。プレゼントの紐をほどいて中身を開ける時のような高揚感に包まれる(そして実社

    • 【感想】52ヘルツのクジラたち

      52ヘルツのクジラたち、読了 終盤まで読んで謎が溶けていく構成がいいのと、虐待や辛さを表す文章がヒリヒリするくらい痛く生々しくて、思わず小さなうわぁが出る。 そして、子どものうちに経験しておくべき痛みがないままの成長は、大人になってからでは遅いというのはスゴくわかる。 それは愛情とも呪いとも言えるような感覚なんだと。 生きる力、元気をもらいたい人にオススメです。

      • ゆるざっくり書評:赤と青とエスキース

        すごい。 ページをめくって最後に点と点が繋がる感じが気持ちよすぎる作品。 エスキース(下絵)をベースに学生や額縁職人らの話が進んでいくのだけど、4章~エピローグに入る直前で絶対1章から見返す仕掛けができている。 自分の物語は人から色をもらいながら色彩を帯びていくんだよなぁ。それをまとめたこのタイトルがハマり過ぎて読後の余韻に3日は浸りたい。